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マルチバンド端部給電アンテナ

CQ誌の記事が気になった

CQ ham radio 2018年5月号を買った(もうだいぶ前だけど)。

一番気になった記事は、これ。

“HF帯を1本のワイヤ・エレメントで賄うマルチバンドの端部給電アンテナの製作”

シンプルなマルチバンド対応のアンテナはやはり魅力的。

端部給電アンテナ

その前に、まずは、端部給電アンテナのおさらい。例えば、λ/2ダイポールの場合はエレメントのセンタから給電する。それに対して、端部給電アンテナはその名の通り、エレメントの端から給電する。λ/2長のエレメントの場合、端点は高インピーダンスなので、低インピーダンスの給電線との間にマッチング回路を設けて接続する。マッチング回路には、LC並列共振回路を使った例が多い(共振時にインピーダンスが大きくなる)。「EFHW アンテナ」「End Fed Half Wave」「ツェップライク」などで検索するとたくさん見つかる。ちなみに、「J型アンテナ」「J pole」もλ/2のエレメントにスタブでマッチングを取っている格好。

また、似たものに、Half-Wave Flower Pot Antennaというものがある。

Half-Wave Flower Pot Antenna – VK2ZOI
http://vk2zoi.com/articles/half-wave-flower-pot/

これは、同軸ケーブルをコイル状にして、目的の周波数での自己共振を利用しているようだ。

GAWANTも似ていなくもないけど、こちらは、エレメント長がλ/2ではない(波長に対してずいぶん短い)。おそらく、エレメントも含めて全体で共振回路になっている。こちらは、MicorVertに近いのだろうと思う。

マルチバンド?

さて、EFHWアンテナ、その名が表すとおり、エレメントの長さは1/2波長。マッチング部もLCによる共振回路であるならその定数は周波数に依存する。したがって、モノバンドアンテナ。一方、今回のCQ誌のものは、EFHWであるにも関わらず、マルチバンド。

どういうこと?

と思って誌面を開いて、納得。

つまり、整数倍の周波数でも電波が乗るということ。3.5MHzのλ/2は、7MHzのλ/2×2であり、かつ、10.5MHzのλ/2×3、14MHzのλ/2×4、17.5MHz(約18MHZ)のλ/2×5、21MHzのλ/2×6…。40mのワイヤを張れば、WARCバンドを含めて、全バンドで使える(原理的には)。ワイヤ長が20mなら、7、14、21、28MHzが乗る。

では、マッチング部はどうする?通常のLC共振回路では周波数に依存するので使えない。そこで、トランスで強制的にインピーダンス変換をしている。誌面で紹介されているのは、FT114-43に27回巻き。下から4回のところでタップを出して、ここから給電。巻数比で4:27 = 1:6.75。インピーダンス比だと2乗なので、50Ω:2278Ω、と2kΩ以上のインピーダンスが得られる。

これで思い出したがの、JL1NIEさんのブログの記事。

Glue-EFHWの製作 – JL1NIE ’s blog
http://jl1nie.hatenablog.com/entry/2017/12/31/221957

こちらは、モノバンドのEFHWアンテナ。しかし、マッチング部はLC共振回路ではなく、トランスによるインピーダンス変換方式。コアはFT37-43で、巻き数は3:27。1:9なので、インピーダンス比では50Ω:4050Ω。先のものは約2kΩで、こちらは約4kΩ。2倍も違うけど、このあたりは、エレメントの長さの調整でマッチングが取れるところを見つけるということだろうか?

ところで、JL1NIEさんはギボシを使ってエレメント長を変えることでマルチバンド化していた。

Glue-EFHWのマルチバンド化
http://jl1nie.hatenablog.com/entry/2018/01/04/212137

この方がしっかりマッチングが取れそうな気がするが、「大体合っていればOK」くらいのつもりなら、7MHz用の長さのままで14/21/28MHzはいけるのかも知れない。

オマケ:2m用J型アンテナが430で使える

そう言えば、2m用のJ型アンテナが430でもSWRが低かった。これは、145MHz×3=435MHzと、整数倍だからだろう。

同じポール上の430用2λ/3ヘンテナと比べると、受信ではヘンテナの方が若干いい感じ(送信では比較ていない)。が、使えないこともないという印象。ヘンテナはヌルポイントがあるので、その角度に対してなら2m用J型の方がいいかと思う。

ということで、今回のCQ誌の記事のお陰でいろんな断片的な知識がつながった。

CQ ham radio 2018年 05 月号

CQ ham radio 2018年 05 月号

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関連記事

“EFHW” – the end-fed half wave antenna
http://pages.suddenlink.net/wa5bdu/efhw.htm
※下の方に「”NO TUNE” EFHW MATCHER」という記事がある

Multiband end fed antennas 3.5 – 30mHz
http://pa-11019.blogspot.jp/2012/04/149-transformer-for-endf…

Antenna End Fed risonante per HF
http://nuke.ik0ixi.it/Antenne/LOlandesina/tabid/606/Default….

使っているコアや、巻数比はまちまち。トラップコイルを入れることで対応バンドを増やしたり。

コメント

  1. JK4HNN より:

    はじめまして、JK4HNNと申します。いつも読ませていただいております。

    EFHWアンテナについて当局のblogで記事を書きました。貴局の記事を参考にさせていただきました。まあまあちゃんと飛んでくれるようですね。今後ともよろしくお願いいたします。

    https://575lchnn.blog.fc2.com/blog-entry-637.html

    • jh4vaj より:

      わざわざご連絡いただき、ありがとうございます。
      興味深い結果ですね。もし、アテナアナライザをお持ちでしたら、同調点はどこか調べてみると面白いかもしれません。
      それから、参照先URLは通常のテキストではなく、リンクにしておくとクリックで飛べて便利かと思います。