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FNIRSI DSO-TC3 レビュー(オシロスコープ兼パーツテスタ)

Banggoodからレビュー用としてFNIRSIのDSO-TC3を送ってもらった。ハンドヘルドサイズのオシロスコープ、シグナルジェネレータ、パーツテスタを一つにまとめたもの。

このDSO-TC3は以前レビューしたDOS-TC2の上位機種という位置づけのよう。

結論からいうと、DSO-TC2よりも新しいDSO-TC3の方が圧倒的に良い。値段はあまり違わないので、買うならDSO-TC3を選ぶべき。

主な仕様

マニュアルはメーカのSUPPORT & DOWLOADのページで公開されている。以下、マニュアルから抜き出して、DSO-TC2と比較したもの。マーカは勝っている方。

先にざっくりまとめると、DSO-TC3はオシロとシグナルジェネレータの機能・性能を強化したもので、他は同じ。

オシロスコープ

DSO-TC3DSO-TC2
サンプリングレート10MS/s2.5MS/s
アナログ帯域500kHz200kHz
入力インピーダンス1MΩ1MΩ
垂直軸10mV/div ~ 10V/div10mV/div ~ 10V/div
水平軸1μs/div ~ 10s/div10μs/div ~ 500s/div

シグナルジェネレータ(DDS)

DSO-TC3DSO-TC2
正弦波1~100kHz / 0~3.3V
矩形波1~100kHz / 3.3V
PWM1~100kHz / 3.3V / 0~100%1~80kHz / 5.0V / 0~100%
三角波1~100kHz / 3.3V
ランプ波1~100kHz / 3.3V / 0~100%

※DSO-TC2のPWMはオシロ機能の一部。

パーツテスタ

DSO-TC3DSO-TC2
トランジスタ極性、hfe等極性、hfe等
FET種別、極性など種別、極性など
ダイオードVfなどVfなど
ツェナダイオードツェナ電圧などツェナ電圧など
コンデンサ25pF~100mF25pF~100mF
抵抗0.01Ω~50MΩ0.01Ω~50MΩ
インダクタ 10μH~1000μH10μH~1000μH

その他

DSO-TC3DSO-TC2
ディスプレイ2.4インチTFTカラー2.4インチTFTカラー
電池リチウムイオン1500mAh リチウムイオン
充電USB Type-C,+5VUSB Type-C,+5V
サイズ79x103x31mm79x103x31mm

※DSO-TC3には電池容量の記載がない。

外観

DSO-TC2と同様に、オシロプローブなしのモデルとありのモデルがある。今回送ってもらったのはありの方。

付属品類はDSO-TC2と同じ(簡易プローブ、パーツテスタ用クリップ、USBケーブル(充電用))。マニュアルは四カ国ご対応だけど、日本語はない。内容はダウンロードできるものと同じ(多分)。

別添のプローブは100MHz対応品。

測定

モード選択等

赤ボタンを押すと電源が入る。

左右のボタンで目的の機能を選んで「OK」ボタンで確定。

また、「OK」ボタンは長押しすると「MENU」として働く。

ボタンを押したときのビープ音の音量を変えたり、液晶の明るさを変えられる。Aboutを開いてみたらバージョン番号が表示された。V0.3は現時点(2023年5月)でダウンロードできる最新のファームウェア。

MENUから抜けるのは赤ボタン。

オシロスコープ

操作

DDS端子に信号が出ているようなので、これを使ってプローブ補正ができる。測定は、AUTO。左右のボタンでAUTOを選んで「OK」を押せば良い。起動時はAUTOの位置にあるので、そのまま「OK」を押すだけ。

縦軸の基準位置(0Vレベル)は左の矢印。これを選択して上下の矢印で位置を動かせる。0Vレベルを動かすとトリガポイントが外れてしまう。トリガポイントは右の矢印なので、これも同様に動かせば良い。本当は、0Vレベルの移動に合わせてトリガポイントも動いてくれると便利なんだけど。

DSO-TC2では0Vレベルを動かすとトガポイントを移動してもトリガがかからなくなってしまうという問題があったが、DSO-TC3ではその点は改善されている(上の写真の通り)。

