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概要・特徴
8~12Vを入力して5Vを出力するDC降圧コンバータです。
少し背景を。ステレオミニアンプSAAP01の電源をスイッチング式のACアダプタからリニア電源に変えてみたら驚くほど音が変りました。
このようなオーディオ用のリニア電源を使うと音が良くなる(好ましくなる)ことがわかりましたので、一般的なスイッチング式ACアダプタでももうちょっとマシな音にできないかと作ったものが今回の装置です。端的に言えば「安価でももっといい音を」ということです。
本装置の構成は三端子レギュレータによる単純な降圧コンバータ。一般的なリニア電源のトランスや整流回路の代りに(スイッチング)ACアダプタを使おうというものです。
その他、ノイズ対策を少し施しています。また、平滑用のコンデンサをたくさん載せられるようにしています。
実際の効果については、感覚的なことになってしまうので難しいですが、上の記事のリニア電源と比べて違いが私にはわかりません(つまり、良いと思っている)。そうした感覚的な話ではなくて、スイッチングACアダプタからのノイズの除去の様子の測定した記事はこちらです。
主な仕様は次のとおりです。
- 入力電圧: 8~12V
- 出力電圧: 5V
- 最大電流: 3A(発熱に注意)
- 入力DCジャック: 2.1/5.5mmセンタプラス
- 出力端子数: 最大4口(スクリューターミナル)
- サイズ: 100×100×25 mm(突起物は含まず)
少し補足すると、入力電圧の最大値はもっと高い電圧(例えば15V)でも使えますが、発熱が増えるだけで無駄ですし、発熱によって保護回路が作動して出力が出なくなります。最低で8Vあればよいので、ACアダプタで一般的な電圧で言えば9Vのものが効率が良いです。また、出力電圧は変更可能です(抵抗の組合せ次第。詳細後述)。
また、三端子レギュレータ(とその周辺)を載せずに、5V入力でそのまま5Vを出力するノイズフィルタとして構成することも可能です。
本装置のノイズ除去効果や発熱に関してはこちらの記事もご覧ください。
使い方
DC inジャックに電源(ACアダプタ)をつなぐと、DC out端子から所定の電圧が出力されます(出力ケーブルはオプションとして用意しています)。
電源スイッチはありません。通電中は正面のLEDが点灯します。
SAAP02と並べた様子です。
製作編
いきなり組み立てずに、一度、全体を通してご覧ください。流れを把握しておくと作業がスムーズだと思います。
回路図と部品表
回路図と部品表はPDFで用意しております。
部品についての補足
本キットは、基板とケースだけの形態と、標準的な部品も含めた「おまかせ部品セット」の二種類を用意しております。
下の写真が「おまかせ部品セット」で組んだ様子です。三端子レギュレータは底板に取り付けるので、この状態ではまだ付けていません。
おまかせ部品セットでは動作に必要なすべての部品が揃っています(ACアダプタや出力ケーブルを除く)。電解コンデンサは、低インピーダンス品を採用しています。なお、おまかせ部品セットの内容は調達の都合で変更することがあります(メーカ、スペック、数量など)。
基板とケースだけのものでは、必要な部品はご自分で調達していただくことになります。言い換えると、部品選択の自由度が高いわけですので、お好みのもの・こだわりのものを調達して下さい。必要な部品は部品表を参考にしてください。
部品表に秋月電子の販売コードを入れています(クリックでその部品のページが開きます)。なお、おまかせ部品セットで採用している部品がこれとは限りません(電解コンデンサは国内で調達、それ以外は海外通販も含めてあちらこちらから)。
以下、部品の選定方法などを解説します。回路図の部品番号と照らし合わせてご覧ください。
電解コンデンサ
入力部に5個(C2~C6)、出力部に8個(C10~C17)、それぞれ載せられるようにしています。好みのもの(好みの容量)を好みの数だけ搭載してください。耐圧に注意してください。
ケース内は天板まで18mmですので、高さにも注意してください。
お好み部品セットでは入力側に1000μFのものを2個、出力側に2200μFのものを3個入れています。ケース内にはまだ余裕があるので追加することも可能です。
三端子レギュレータ
