PR

ASCW02 – エレキー兼モールス練習機

概要

シンプルなエレキ―です。それに加えて、ストレートキー(縦振れ電鍵)用のいわゆる「モールス練習機」の機能も備えています。

過去モデルとの違い

これまで、モールス練習機としてTTCWシリーズを頒布してきました。このシリーズでは、正弦波に近いきれいな音が特徴で、おかげさまで好評をいただきました。

そうした中で「エレキーには対応していないの?」という声もちょくちょくいただく頃がありまして、同じ筐体サイズのASCW01を頒布しました。これは、YACKというとてもシンプルなオープンソースのエレキーをベースに、ストレートキー対応などの独自機能を加えたものです。ただ、YACKはエレキーの速度調整もコマンドで行うため、それを不満に思う方も多くいらっしゃいました。

そこで、今回は、このYACKを可変抵抗で速度変更ができるように改造したものを作りました。YACKではマイコンの入力ピンをすべて使い切っていますので、少々無理やりな方法ながら、なんとか実装しました。YACKの機能はすべて入っており、かつ、可変抵抗での速度変更に対応したというわけです。もちろん、ストレートキーにも対応しています。

YACKそのものではサイドトーンは矩形波です。しかし、TTCWシリーズからの流れですので、ASCW01でも正弦波にこだわり、この機種ではマイコンで正弦波を作りました。しかし、きれいな音(正弦波)になるのはいくつかの周波数に限れらてしまい、任意の周波数が設定できないのが不満でした。そこで、今回はマイコンで正弦波を作るのは諦め、YACKからは矩形波をそのまま出します。その矩形波を外付けのフィルタで倍音をカットして、正弦波に近づける手法を取りました。完璧とはいきませんが、かなり良い線にはなっていると思います。500~1000Hzの範囲で調整できます。こちらのビデオがその様子です。

ストレートキーの場合も、YACKのサイドトーン機能を使いますので、500~1000Hzの範囲で設定できます。ただし、周波数変更にはパドルが必要です。デフォルトでは700Hzにしています。

仕様

  • 機能
    • エレキー(YACK)
      • Iambic A/B対応
      • メモリ: 4ch
      • コールサイン練習機能あり(聞き取って打ち返す)
      • 他にも多数あり(詳細は後述)
      • 主要機能(コマンド)は、底面と側面に記載
    • モールス練習機
      • サイドトーン周波数可変(エレキーの設定と兼用)
      • ソフトウェアによるチャタリング対策実装
    • スプリアス測定時補助機能
      • 12.5Hzキーイング
      • 連続も可
  • 出力
    • キー出力
    • トーン出力
  • 電源
    • 5V
    • 通常の使用においては13.8Vまで可能
    • 最大音量で連続トーンを発生する場合は上限の目安は7V
  • サイズ: 約50x50x25mm(突起物を除く)
本装置は内部電圧3.3Vで動作します。したがって、供給電圧は5Vで充分です。

15V程度までは使用可能ですが、高い電圧の場合は定電圧レギュレータの発熱が多くなります。最大音量で連続トーンを鳴らすと数秒で指で触れないほどの熱さです。底板を放熱板にしており、このような使用では底板もかなり熱くなります。

ほどほどの音量で通常の使用(断続音)であれば13.8Vの供給でも問題ありませんが、大音量で連続トーンを鳴らす場合は供給電圧を7V以下にしてください。
打鍵速度やサイドトーンの周波数はマイコンの内蔵クロックが元になっております。マイコン内蔵クロックは個体ごとにバラツキがありますので、上に示した打鍵速度やサイドトーン周波数の範囲もバラツキがあります(概ね数パーセント)。ご了承ください。

使い方

機能切換え

モールス練習機能とエレキー機能の切換えは電源投入時のスイッチの状態で判断します。

  • エレキー機能
    • パドルを接続し、そのまま電源投入
    • 起動時メッセージは「73」
  • モールス練習機能
    • モノラルケーブルで電鍵(ストレートキー)を接続して電源投入
    • パドルを接続した場合(簡易的に試す場合)は、右パドルを押しながら電源投入
    • 起動時メッセージは「R」
  • スプリアス測定時補助機能
    • 本体側面のスイッチを押しながら電源投入
    • 起動時メッセージは「S」
      • ボタンを押すと12.5HzでのキーイングのON/OFF
      • 停止中は、左パドル(縦振電鍵)での打鍵も可能(連続でONしたいときに)

エレキー機能

エレキーはオープンソースのYACKを搭載しています。コマンドはとても多いので、別のページにまとめました。⇒ YACKコマンド一覧

打鍵速度は左側の可変抵抗で行います。可変範囲は10~30WPMです。YACKの本来の速度調整は、コマンドボタンを押しながらパドルを押して行います。この方法であれば、5~50WPMの範囲に設定できます。なお、可変抵抗による設定範囲(10~30WPM)外の速度が設定された場合は、可変抵抗での速度変更はできません(コマンドボタンとパドルを使って速度を変更してください)。

