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KD8CECさんによるUV-K5 HFフルバンド化をフレキ基板でやってみる

uvk5cec / HF

UV-K5のカスタマイズの一つで、FMラジオチップ(BK1080)を外して代りにSI4732-A10を載せて短波ラジオ機能を強化しようというもの。

バージョンアップを重ねて、現時点(2024年3月2日)での最新はバージョン0.3。

プリント基板化

改造例ではSI4732-A10を(裏返して)UV-K5の基板に両面テープで貼り付けて、空中配線する案が提示されている。もちろんそれでもできそうだけど、空中配線は苦手。そこで、プリント基板化を考える。

簡単な回路なのでプリント基板にするのは難しくはないだろうが、普通に作ると基板が厚すぎてUV-K5の筐体に収まらない。などと考えていたら、JLCPCBでフレキシブル基板のお試しクーポンがあったことを思い出した。厚さは0.11mmだそうなので、両面テープと同じくらいだろう。これなら行けそうと作ったのがこちらの記事のもの。

KD8CECさんの最初の記事を元にKiCadで設計。リセット回路は100μFと12kΩだったけれど、手持ち部品の都合で10μFと100kΩに変更。ついでなので放電用のダイオードも載せた。それと、SI4732-A10のVDD端子にパスコン。

設計完了後、すぐにでも基板を発注したかったのだけど、中国はちょうど春節で休暇中。そうこうしているうちにバージョンアップの記事(0.2HF)が公開されて、そこではリセット回路は不要となった。しかし、その代りにリセット用の配線をちょっと遠くから引っ張ってこなければならない。

基板の設計はすでに済ませたし、リセット回路は部品を載せなければいいだけだし、こちらのローカルリセット方法でも良いだろうと思うので、回路はそのままにしておく。

もし、この回路上のリセット回路を使わないなら、D1、R1、C3を付けずに、代りにUV-K5の所定の場所からリセット信号を引っ張ってくる。そのあたりはKD8CECさんの説明を参照。

さらにその後、0.3HFが発表され、AMIに接続するアンテナに関してUV-K5基板上のCを1μFにすると良いとの話があった。あの小さいCを交換するのは難しいので、こちらの基板上に1μFを載せることにした(上の回路図のC1)。UV-K5基板上は、そのCを外してショートすれば良い。

基板を紙に印刷して搭載した時の様子を確認しておく(下の写真は紙がちょっとズレた位置になってしまっている)。

実装

基板組立て

まず、基板のカット。

外したICの代わりに載せる部分のパッドを半分くらいにカット。カットの目印のラインをシルク印刷に入れておいたのだけど、パッドに重なっているのでほとんど印刷されていない(まぁ、そうなるだろうとは思っていた)。

左上あたりの二つのハンダジャンパは、下の方がKD8CECさんの回路図通りにするもの(SI4732-A10のROUTを元々のLOUTとROUTにつなぐ)。上のジャンパはSI4732-A10のLOUTとROUTをそれぞれ元々のLOUTとROUTにつなぐ。詳しくは上の回路図を参照。

SI4732-A10やX’talはAliExpressで調達した(CRなどは手持ち品だけど、それらも入手先はすべてAliExpress)。

UV-K5の元々の回路はこちら(GitHubにあるリバースエンジニアリングの成果から引用)。

RoutとLoutはミックスして一本になっているので、SI4732-A10のROUTとLOUTをそのままストレートにつないでも良さそうだけど、まずは指定通りの配線にしておく。

BK1080除去

元々付いているBK1080を外す。1mmくらいのスズメッキ線をコの字に曲げてハンダ付けし、すべての足をまとめて加熱。周りの他のチップ部品を外さないように気をつけつつ。

基板取付け

掃除して新しいハンダを少し盛る(ちょっと盛りすぎたかも…)。

裏もパッドにしてあるので、所定の位置に基板をおいて上から加熱すれば付く(はず)。

BK1080のかわりにこの基板を取り付けたら、あとは固定用のパッドを使ってUV-K5の基板に固定。一つはGND、もう一つはUSB-Cのケースへ。特にGNDはコテの熱を全部持っていかれるのでかなり付けづらかった。

BK1080の5ピンのそばのチップ部品(おそらく抵抗)の存在を見落としていたようで、基板の下になってしまったがフレキシブル基板なので大丈夫そう。いや、当初は気づいていたのだけど、C1を増設する際に基板サイズを少し広げて、そのときに見落としたようだ。全体的に右側には少し余裕があるので、そちらに移動させればよかった。

【余談】追加した基板上のCやRは2012M(0805)サイズ。つまり、2.0×1.2mm。UV-K5の基板上のチップ部品が如何に小さいかが良くわかる。

改造

KD8CECさんの記事で受信性能向上のためとして挙げられている改造を行う。下の写真は氏のブログから引用。

MOD.S1で指示された二つの部品(おそらくL57とC103)を取り除く。MOD.S2のコンデンサ(おそらくC102)も除去し、ここはショートする。代りの1μFは増設した基板上に取り付けてある。

これで完成のはず。

動作確認

ファームウェアをダウンロードして書き込む。

従来のFMラジオへの切替えと同様に、「0」ボタンの長押しで切り替えられる。ところが、動かない。切り替えたつもりがまったく何も反応しなくなる。切り替え前はボタン操作を受け付けていたのだけど、切替後はまったく無反応。電源を切るしかない。

問題はハンダ付け不良だった。SI4732-A10の11番ピンか12番ピン、あるいは、その両方が接続不良。ハンダ付けをやり直したらちゃんと動いてくれた。事前にテスタでも確認していたのだけど、テスタでの確認の際はICの足を上から押さえつける格好になるので、その力で接触していたのだろう。

一応、受信はできるのだけど、どうも感度が悪い。今のところ原因不明(← ハンダ不良)。

また、ExitでHF受信モードから抜けると表示は変るが、HF受信が有効になったまま(← メニュー設定。詳細後述)。それに、おかしな発振状態にもなっているみたい(電源を切るしかない)。

FMラジオではサイドボタンが機能しない。

動作の様子はこちらのビデオ。

  • HF: 感度がものすごく低い
  • FMラジオ: side up/downボタンが正常に機能しない(Exitボタンと同じ動作)
  • Exit –> 表示上はExitするが音声がラジオ放送が聞こえ続ける

【追記】感度が非常に悪いのは、(またしても)ハンダ不良が原因だった。SI4732-A10の8pin AMI、つまり、HF用のアンテナ入力ピンがつながっていなかった。そりゃ、受信できんわ。フレキ基板はたわむので、普通の感覚でハンダ付けしたのではハンダ付け不良を起こしやすいのかもしれない。ということで、それを直しての受信の様子がこちらのビデオ。

AM放送やFM放送はそれなりに聞こえるが、SSBモードでは音量が極端に小さい(LSB、USB共)。なんでだろう?

HFモードからExitしてもHFの受信が継続するのはメニューの設定次第だった。メニューNo.2の「HF Dual」をOFFにすればExitでHFの受信が終了するようになる。HF DualがONだとExitするとパタパタという非常に大きなノイズが聞こえるのが問題。HFモード中でも少し聞こえる。手元の個体の問題か?

ガーバファイル

もし同じものを作ってみたいなら、ガーバファイルを置いておくのでご自由に。

JLCPCBでFlex PCBのクーポンを貰う方法については、こちらの記事で。

とても興味深いプロジェクトを公開してくれいてるKD8CECさんへの感謝を忘れずに。

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