LM350を使います。必要な出力電流が小さめならばLM317も使用可能です(LM317には1Aのものと1.5Aのものがありますので注意)。SAAP01で使うなら1.5AのLM317でもOKです。
出力電圧はR1とR2で設定できます。回路図の定数でほぼ5Vです。他の電圧で使いたい場合は適切に変えてください。(1+(R1/R2))*1.25で計算できます(詳細はデータシートを確認してください)。
出力端子
最大で4口実装できます。おまかせ部品セットでは2個です。
DCジャック
2.1/5.5mmのDCジャックを使いますが、秋月には定格電流が0.5Aのものと4Aのものがあります。4Aのものを購入してください。
ケース部材の分割
ケース用の基板を分割し(手で曲げれば簡単に折れます)、バリをヤスリで落とします。長いバリはニッパ(使い古したものや百円均一のものなど)で切り取るとヤスリがけが少なくて楽です。ただし、くれぐれも必要な出っ張りを誤って切ったり削ったりしないよう注意してください。
出力端子用の穴は必要な数だけあけてください(あける場所もお好みで)。マイナスドライバなどを隙間に差し込んでこじれば簡単に取れます。
削った後は粉を拭き取ってください。これまでの経験では、拭き取りよりも丸ごと水洗いするのが楽です。
ヤスリがけを少なくするために接続部分を非常に細くしているため、輸送(輸入)時に基板が割れて(分割されて)しまっていることがあります。どのみち分割して使うものですので、製作・動作には問題ありません。ご了承ください。
ケース仮組み
仮組みしてうまくはまることを確認します。とはいえ、中身が空の状態では、箱状に組み立てるのは結構難しいです。それぞれの孔と突起が上手く嵌合することを確認すれば大丈夫です。
差し込みがきつい場合は、突起の角をヤスリで軽く削ってください。製造上、穴の角は丸くなるのでときが入りにくいことがあります。
また、奥まで差し込めず、隙間が出てきてしまう場合は、突起の付け根を直角に削ってください。これも製造の都合で丸くなってしまうためです。
部品のハンダ付け
三端子レギュレータ以外の部品を基板に実装します。
抵抗、セラミックコンデンサ
基板はチップ部品とリード部品のどちらでも実装できるようにしています。おまかせ部品セットではリード部品を採用しているので、チップ部品はありません。
インダクタ
唯一の表面実装部品です。が、非常に大きなものですので、サイズに関しての問題はないでしょう(上の写真で、DCジャック近くの黒くて四角い大きな部品)。ただし、逆に大きなものですので、ハンダ付けの際にはしっかり加熱してハンダを流してください。
電解コンデンサ
お任せ部品セットのものは背が高いので横に倒して実装します。実装する場所はお好みで決めてください。
DCジャックと出力端子
これらの部品は足がやや長めです。そのままでは底板に当たってしまうので、適宜切ってください。底板までの距離(スペーサの厚さ)は2mmです。
電源逆接続保護ダイオード
D1のダイオードは、電源を逆接続してしまったときの保護用です。基板の設計・製造が終ったあとで大電流タイプに変更したため(設計段階のものでは小さすぎることが判明したので)、基板の穴ピッチが部品よりも狭くなってしまっています。そのため、実装前に下の写真のように足を曲げ加工します。
これを基板の穴の上にハンダ付けします。穴径も細いので足は入りません。
LED
写真のように曲げて取り付けます。基板上に+と印字のある方がアノードです。寸法は大体で大丈夫です。最後に現物合わせて調整します。
※この写真は製作がもっと進んだ状態のもののためLEDにキャップを取り付けていますが、キャップはケースに組み込む際に取り付ければ良いです。
ここまでの出来上がったところで、一旦、電源とGNDがショートしていないかチェックしておきます(入力側、出力側とも)。
三端子レギュレータ
下の写真のように足を加工します。根本で一旦下に曲げ、その後、上に曲げます。
基板の穴にスムーズに刺さるように足の間隔や曲がりを調整します。
放熱シートと絶縁ワッシャ、M3皿ネジ、ワッシャを使って底板に三端子レギュレータを取り付けます(底板は放熱板を兼ねています)。この時点ではネジを締め付けないで軽く止める程度にしておきます。
底板に、裏からM3x10のビスを差し込みます。
ビスが落ちないよう、天板を当てて裏返します。
ビスにワッシャを通します。
