FNIRSI DSO-TC2 レビュー(オシロスコープ兼パーツテスタ)

Banggoodからレビュー用としてFNIRSIのDSO-TC2を送ってもらった。これは、片手サイズの装置で、オシロスコープとパーツテスタを兼ねたもの。

なお、ここで言う「パーツテスタ」は私の造語。抵抗やコンデンサ、ダイオード、トランジスタなどを手軽に測定できる装置。Amazonなどでも安いものなら1,000円くらいから見つかるよくあるもの(安いものはケースなしの基板むき出しだけど)。これといった決まった名称はないようなので「パーツテスタ」としておく(これはこれであまりにも汎用的な言葉だとは思うけど)。

主な仕様

マニュアルはメーカのサポートページで公開されている(サポートページにDSO-TC2のマニュアルはあるが、製品ページにはDSO-TC2はない。なぜだろう?)。

以下、マニュアルから抜き出し(て適当に和訳し)たもの。

オシロスコープ

サンプリングレート2.5MS/s
アナログ帯域200kHz
入力インピーダンス1MΩ
垂直軸10mV/div ~ 10V/div
水平軸10μs/div ~ 500s/div
PWM出力周波数: 0~80kHz, デューティ: 0~100%, 振幅: 5.0V

パーツテスタ

トランジスタ極性、hfe等
FET種別、極性など
ダイオードVf
ツェナダイオードツェナ電圧など
コンデンサ25pF~100mF
抵抗0.01Ω~50MΩ
インダクタ 10μH~1000μH
PWM出力1.5kHz~9.99MHz

その他(サイズ等)

ディスプレイ2.4インチTFTカラー
電池1500mAh リチウムイオン
充電USB Type-C,+5V
サイズ79x103x31mm

外観

販売されているモデルは二種類あり、スタンダードとアップグレードという区分になっている。アップグレードは1:10のプローブがセットになっている。今回送ってもらったのはアップグレード版の方。プローブは箱に入ってはおらず、別添。箱は立派な化粧箱で、ホログラムのステッカで封されている。

中身一式。端子はMCX。なので、プローブにはBNC-MCXのアダプタが添付されている。充電用にUSBケーブルは添付されているが充電器(ACアダプタ)はない。

ネジ類は見あたらない。ということは、はめ込みなのだろうけど簡単に開きそうにはないので内部のチェックは諦める。

測定

では、実際に測定してみる。

モード選択

電源を投入すると動作モードを指定する画面が表示される。

上下の矢印で選択して「OK」ボタンを押せば良い。

オシロスコープ

操作

オシロスコープでは、一般的にプローブ補正用の1kHz矩形波の出力端子がある。このDOS-TC2にはその端子はないが、代りにPWM出力がある。周波数とデューティを指定できる。デフォルトでは1kHz、50%になっているようだ(電圧は5V)。

AUTOボタンを押せば良きに計ってくれるので簡単に表示できる。

マニュアル操作もできる。現在対象になっているものは青で表示される。上は0V基準の移動マーカ(左端の三角)が操作対象になっている。上下ボタンで移動できる。この状態でOKを押すと、次は垂直軸(現在200mVと表示されている)、その次は水平軸(500us)、カップリング(DC)、と順次切り替わる。切替えは一方向で逆戻りはできない。

ところが、問題があった。上の状態では波形が文字に重なって見づらいので基準レベルを下に移動した。そうするととトリガ電圧(右端の三角)が波形から外れるのでトリガ電圧を下に移動した。そうすると、トリガが上手くかからなくなってしまう。

同期が取れなくなり、波形がチラチラ動いて止まらない。

トリガモードをNormalやSingleにすると波形自体が表示されない。

垂直軸の基準レベルを(大きく)移動した場合は、操作はできるが測定できないという状況。オート操作のあとで垂直軸の基準レベルはそのまま動かさなければNormalトリガやSingleトリガも使える。でも、これはバグだろう。