YACKにはディスプレイなどはないので状態がわからなくなってしまうことがあります(特に、操作に慣れないうちは)。また、テスト中に連続音になってしまったりパドルに無反応になることが何度かありました。電源を入れ直しても状態がわからないままということがあったので、強制的にリセットする機能を設けました。両方のパドルを握って電源を入れるとすべてを初期状態に戻します(メモリも消えてしまいます)。

スプリアス測定時補助機能

これはエレキ―やモールス練習機とは無関係のオマケ機能で、スプリアス測定(スプリアス領域)のためのものです。CWでは25ボー(12.5Hzキーイング)を使用することになっています。ボタンを押すと12.5HzでのキーイングをON/OFFします。

この機能では連続動作になるため、大音量での使用は避けてください。大音量で使う場合は電源電圧を低めにしてください(5V推奨。最大でも7V程度)。

製作編

いきなり組み立てずに、一度、全体を通してご覧ください。流れを把握しておくと作業がスムーズだと思います。

回路図と部品表

回路図と部品表はPDFで用意しております。

参考までに、サイドトーン用のLPFの特性を測定したものを示します。

基板の分割

ケース用の基板を分割し(手で曲げれば簡単に折れます)、バリをヤスリで落とします。長いバリはニッパ(使い古したものや百円均一のものなど)で切り取るとヤスリがけが少なくて楽です。ただし、くれぐれも必要な出っ張りを誤って切ったり削ったりしないよう注意してください。

削った後は粉を拭き取ってください。これまでの経験では、拭き取りよりも丸ごと水洗いするのが楽です。

ヤスリがけを少なくするために接続部分を非常に細くしているため、輸送(輸入)時に基板が割れて(分割されて)しまっていることがあります。どのみち分割して使うものですので、製作・動作には問題ありません。ご了承ください。

ケース仮組み

仮組みしてうまくはまることを確認します。とはいえ、中身が空の状態では、箱状に組み立てるのは結構難しいです。それぞれの孔と突起が上手く嵌合することを確認すれば大丈夫です。

ピッタリはまらない場合は、突起の付け根が直角になっていないためです(製造上の都合)。

まったく隙間なく完全にピッタリというのは難しいです。ご了承ください。

部品のハンダ付け

前述のとおり、チップ部品はすべて実装済みです(47点)。

ジャックや可変抵抗などは未実装ですので、それらをハンダ付けします。

背の低いものから順に取り付けます。ICソケット→LED→2ピンコネクタ(スピーカ)→タクトスイッチ→可変抵抗→電解コンデンサ→DCジャック→3.5mmジャックの順が妥当かと思います。これはあくまで参考ですので、やりやすいように組み立ててください。

LEDは90度曲げて取り付けます。高さは基板にほぼぴったり付く程度です(下の写真を参考に)。また、極性に注意してください。基板上に「+」と示している方がアノードです。

可変抵抗やジャック類など足が複数あるものは、まず、一つだけ仮付けして傾いていないか確認してください(傾いていれば修正)。問題ないことを確かめてから残りの足をハンダ付けします。

DCジャックと可変抵抗(SWなし)の固定足は長すぎるので適宜カットします(底板までは2mmです)。

下の写真が、一通り部品を取り付けた状態です。ハンダ付け忘れやブリッジがないか、また、電解コンデンサの向きは間違えていないか、今一度確認してください。

スピーカにケーブルをハンダ付けします。外側のランドにつけてください。内側はボイスコイルがハンダ付けされていますので、触らないほうが無難です。

動作確認

部品の付け忘れ、付け間違い、向きの間違い、ハンダ忘れ、ハンダブリッジがないかチェックしてください。また、電源とGNDがショートしていなことも確認します(電源スイッチを入れ忘れないように)。

間違いがなければ、電源をつないで、スイッチを入れます(この段階では、まだマイコンは挿し込みません)。LEDが点灯するはずです。電圧のチェックポイントは下の写真のとおりです。

電圧がOKであることを確認したら、一旦、電源を切ります。

マイコンを向きに注意して挿し込み、スピーカを接続して電源を入れます。LEDが点灯し、YACKの起動音(73)が聞こえるはずです。

動作しない場合、その原因の大半は(この節の冒頭にも書いたとおり)次の三つです。

  • 部品の付け間違い(向きの間違い)
  • ハンダ不良
  • ハンダブリッジ(ハンダくずの貼り付き)

