シュペルトップの短縮率は?分岐導体バランの構造は?

シュペルトップの実験で面白い記事を見つけた。

ヘンテナ・アンテナの作成
http://www.asahi-net.or.jp/~iu1h-amn/Experiment/Ant-Hentena/…

ヘンテナにはシュペルトップがつきものというか(笑

この記事では、シュペルトップの長さは、(λ/4)×0.68 としている。0.68は同軸ケーブルの速度係数(短縮率)。これを乗じることで電気的にλ/4長にしている。考え方はわかるけど、果たして、ここで同軸ケーブルの速度係数を持ち出していいのか?直感的にダメだろうと、ずっと昔から思っていた。

ところが、この記事によれば、この長さで実験的に効果が確かめられたとのこと。うーむ、やっぱり同軸の速度係数を掛けるのが正しい?

ということをtwitterで書いたら、そうではない、というフォローをjh8jnfさんから頂戴した。見れば、氏のブログにもそうした記述がある。

シュペルトップの不平衡電流
https://jh8jnf.wordpress.com/2016/03/23/%E3%82%B7%E3%83%A5%E…

この記事で参照されている別ブログにも詳しい説明がある。

シュペルトップバランの原理をようやく理解
http://ji3csh.air-nifty.com/blog/2012/09/post-df3e.html

さらに、この記事へのコメントで実験結果を紹介してくれた方がいらっしゃる。

シュペルトップの短縮率(4)
http://www.takatoki.justhpbs.jp/maddo/syupe4/syuperu4.html

こちらの実験結果によれば、効果が見られたのは、短縮率0.57付近とのこと。

さらにシビアな考察記事も発見。

伝送速度@比誘電率による短縮率
https://oba-q.com/?page_id=902

この記事によれば、外皮の比誘電率3.5から、シュペルトップの短縮率を0.535と導き出している。ただし、外皮の比誘電率は仕様で規定されているわけではないので、メーカなどによって異なる。なので、上の実験による0.57付近はこれに沿ったものと考えていいだろう。

この中で興味深いのは、144MHzでは26cm前後で効果が見られたというところ。別の方の実験では、26cmでは効果がなかったとある。

バラン製作の準備:分岐導体型バランの実験
http://ji3csh.air-nifty.com/blog/2012/10/post-40b3.html

最初のヘンテナの記事で0.68で効果があったという話といい、こちらの26cmで効果があるという記事とないという記事と、どう理解したらいいんだろう…。


さて、視点を変えて、上の記事にもあった「分岐導体型バラン」。これについても、twitterでjh8jnfさんからそういうものがあるという話を教えてもらった。不勉強のせいで、私は、このバランについては知らなかった。

で、調べてみたのだけれど、あまりはっきりと分かる情報が見つからず、ちょっと混乱状態。

まず見つかったのが、「ユビキタス時代のアンテナ設計」という書籍のプレビュー。

https://books.google.co.jp/books?id=vjC-L3Wy-dwC&pg=PA6…

この64ページの図5.6(e)を見ると、別途λ/4の同軸ケーブルを用意して、芯線同士、外部導体同士を接続したもののように見える。

この他に見つかったものは、特許情報。

ダイポールアンテナ・プリント基板用バラン(公開番号: 1994-188610)
http://astamuse.com/ja/published/JP/No/1994188610

これの背景技術として紹介されている図4(b)。これを見ると、給電点側で給電用同軸の芯線を、別の同軸の芯線および外部導体に接続しているようにみえる。他端は外部導体だけの接続。しかし、説明にはこうある。

図4(b)は分岐導体型のバランである。<中略>λ/4の同軸ケーブルを用いて、給電用同軸ケーブルの中芯とλ/4の同軸ケーブルの外導体と接続し、λ/4の同軸ケーブルの他端は給電用同軸ケーブルの外導体に接続し、平衡出力は前述と同様に給電用同軸ケーブルの中芯と、外導体から出力する、λ/4の同軸ケーブルは単に導体棒として使用する。

つまり、別同軸の芯線の説明はどこにもない(どこにもつながれてない?)。でも、図では、明らかに芯線もつながっているんだけど…。

別の特許。

八木宇田アンテナ(公開番号: 1998-233619)
http://astamuse.com/ja/published/JP/No/1998233619

これの図8。これだと、明らかに、給電点では別同軸の芯線と外部導体を、給電用同軸の芯線(およびアンテナ)に接続している。反対側は外部導体同士だけの接続。説明文にもそのように記載されている。

この図8において、同軸給電線100に平行にλ/4の長さの同軸ケーブル111を配置する。この同軸ケーブル111の一端を、給電点からλ/4の長さ離れた同軸給電線100の外導体に接続すると共に、同軸ケーブル111の他端を同軸給電線100の芯線が接続される放射素子101−Rに接続する。この際に同軸ケーブル111の他端においてその芯線と外導体をショートしておく。これにより、放射素子101−Rと放射素子101−Lに流れるアンテナ電流のバランスがとれるようになる。

これでようやくスッキリした。

と思ったのだけれど、上の文にはこの続きがある。

なお、同軸ケーブル111に替えてλ/4の長さの導体棒を使用するようにしてもよい。

ん?分岐導体は同軸でなくてもいいってこと?単なる電線でもいいの?そうすると、説明にあった、給電側の接続は外部導体と芯線と、という話は成り立たなくなる。

最後にちゃぶ台をひっくり返された感じ…。

※追記
その後のjh8jnfさんとのtwitterでのやり取りで、分岐用導体に同軸を使う場合は両端とも芯線・外部導体をショートすることが判明。極論すれば、単純に銅線を一本添わせた格好で、それで給電点からの芯線をλ/4下がったところで同軸の外部導体に接続する格好。実にシンプル。どうして、皆さん複雑に書くんだろう?

以前書いた分岐導体バランがどうにも気になるので、唯一見つけた参考文献を買った。 ユビキタス時代のアンテナ設計―広帯域、マルチバンド、至近距...

コメント

  1. 私のサイトを見ていただいたようで、ありがとうございます。

    今日、スペアナ(GigaSt5)を使ってシュペルトップの短縮率を測定してみました。短時間で実施した簡易な実験ですが、今までに求めた値と同じ0.57という結果を得ました。ご参考までに。

    http://www.takatoki.justhpbs.jp/maddo/syupe5/syuperu5.html

    • jh4vaj より:

      わざわざありがとうございます。最新の実験データですね。非常に興味深いです。一般的な(とまで言うと語弊があるかもしれませんが)同軸ケーブルの外皮に網線を被せるスタイルであれば、種ペルトップでは短縮率0.57とするのが良さそうですね。
      これほどまでにいろんな数字が氾濫しているのは、実測が難しいからでしょうね。そうした意味で、非常に貴重な実験データだと思います。