PR

積層セラミックコンデンサの容量を測定したら、ずいぶん小さい???

積層セラミックコンデンサの容量の測定結果が定格より小さい

DE-5000を入手し試しに色々測ってみたら、積層セラミックコンデンサ(MLCC)の静電容量が小さく表示されてしまった。

DE-5000、LCRメータを導入
1µHより小さいインダクタンスを測りたいと思って、秋月で売っているDE-5000を導入した。 導入前の騒動 それまでに一騒動(?)あって、一旦は購入を諦めた。というのは、仕様ではLの測定レンジが「20.000µH(最小分解能0.001µH)...

このときの実験では0.1µFは定格よりも大きく表示されているが、1µFは0.841µF。ここまでは誤差の範囲かと思ったが、10µFに至っては6µF程度と、約-40%。これはいくらなんでも小さすぎる。

これは、秋月で買ったGRM31CF11E106Zという型番のもの。当該部品にはFAQがあった。

チップ積層セラミックコンデンサー 10μF25V 3216 (8個入)の質問と回答
http://akizukidenshi.com/catalog/faq/goodsfaq.aspx?goods=P-0…

【質問】 ハンドヘルド型LCRテスターで測定したところ、30パーセントも低い容量を示しました。不良品ではないですか?
[2015/03/20 13:09:13]

詳細は上のリンクから辿れるが、この質問の回答をかいつまんで言うと、静電容量の測定には測定電圧(と測定周波数)がJISで規定されており、この容量の場合は1Vrmsだけれども、DE-5000では非常に小さな電圧で測定しているので規定の容量を示さないということ。

上のFAQ内にグラフがあるが、この手のコンデンサは電圧によってものすごく容量が変化するようだ。

ちなみに、DE-5000ばかりではなく、手持ちの別のマルチメータでも同様に小さい値を示した。

高誘電率系(大容量)の積層セラミックコンデンサの静電容量を正しく測るには、それ用の特殊な測定器が必要なようだ。

これをきっかけに、積層セラミックコンデンサについて調べてみたら、かなり特徴的な特性を持ったデバイスであることがわかった。

セラミックコンデンサの特性とタイプ

まず、セラミックコンデンサは誘電体によって二種類に分けられる。

TDKのこちらの資料がわかりやすい。

主だったところを抜粋しておく。

  • 低誘電率系(Class 1)
    • 温度による容量変化が少ない
    • JIS: CH、EIA: C0G
  • 高誘電率系(Class 2)
    • 大容量
    • JIS: B / F、EIA: X5R、X7R、Y5V

温度と静電容量

温度と変化の範囲をわかりやすく示した図がこちらにある。低誘電率系は温度による変化は少ないが、高誘電率系は非常に大きい。その中で比較的小さいのはX5R、X7Rあたり。

DCバイアスと静電容量

MLCCはDCバイアスによってもずいぶんと容量が変化するようだ。

ここまでのまとめ

ここまでの話をまとめたようなものが村田のFAQにあった。

ここでは、B特性とF特性を比較したグラフがある(ここの「F」は周波数ではなくて、特性の種類のF)。これを見る限り、F特性は絶望的と言ってもいいんじゃないかという感じ。そのためか、各社のカタログからはF特性の製品は消えていく方向に見える。使わないに越したことがないということか。が、市場には出回っているので注意が必要。

もう一つ、RSコンポーネンツのサイトから。

データシートの例

10µF、25V、B特性

10µF、25V、X5R特性

AC特性からは1Vくらい掛けないと定格の容量が得られないことがわかる。

DCバイアス特性からは定格の上限くらいまで掛けると容量は1/4とか1/5まで低下してしまうことがわかる。定格電圧の1/3~1/5くらいで使うのが無難?

電解コンデンサからの置換え

音質

音鳴き

まとめ・感想

なんだか、まとめサイトのようになってしまったけど、ま、いいか。

低誘電率系(Class 1)

概ね「思ったように」使える。

高誘電率系(Class 2)

使い所が難しい。DCバイアスがかかっていると急に容量が下がる。ということは、平滑回路で使うと期待した容量が得られないことを意味するのではないか?大容量コンデンサの使い所の一つだと思うのだが…。対策としては、

  • 定格電圧の1/3~1/5程度で使う
  • 必要な容量の数倍程度の物を使う

という感じ?

また、微弱な信号でも容量が低下する。1Vp-p程度は必要だと思ったほうが良さそう。オーディオ的にもよくないようなので、カップリングには使わない方が無難か。

所定の方法での測定なら定格通りの値を示すが、実用的には定格値の数分の一の容量しかないと言うか。

使うなら、B特性、X5R特性、X7R特性あたり。F特性は避けるべし、というか、論外と言ってもいいくらいかも。

大容量のセラミックコンデンサって魅力的に思えるが、特性をよくよく考えて使わないとトラブルのもとになりそう。

もう一つ大切なことは、高誘電率系の積層セラミックコンデンサの容量の測定は難しいということ。一般的なLCRメータやデジタルテスタの類では正確に測れない。

おまけ

自作
この記事のタイトルとURLをコピーする
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
jh4vaj

コメント