基板を載せて、M3x18のスタンドオフで軽く固定します。この段階では強くは締めません(ビスが抜け落ちないことが主目的です)。
三端子レギュレータの固定ネジを締めます(それなりの力で)。その後、その三端子レギュレータをハンダ付けします。
この状態で動作させ、正しい電圧が出力されるか確認します(その前に、入力側、出力側とも電源とGNDがショートしていないことを確認しておきます)。回路図の定数なら概ね5V(4.9~5.1V程度)が出ればOKです。
ケース組立て
底板はすでに取り付け終っているので、あとはLEDキャップ、側板、天板の取り付けです。
まずは、LEDにキャップを被せます。
回路基板を少し持ち上げるようにして前後の側板をはめ込みます。LEDが上手く顔を出すように調節してください。
左右の側板も同様に立てます。左右の区別はありませんが、上下の違いはあります。また、insideの表示がある方が内側です。
天板をかぶせ、M3x6のビスで留めます。プラネジですので、あまり強く締め付けないでください。
最後にゴム足を貼り付けて完成です。
なお、添付してあるゴム足は高さが低いため、SAAP01・SAAP02と重ねるとネジの頭がぶつかります。ゴム足を替えるなどの工夫をしてください。
背面パネルには電圧に関する印字を施しています。チェックを入れたり、設定した電圧を書き込んで的お使いください。
入力側も同様ですが、最低電圧を7Vと表示してしまっています。これは私の勘違いです。LM350やLM317では大きな電流を流すと2.5V程度の電圧降下が生じます。また、逆説保護のダイオードでの電圧降下もありますので、最低でも8V必要です(出力電流が小さければレギュレータなどによる電圧降下が小さいので、入力電圧は7Vでも大丈夫ですが)。申し訳ありませんが、何卒ご了承ください。
※上の写真では5Vは黒マジックで塗りつぶしてあります。写真だと塗りムラがひどく見えますが、肉眼ではこれほどひどく見えません(インクの種類にもよるかと思いますが)。
ノイズフィルタとして使う場合
降圧コンバータとしての使用ではなく、単にノイズフィルタとして使う場合は、三端子レギュレータとその周辺部品(下の図の赤枠内)は実装しません。その代りに、VINとVOUTをショートします。具体的にはD2の代りに適当なワイヤを使ってつなぎます。
その他の電解コンデンサなどは、使用する電圧に応じて適切な耐圧のものを実装してください。
D1のダイオードを実装するとその分の電圧降下が生じます。電圧降下を小さく押さえたいならショットキーバリアダイオードにしてください。それでも気になるようならダイオードは実装しないで適当なワイヤでショートしてください。F1のフューズも同様です。
なお、これで動作するはずですが、実際に組んだり、動作確認まではしていません。ご了承ください。
頒布
- 部品の調達の都合上、上の写真とは異なる場合があります。ネジ類も同様です。
- コストダウンのため、ほとんどの部品は海外通販で調達しています(電解コンデンサは国産品)。
- 基板に若干の色ムラがあることがあります。格安基板製造サービスを利用しているため、ある程度は仕方ないようです(ひどい場合は作り直してもらっていますが、ゼロにはならないみたいです)。より高品質な製造サービスならきれいに仕上がるかもしれませんが、コストが大幅に上ってしまいます。ご了承下さい。
- 本機のマニュアルは当ページがすべてです。紙媒体はありません。また、本機は電子工作の経験がある程度ある方を対象としております。抵抗のカラーコードやコンデンサの値の読み方など、基本的なところの説明はしていません。電子工作の基本については、こちらのページに参考になりそうなサイトなどをまとめてあります。
- 資源の有効活用のため、梱包材は再利用することがあります。ご了承ください。
- 仕様や頒布価格は予告なく変更することがあります。
- 本機の組立てや使用による怪我・事故等には責任を負いません。
【価格】
- 頒布価格
- 本体
- 基板+ケース: 1,000円
- 基板+ケース+おまかせ部品セット: 2,000円
- オプション: DCケーブル(AWG 18、約25cm、赤センタ、2.1/5.5mm): 180円
- 本体
- 送料: 280円
- 支払い方法: 銀行振込
【申込みフォーム】
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