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JLCPCBで面付け基板の部品実装をやってみた

JLCPCBでの部品実装はこれまで何度かやってみた。最近は専用のKiCadプラグインがあるので、それを使うと非常に簡単。

次のチャレンジとして、同種面付けの部品実装をやってみる。ここで問題になるのは、BOMやCPLファイル(実装位置情報リスト)。同じ基板を複数並べるのだから、同じ部品番号が複数存在することになるわけで。

しかし、案ずるより産むが易し。やってみたらなんてことはなかった。これもKiCadプラグインで解決。以下、その手順。

基板設計

まずは、KiCadで通常通りに基板を設計する。

面付けはミシン目

続いて、これをコピーして複数個並べる。このときの注意点として、部品実装する場合は基板の分割指示はミシン目限定。

JLCPCBでは、部品実装しないならV-cutもできるのだけど、部品実装する場合は残念ながらV-cutは使えない。PCB Assembly FAQsから引用。

10. What are your requirements for the panelized board?
Please panelize your boards with mouse-bites, V-cut panels are not supported currently.

「mouse-bites」って「ネズミがかじる」ってことだろうけど、日本語なら「ミシン目」が妥当かなと。専用の用語があるの中?それとも、そのままマウスバイトで通じる?

分割用の「タブ」の幅は最小4mm。ミシン目にするなら最小5mm。PCB Manufacturing & Assembly Capabilitiesのページから引用。

穴の条件は、その上にあるこれとおそらく同じだろう。つまり、穴径が0.5~0.8mm、穴間隔が0.2~0.3mm。

この仕様にそって、KiCadで面付けする。

接続部拡大。

割ったときにギザギザ部が外に出ないようにミシン目を基板側に食い込ませた。が、これはイマイチだった。実際の様子は後ほど。

ガーバ、BOM、CPL出力

ガーバファイルなどの設計データはプラグインを使って吐き出す。その手順はこちらの記事とまったく同じ。面付けだからと言っても特別なことはなにもない。

出力されたBOMはこうなっている。

部品番号は面付けの数の分だけ枝番が付いたものが作られている。今回は四面なので、C1は、C1_2、C1_3、C1_4がつくられている。数量もそれに対応(一台分の四倍)。

CPLもそれに応じて各部品が配置されている。

これを手動でやるとしたら大変だけど、プラグインを使えば何も考えなくてよい。ものすごく楽。

発注

吐き出したファイルを使って発注する。基本的な流れは面付けなしと変らないのでサラッと。

面付けの指示は下の図の赤矢印のところ。

  • Different Design: 1(同種面付けなので)
  • Delivery Format: Panel by Customer(面付け済みファイルを自分で用意しているので)
  • Panel Format: 2 x 2(縦横二つずつの四面取り)

面付けするとEngineer feeが発生し、Board代もちょっと高い(二面付けにするくらいなら面付けなしで枚数を増やしたほうが安いかも)。

続いて実装指示。

File provided asでファイルの内容に関しての情報を指定する。もし、基板一枚分だけの情報のBOM等の場合は「Sigle Piece ~」の方を選択(やったことがなく、未確認)。でも、プラグインが自動的に面付け情報を反映してくれたファイルを生成してくれているので「Complete File ~」を選択すればよい。

実装部品の仕様や実装位置(向き)などをチェック。このあたりは面付けなしの場合と同じ。

あとはカートに保存して決済すれば発注完了。

仕上り

実際に受け取った基板がこれ。

指示通りにちゃんとできている。当たり前だけど、それでもやっぱり嬉しい。

しかし、基板の接続部分はやや失敗。まず、上のように接続してしまったため、分割し辛い。どういうことかというと、割ろうとすると接続用の捨板が邪魔になるのだ。捨板にもミシン目を入れればよかった。もしくは、捨板がつながっている必要はまったくないので、接続タブの部分だけにすればよかった。

そして、割ったときに、下のようにギザギザ部が少し飛び出す。結局、ヤスリがけしなきゃいけない。飛び出さないようにするには、ミシン目部は基板側に完全に入れておく必要がありそう。


ということで、面付けありの場合の部品実装も難しいことはなにもない。KiCadのJLCPCBプラグインを使えば大丈夫。

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