トロイダルコアによるコイルのインダクタンス測定 ~ 測定器総動員編

トロイダルコアに巻いたインダクタを手持ちの測定器を総動員して測定してみる。

測定器

用意した、と言うか、用意できる測定器は以下の通り。

  • FA-VA5
  • OSA103 Mini
  • SARK100
  • DE-5000
  • 参考として、計算値

これらで測定して、同じ(ような)結果になるか?

治具

測定に先立って治具を用意した。BNCコネクタにDIP ICのコネクタを付けたもの。これは、JL1NIEさんのアイデア。

先端に付いているのは、キャリブレーション時に使うショートピン。当初は付けておらず、抵抗の足を切ったものをICソケットに挿してショートさせていたが、どうにもやりづらいので、ふとひらめいてショートピンを付けた。ショートさせるだけなので2ピンでもいいのだけど、測定中にショートプラグをなくさないようにダミーを付けて3ピンにした。

ロード(キャリブレーション)用の50Ωは100Ωの金属皮膜抵抗を二本並列にした。一応、デジタルテスタで測定して、二本でちょうど50Ωになるように、ペアを探した。後になって思うと、カーボン抵抗の方がペアを探しやすいかもしれない(金皮抵抗だと精度が良いためバラツキが少ない。手元のものは100Ω以下に集中していてペアにできるものを探すのに苦労した)。これも後で思うと、せっかくDE-5000があるんだから、これを使えばもう少し正確な抵抗値が探せたように思う。まぁ、これはいつでもできるので、また今度。

以下は、この治具を使って測定している様子。

FA-VA5

FA-VA5単体で測定したが、参考として、一つ、VNWAソフトを使ったものも掲示しておく(T50-6、38回巻き)。

OSA103 Mini

こちらは、PC上のソフトウェアを使って測定するしかない。カーソルを動かして目的の周波数でインダクタンスを読み取る。

SARK100

DE-5000

測定結果

線材は0.4mmポリウレタン線。

巻数(インダクタンス値)と個数、および、測定周波数は、後日使用予定を念頭に。

T50-6

測定周波数: 2MHz

巻数FA-VA5OSA103SARK100DE-5000計算値
385.755.795.75.8785.78
35(1)4.995.015.05.0944.90
35(2)5.045.075.05.1844.90
  • DE-5000の測定周波数は100kHz(以下同様)
  • インダクタンスの単位はµH
  • 測定器によって読み取れる桁数が異なる。ここでは、表示された値をすべて掲示した。

T37-6

測定周波数: 6MHz

巻数FA-VA5OSA103SARK100DE-5000計算値
262.102.102.22.1492.03
25(1)1.971.982.12.0441.88
25(2)2.001.992.12.0401.88

測定周波数: 11MHz

巻数FA-VA5OSA103SARK100DE-5000計算値
191.191.181.2281.08
18(1)1.071.071.1200.97
18(2)1.051.031.0850.97

※SARK100は測定治具を付けただけで1.3µH程度を示してしまうため、測定できない。概ね、6.5MHz位から治具だけでインダクタンス値が0を超えてきた。

測定周波数: 23MHz

巻数FA-VA5OSA103SARK100DE-5000計算値
140.6350.6360.6740.59
13(1)0.5500.5540.5970.51
13(2)0.5510.5540.5960.51
12(1)0.4790.4830.5170.43
12(2)0.4980.4970.5350.43
110.4120.4170.4500.36
100.3410.3410.3750.30

測定周波数: 27MHz

巻数FA-VA5OSA103SARK100DE-5000計算値
20(1)1.291.341.3681.20
20(2)1.321.371.3861.20
19(1)1.151.191.2151.08
19(2)1.181.221.2431.08
19(3)1.171.211.2331.08

T50-2

測定周波数: 23MHz

巻数FA-VA5OSA103SARK100DE-5000計算値
110.6590.6740.6970.59
100.5600.5730.5920.49

以前の測定値との比較(リード線の影響は?)

以前測定したものは、多く巻いた状態(T50-6は40回巻き、T37-30回巻き)から、ほどきながら行った。したがって、徐々にリード線部が伸びる。

uBITX用のLPFを設計するにあたり、まずは、トロイダルコアの巻数と目的周波数でのインダクタンスを調べておく。 測定方法等 測定にはO...

それに対して、今回は、リード線はできるだけ短い状態で測定した(とはいえ、後日の使用予定に合わせてある程度の長さはあるが)。

ということで、リード線部の影響がどんなものか表にしてみる。なお、以前の測定ではDS-5000とOSA103 Miniで行ったが、OSA103 Miniではプローブが今回とは異なるし、そもそも、キャリブレーションできていなかったというオチなので、DE-5000での測定結果だけを比較する。

  • T50-6
巻数計算値前回今回
385.786.205.88
354.905.445.18
  • T37-6
巻数計算値前回今回
262.032.212.15
251.882.092.04
20(長)1.201.521.38
20(短)1.201.301.38
191.081.221.23
140.590.850.67
130.510.760.60
120.430.640.53
110.360.590.45
100.300.530.38

対周波数特性

折角の機会なので、対周波数の特性をいくつか測定してみた。

T50-6、38回巻き

※記事冒頭のグラフ。測定範囲等が以下のものとは違うことには留意。

T37-6、19回巻き

T37-6、11回巻き

T50-2、10回巻き

まとめ

FA-VA5とOSA103 Miniの結果はかなり一致している。

SARK100は、キャリブレーション時にはこの治具を使っていない(測定時は、同じ治具を使った)。その分、不利だと思う。それでも、実用範囲内じゃなかろうか?ただし、6MHzまで。それ以上は、この治具との組合せでは測定できない。

DE-5000での測定値は、やや高めに見える。しかし、VNWAソフトでの測定結果(グラフ)を見ると、この程度の低い周波数(100kHz)では、インダクタンス値が大きくなる傾向のようだ(T50-6/38回巻き、DE-5000で5.88µH、FA-VA5(VNWAソフト)で5.85µH)。したがって、DE-5000がズレているということではないだろう。

この範囲では、計算値とも割とよく合っているのではなかろうか。

リード線長の影響に関しては、やはり、わりとあるようだ。このときのリード線長はせいぜい5~10cm程度。DE-5000では100kHzでの測定であることを考えると、周波数が高くなればリード線の影響はさらに大きくなるだろう。長いリード線で測るくらいなら、計算値の方がアテになる感じか?