ルーペなどを使ってじっくりと、焦らず落ち着いてチェックしてください。

ケース組立て

この順番通りでなければダメというものでもありません。ご自分のやりやすい方法で構いません。ここで示した順序は一例とお考えください。

まず、底板にビス(長い方)を通します。

裏に適当な板を当てがいます。ケースの天板を使うのが手っ取り早いです。

この状態でビスが上に向くようにひっくり返して置きます。

スペーサを取り付けます。

部品を実装した基板の裏の枠内に放熱ゴム(熱伝導ゴム)を貼り付けます(保護シートは両面とも剥がしてください)。

熱伝導ゴムの位置を確認して基板を底板の上に乗せ、スタンドオフで緩く締めます(スタンドオフが外れない程度に、軽く取り付けます)。

基板を持ち上げつつ、前後のバネルをはめ込みます。

LEDの出具合も確認します。大きく飛び出させる必要はありません。

可変抵抗とジャックのナットは軽く取付けます(締め付けない)。

スピーカをM2.5のビス、ワッシャ、ナットで上面パネルの裏にネジ止めします。

「Speed」の印字がある側のビスは、飛び出した部分をカットします(ニッパなどで)。どちらかよくわからなければ、両方ともカットしても構いません。

側板二枚立て、スピーカのコネクタを接続します。

タクトスイッチにキャップを被せます。キャップの差し込みはかなりきついので、スイッチの後ろに指を当てて支えなが押し込みます。支えないとスイッチに無理な力がかかってしまいますので気をつけてください。

スピーカのケーブルを挟まないように気をつけつつ天板を被せてビスで留め、可変抵抗とジャックのナットを適当に締めます(強く締め付けすぎないように)。

可変抵抗にツマミ取り付ければ完成です。

ツマミが緩いようでしたら、アルミフォイルを被せると良い具合になると思います。

好みで底板にゴム足を貼り付けてください。

サイドパネルがガタつく場合

左右の側板は上下の板に挟まれているだけで固定されてはいません。パネル(基板)の製造上の具合によっては左右の板にガタツキが生じるようです。そうすると、スピーカの振動によってパネルが動き、音が濁ってしまいます。

この対策としては、スタンドオフに適当なクッションを挟み、左右の側板を押すようにしてガタを止めるのが簡単で効果的なようです。

外部スピーカ端子

オプションとして、側板に外部スピーカ端子を付けられるようにしています。

マイナスドライバを差し込んでこじれば簡単に取れます。

丸ヤスリ等でバリを削ってください。

スピーカの配線を切ってジャックに取り付けます。下の写真を参考にしてください。

ソースコード

Zipでまとめたものをこちら置いておきます。

  • ソースとコンパイル済みバイナリを同梱しています。それぞれ、srcフォルダとbinフォルダ内です。
  • binフォルダにはavrdudeでUSBaspを使って書き込むバッチファイルも入れてあります。
  • ソフトウェアはMicrochip Studioで開発しました。新規プロジェクトを起こしてすべてのソースコードを読み込めば大丈夫だと思います。
  • デバイスはATTiny85を指定してください。
  • コンパイルオプション(-D)には次の3つを付けてください。
    • F_CPU=1000000UL
    • YACK_STRAIGHT
    • YACK_SPEED_POT

より良いものが公開されることを期待します。

モバイルバッテリを使う場合

本機は5Vで動作しますので、モバイルバッテリで使用することもできます。ただし、一般的なモバイルバッテリでは電流が少ない場合は、一定時間で電源が切れるようになっています。そのような場合は、こちらを利用すると、自動電源断を回避できます。中継タイプか、ケーブルタイプをお使いください。

ただし、すべてのモバイルバッテリに対応しているわけではありません。ご了承ください。

また、低電流モードを持ったモバイルバッテリなら、自動電源断の問題は起きません。いくつか挙げておきます。参考にしてください。

頒布

頒布品はキット(部品セット)です。完成品ではありません。

【注意事項】

  • 部品の調達の都合上、上の写真とは異なる場合があります。
  • ケースはプリント基板を利用して作ったものです。多少の色むら等があることがあります。
  • コストダウンのため、ほとんどの部品は海外通販で調達しています。そのため、部品の表示が読みづらい(印字が薄い、偏ったり潰れたりしている)ものがあります。何卒、ご了承ください。
  • 本機のマニュアルは当ページがすべてです。紙媒体はありません。また、本機は電子工作の経験がある程度ある方を対象としております。電子工作の基本については、こちらのページに参考になりそうなサイトなどをまとめてあります。
  • 資源の有効活用のため、梱包材は再利用することがあります。
  • 仕様や頒布価格は予告なく変更することがあります。
  • 本機の組立てや使用による怪我・事故等には責任を負いません。

【ケース色】

【価格】

オプションのUSB電源ケーブルはこちらです。PCのUSBポートやUSB充電器などで使えて便利です。必要に応じてどうぞ。

【申込みフォーム】

※これは申込み専用フォームです。申込み以外(問合せ等)には使用できません。

こちらにご入力いただいたメールアドレス宛に、追って、振込先等をお知らせします。入力ミスのないようお願いします。また、ここにご住所等は書かないようにお願いします。

こちらにご入力いただいたメールアドレス宛に、追って、振込先等をお知らせします。

この記事のタイトルとURLをコピーする
スポンサーリンク