WSJT-X 2.6.0-rc5がリリースされた。前回rc4だったので、そろそろ正式版が出るんじゃないかと思っていたのだけど、残念ながらもう一度rc版。リリースノートを見ると結構変更点がある。まだ安定していないのかな?個人的に興味をひかれたものを抜粋。
- Improved FT8 decoding on crowded bands. - The Working frequency table now offers the following options: - Better handling of more than one frequency per band. - Set your preferred frequencies, WSJT-X always comes back to these QRGs when changing band or mode. - You can label your frequencies with descriptions (e.g. DXp AB0YXZ). - Option to set Start and End Date/Time, so that the frequencies automatically appear and disappear. Useful for contest or DXpedition QRGs. - Load a frequency table from a file to easily get all such data implemented. - Correct a flaw in Hound mode that sometimes prevented completion of QSOs with non-standard calls. - Correct a flaw that prevented WSJT-X from always initializing correctly when special operating activities were enabled. - Correct a flaw that caused wrong Tx frequencies to be written to ALL.TXT. - The GUI has been improved regarding some details. The controls now scale better at different font sizes and on different operating systems. - When in Hound mode and click the "H" button again, the frequency is now kept. This gives the user the following two options to return to normal FT8 mode: - Click the "H" button again. Then you will stay on the QRG. - Click the "FT8" button (or use the Settings menu). It brings you back to the default FT8 QRG. --- 【DeepLによる訳】 - 混雑したバンドでのFT8デコードを改善しました。 - Working frequency tableに以下のオプションが追加されました。 - バンドごとに2つ以上の周波数を扱うことができるようになりました。 - 優先周波数を設定し、バンドやモードを変更するときに、WSJT-Xは常にこれらのQRGに戻ります。 - あなたは説明(例えば、DXp AB0YXZ)であなたの周波数をラベル付けすることができます。 - 開始と終了の日時を設定し、自動的に周波数を表示したり消したりするオプションがあります。コンテストやDXpeditionのQRGに便利です。 - ファイルから周波数テーブルをロードして、簡単にそのようなすべてのデータを実装することができます。 - ハウンドモードで、時々、非標準のコールでQSOの完了を妨げる欠陥の修正。 - WSJT-Xが特別なオペレーティング・アクティビティーが有効な時に、常に正しく初期化されない不具合を修正。 - 誤ったTx周波数がALL.TXTに書き込まれる不具合を修正しました。 - GUIを細部にわたって改善しました。コントロールは、異なるフォントサイズと異なるオペレーティングシステムでより良くスケールするようになりました。 - ハウンドモードで "H"ボタンを再度クリックすると、周波数が保持されるようになりました。これにより、ユーザーは通常のFT8モードに戻るために次の2つのオプションを得ることができます。 - もう一度 "H"ボタンをクリックします。そうすると、QRGにとどまります。 - "FT8"ボタンをクリックします(または設定メニューを使用します)。それは、デフォルトのFT8 QRGに戻ります。
この他にも修正や改善がたくさんある。なるほど、正式版リリースとはならなかったわけだ。
使い勝手の面では、周波数登録画面が変更され、それにともなって周波数変更時の挙動が変ったことが大きい(正しくは逆で、周波数変更時の挙動を変えるために登録画面を変えたのだろう)。DXペディションでは通常とは違う周波数が使われることが多く、その周波数を登録しているとわけが解らなくなる。詳細は上に引用したリリースノートのとおりだけど、少し視点を変えて整理しておく。
- 登録する周波数にラベル(説明)を付けられる
- 登録する周波数に期限を設定できる
- 登録する周波数に「優先」フラグを設定できる
- バンド等を変更した際には、この周波数が(優先的に)選択される
- Houndモード時に「H」ボタンを押すとその周波数にとどまる
- Houndモード時に「FT8」ボタンを押すと「優先」周波数に移動する
これはかなり便利。設定画面はこんな感じ。
「Pref」にチェックを入れるとそれが優先扱いになるみたい。「Description」がリリースノートで言うラベルだろう。期間はスタートとエンドが書き込めるようになっている。とりあえず、Prefだけ使ってみる。
「Pref」にチェックを入れたものには「*」が付いている。HoundモードでHボタンやFT8ボタンを試してみたら、ちゃんと上に書いた動作をしてくれた。これで「どれがFT8の標準周波数だっけ?」と悩まないで済む。
少し運用してみた。問題なく使える(当然ながら)。
rc4ではCATコントロールなしで使うとクラッシュするという問題があったが、それも解消しているみたい(しばらく運用した限りでは、その問題に遭遇していない)。
なお、rc5の使用期限は2023年3月31日。
正式版がリリースされた。
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