トリガの位置は画面の中央ではなく、左端のようだ。左右(時間軸)に対してトリガ位置を移動することはできないみたい。

また、測定値表示を消すこともできないようだ(測定値表示はHOLDボタンの長押しでオン/オフできる)。フォントはDSO-TC2よりも見やすくなっている。また、カーソル機能はない。

このあたりはかなり割り切った設計になっている。

正弦波

アナログ帯域のテスト。仕様は500kHz。

今回も信号源はファンクションジェネレータUTG962Eを使う。電圧は1Vpp。測定は、すべてAUTOで行う。

  • 100Hz, 1kHz
  • 10kHz, 100kHz
  • 200kHz, 300kHz
  • 400kHz, 500kHz

500kHzでも0.83Vppなので、アナログ帯域の仕様はクリアしている(帯域の定義は0.7倍になった周波数)。

しかしながら、400kHz位からはトリガが怪しくなって、波形がふらふらする。そのため、周波数の表示が正しくない。

  • 680kHz

電圧レベルが0.7倍になるのは680kHz程度。ただし、上にも書いたように、トリガが怪しくて波形がふらふらする。

矩形波

  • 10kHz
  • 100kHz

アナログ帯域が500kHzという仕様なので、こんなものか。

  • 200kHz

200kHzはさすがに厳しい。

シグナルジェネレータ

ジェネレータを選択すると上のような画面になる。波形は上下のボタンで選択。波形によって設定できるパラメータ(周波数や振幅など)が異なる。

いくつか測定してみる。測定にはHantek 2D42を使用する。

正弦波

  • 1kHz, 10kHz

0Vを中心に上下に振っているのではなくて、プラス側だけでの振幅。オフセット電圧の設定はない。

「Amp: 3.0V」の意味はVppのようだ。

  • 100kHz

100kHzはこの機能の上限周波数。

振幅がやや小さくなっている(2.68Vpp)。

矩形波

10kHzと100kHz。

上限である100kHzでは立上り・立下りのなまりはこんなものか?

PWM

10kHz、デューティ比10%。

三角波

10kHz。

ランプ波

10kHz、デューティ比10%。

パーツテスタ

BSIDE ESR02 Proでの測定結果と比べてみる。

抵抗

コンデンサ

コイル

ダイオード(LED)

ダイオード(ショットキーバリア)

ダイオード(ツェナ、7.5V)

ツェナダイオードはBSIDE ESR02 Proでは測れないのでDSO-TC3による測定結果だけ。

トランジスタ(NPN)

トランジスタ(PNP)

MOSFET

J-FET

まとめなど

オシロスコープ機能はDSO-TC2と比べてかなり良くなっている。

  • 0Vレベルを動かすとトリガがかからなくなる問題が解消
  • アナログ帯域が200kHz→500kHz拡大
    • ただし、300kHzを越えたあたりからトリガがふらつく
  • 水平軸の分解能が10μ/div→1μs/divに向上
  • フォントが見やすい
  • バッテリインジケータがついた(DSO-TC2ではオシロモードにはなかった)

シグナルジェネレータは簡易的ながら数種類の波形に対応している。DSO-TC2はPWMだけだった。

パーツテスタは、おそらく、DSO-TC2と同じ。

価格はDSO-TC2と比べてさほど上がっていない。2023年5月18日時点でDSO-TC2が$48.99、DSO-TC3が$52.99。いずれも、プローブ付きモデルの価格(ちょうどセールが行われている)。この差ならDSO-TC3が絶対に良い。また、プローブの有り無しでも数ドルしか違わないので、セットで購入するのがお得。

できることは少ないけど、逆に少ないからこそ、操作に悩むことも少ない。強いていうなら、画面(波形)の保存機能があるともっといいのだけど。USB端子を備えているのだから、保存したものをPCに吸い上げられると便利だと思う(この端子を通じてファームウェアの更新ができるようになっているので、充電専用というわけではなくて、データ通信機能も持っているはず)。

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  • クーポンコード: BG99b0f3
  • 有効期限: 2023/6/30
  • 適用価格
    • standard(プローブなし): $39.99
    • advanced(プローブあり): $43.99

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