FA-VA5は600MHzまで使えるのか?

FA-VA5のキャリブレーションキットは理想デバイスではない

以前、「FA-VA5の実用域は150MHz程度?」という記事を書いた。

この記事に対して、Twitterで色々と情報を頂いた。

一連の話の中で教えてもらったのが、FA-VA5の開発者さんによるキャリブレーションの解説。

ざっくり理解したところでは、キャリブレーションキットは理想的なデバイスではないことを前提にしているということ。理想的なものではなくてもそれが既知のものであればきちんと校正できる、と。なるほど。

もう一つ興味を引いたのが、この文章。

If you would attach a perfect 50 Ohm load after calibration to the device it would show 50 Ohm. You can test this with a small 50 Ohm SMD resistor soldered to a BNC connector, which comes a little bit more to an ideal 50 Ohm load if done thoroughly.

BNCコネクタに50Ωのチップ抵抗を付けたものを用意すれば、それは理想的な50Ω負荷に近いということ。これはやってみたい。

そのために少々部品を発注していたが、ようやく、物が揃ったので実験。

NanoVNA附属のLoad負荷

まずは、NanoVNA附属のキャリブレーションキットのLoad。これは、「理想50Ω」として扱っているはず。

NanoVNA

NanoVNAのキャリブレーションキットでキャリブレートして、それをそのまま測ったもの。理想デバイスとして扱ってキャリブレーションしているので当り前の結果。

なお、測定周波数範囲はFA-VA5の上限に合わせて600MHzとした。

FA-VA5

FA-VA5用のキャリブレーションキットでキャリブレートして測定。

BNC-SMA変換コネクタを経由して接続。

変換コネクタの影響か、NanoVNAのLoad負荷がこういう特性なのかは判断できないが、ともかくこういう結果。

FA-VA5用のキャリブレーションキットのLoad負荷

NanoVNA

SMA-BNC変換コネクタ経由。

FA-VA5

これが今回の疑問の発端。キャリブレーションキットのLoad負荷を測定したら全域で50Ω(VSWRは1.0)になると思ってたのにそうはならないというもの。

NanoVNA(NanoVNASaver)のものとは縦軸のスケールが違うので違う形に見えるが、数値はだいたい同じ。つまり、このキャリブレーションキットのものはこういう特性ということなのだろう。ちなみに、先程のNanoVNA附属のLoad負荷(+変換コネクタ)よりも悪い。

BNCコネクタに50Ωのチップ抵抗

細い同軸ケーブル用のBNCコネクタに100Ωのチップ抵抗を二つ付けたもの。上手くできていれば、「理想負荷」に近いはず。

NanoVNA

FA-VA5

思った以上に良い特性。NanoVNAでの測定と一致していると言っていいじゃないだろうか?ともかく、FA-VA5用のキャリブレーションキットのLoad負荷とはまったく違う。「BNCコネクタに50Ωのチップ抵抗を付ければ~」との話の通りだ。

LCR共振回路

続いて、LCR並列共振回路も測ってみる。本当はアンテナを測りたいけど、アンテナだと周りの影響で変動しやすいので、その代りとして。

なお、測定周波数範囲が上の実験とは違うので、キャリブレーションし直した。

NanoVNA

かなりブロードな特性。VSWR最低点は、約466MHzで1.03程度。

FA-VA5

だいたい同じような形だけど、VSWR最低点は約460MHzで1.02。周波数が6MHzも違うのが気になるけど、460MHzに対して6MHzということは1%ちょっと。こんなものなのかなぁ?何しろ、帯域が広い(400MHzから500MHzの範囲でVSWRは1.2以下)のでなんとも判断が難しい。

N1201SA

N1201SAでも測ってみる。

面倒なので、VSWRだけ。最低点は、469MHz付近で1.03程度。これまた、最低点周波数がちょっと違う。また、400~500MHzの範囲で一番高いところ(400MHz)が1.4弱と出ている。まぁ、全体的傾向は同じだけど。

まとめとオマケ

FA-VA5は、スペックの通り、600MHzまで使えるのだろうという感触。とはいえ、上に書いたように、VSWRの最低点が三者三様なのが気になる。誤差の範囲なのかなぁ?

それはそれとして、あのキャリブレーションキットののLoad負荷が「理想50Ω」だと思っていたのが間違いの元だった。FA-VA5ではあの特性のLoad負荷を想定しているようだ。しかし、手作りの50Ωダミーロードよりも特性が良くないとは…。

この手作りダミーロード、せっかくなので上の方まで測ってみた。

残念ながら600MHzより上は特性が悪化する。VSWR 1.1以下という条件なら1GHz程度まで?とはいえ、これくらいより上になるとNanoVNAの特性もよくなくなるのでどっちの特性を見ているのかわからないが。

このダミーロード、はっきり言ってちょん付けハンダ。

もっとしっかり付けたかったのだけど、熱をそれなりに加えると絶縁体が変形してしまう。

三つも無駄にしてしまった。この実験だけで使えればいいやと、あの程度で我慢(?)した。

最後にもう一度。FA-VA5が150MHzくらいまでしか使えないんじゃないかと思ったのは誤解だった。また、専用のキャリブレーションキット以外は使ってはいけない。これ、重要。試しに、この比較的理想50Ωに近い自作ダミーロドを使ってキャリブレーションを行って、FA-VA5用のLoad負荷とLCR共振回路を測ったものが下の図。

当然、ちゃんと測れていない。これはやってはいけないとわかる。

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