また、画像キャプチャ(ファイル保存)の機能はなさそう。

正弦波

アナログ帯域のテストのために、正弦波を1kHzから徐々に上げて波形の確認(1Vpp)。信号源はファンクションジェネレータUTG962E

以下、測定結果。測定は上述の問題もありオートで。

  • 1kHz, 10kHz
  • 100kHz, 150kHz
  • 200kHz

200kHzで0.77Vppという結果なので、仕様通り(デジタルオシロのアナログ帯域は-3dB(1/√2)が確保できる範囲)。とはいえ、水平スケールの最小が10μs/divなので、高い周波数では厳しい(見づらい)。

矩形波

  • 10kHz
  • 20kHz
  • 50kHz

アナログ帯域が200kHzなので、50kHzの矩形波はこんなものか。

ちなみに、下は同じ波形を別のオシロスコープで見たもの。元の波形が鈍っているわけでないことの確認のため。

パーツテスタ

電源投入後のモード選択で「Mos Test」を選択すればすぐに測定される。連続して測定する場合は「TEST」ボタンを押す。しばらく放置していると自動で電源が切れる(オートオフ時間は設定で変更可能。デフォルトは1分)。

抵抗、コンデンサ、インダクタ

いくつかの部品をDE-5000の測定結果と比較する。

  • 100Ω

DE-5000の画面が霞んで見えるのはアンチグレアの保護シートを貼っているため。実際にはこんなには見づらくないのだけど、写真にするとかなり霞んで見えてしまうようだ。

  • 4.7kΩ
  • 10kΩ

DE-5000、バックライトを付けてみたけど、画面の見づらさ(写真写りの悪さ)はあまり変らず…。

  • 100kΩ
  • 100pF(セラミック)
  • 0.22μF(フィルム)
  • 100μF(電解)
  • 100μH
  • 2.2mH

その他のデバイス(ダイオード、トランジスタなど)

ここからはDSO-TC2だけで測ってみる(ちゃんとした比較対象を持っていないので)。

シリコンダイオード

VfではなくてUfと表示される…。

ショットキーバリアダイオード
ツェナダイオード

ダイオード二つ(両方向)と見なすみたい。Vz(ツェナ電圧)は3.7Vのもの。

ツェナダイオードは専用測定モードがあるのでそちらで測ってみる。このモードには、「OK」ボタンで移行する。各機能は上下ボタンで選択。

下は、三つのツェナダイオードを測った様子。Vfは、それぞれ、3.3V、3.7V、4.5V。

バイポーラトランジスタ
FET

まとめなど

オシロスコープのアナログ帯域は仕様どおり200kHzはあるようだ。安価なオシロスコープだと全然満たしていないものが多いのだけど、これはその点は大丈夫。水平軸の最小が10μsということもあり、低周波用。トリガが上手くかからなくなる不具合がある(詳細は上に書いたとおり)。

パーツテスタの方は測定値の精度はあまり良いとはいえない(そもそも精度は謳われてない)。とは言え、目安にはなる。パーツが壊れていないか、それらしい値かというチェックには使える。VfがUfと表示されるなどの不具合がある。

ファームウェアのアップデートができるようなので(PCにつないでファイルをアップロード)、不具合が解消されることを期待したい。なお、現時点(2022年8月2日)では新しいファームウェアはリリースされていない。

使い勝手の面では、バッテリが内蔵されているので手軽に使える点は良い。ただし、オシロスコープモードではバッテリインジケータがない。ちょっと残念。パーツテスタモードでは測定の際にバッテリの電圧が数値で表示される(でも、残り量が直感的にわからない)。

ソケットに入らない部品の測定用にクリップが添付されているけど、これをソケットに差すのがやりづらい。これを差す用のピンソケットがあればと良いと思う。

全体的な印象は、「多くは望めないけど、値段を考えれば納得。機動性が良い便利な小道具」といった所かな。