
電池切れの前に警告を発するインジケータを想定。
シミュレーション

約3.43Vに低下した時点でLEDが点灯。約3.58Vまで上昇すると消灯。点灯と消灯の電圧が違うのは意図的。ヒステリシスを持たせることで、境界あたりでLEDがチラチラ点滅しないように。
Li-Po電池のバッテリインジケータとしての利用を想定している。電池切れになる前に警告灯を表示させるという用途。ちゃんとしたバッテリモニタを載せるのが難しい状況でも、電池切れ前になんとか知らせたい、と。
実機検証
緑LEDは単なる電源パイロットランプ。赤LEDが電圧低下警告。安定化電源を4Vに設定し、スイッチを切ると電圧がスーッと低下し、その過程で赤LEDが点灯する。
警告LEDの点灯電圧は約3.41V、消灯は約3.56Vだった。ほぼ、シミュレーションどおり。なお、シャントレギュレータは、CJ431を使用している。また、LEDは超高輝度タイプのため、R6は1kΩではなく、10kΩにしてある。
こちら、パナソニックのNCR18650Bの放電カーブ(データシートから引用)。

0.2Cや0.5C程度の放電電流なら3.4Vくらいで警告表示するのでちょうど良さそう。
動作原理
以下、この回路の動作原理をGeminiにまとめてもらったもの。
1. 電圧監視の基本ロジック(R1, R2, TL431)
この回路の基本は、バッテリー電圧(V1)を抵抗R1(20kΩ)とR2(51kΩ)で分圧し、シャントレギュレータTL431(U1)の
Vref端子に入力して監視する仕組みです。TL431は、
Vrefの電圧が2.5Vを基準として以下のように動作します。
- Vref > 2.5V(バッテリー電圧が十分高い時): TL431はオンになり、カソード(Vka)の電圧を引き下げます(※通常はGND付近まで落ちますが、本回路では「2.」で後述する工夫により約2.7V付近に留まります)。
- Vref < 2.5V(バッテリー電圧が低下した時): TL431はオフになり、Vkaの電圧はプルアップ抵抗R3(2.2kΩ)によって引き上げられます(HIGHになります)。
このVkaの電圧変化を利用して、後段のNPNトランジスタ(U2)をスイッチングします。バッテリー電圧が低下してVkaがHIGHになった時だけ、U2のベースに電流が流れ、LEDが点灯する論理です。
2. TL431の動作を担保する「エミッタフォロワ構成」
ここで重要になるのが、LED(D2)をトランジスタのコレクタ側ではなく、エミッタ側に配置している点です。
TL431には「カソード(Vka)の電圧が2.5V未満になると正常に動作しない」という特性があります。もし、一般的なスイッチング回路のようにトランジスタのエミッタをGNDに直結してしまうと、ベース電圧(つまりVka)はトランジスタのベース・エミッタ間電圧(Vbe:約0.7V)で固定(クランプ)されてしまい、TL431が動作不能に陥ります。
エミッタ側にLEDを配置することで、Vkaの電圧は以下のように底上げされます。
LEDの順方向電圧(Vf:約2.0V) + トランジスタのVbe(約0.7V) = 約2.7Vこれにより、TL431の最低動作電圧である2.5Vを常にクリアでき、安定した状態遷移が可能になります。
3. ヒステリシスの源泉となるコレクタ抵抗(R6)
コレクタ側に入っているR6(1kΩ)は、「トランジスタがオンになった時に、コレクタ電圧(Vc)を大きく引き下げる」という、この回路の要となる役割を担っています。
- LED消灯時(U2オフ): 電流が流れないため、Vcはバッテリー電圧(V1)とほぼ同じ高い状態です。
- LED点灯時(U2オン): U2がオンになりR6に電流が流れると、ここで電圧降下が発生します。その結果、VcはLEDの電圧とトランジスタの飽和電圧を足した低い電圧(約2.0V未満)までストンと落ちます。
※補足:シミュレーション上は1kΩとしていますが、最近の超高輝度LEDを実機で使う場合は、眩しすぎないようR6を10kΩなど大きくして電流を絞ります。抵抗値を大きくしても、U2がオンになればVcは同じように低い電圧まで落ち切るため、後述するヒステリシスの原理はそのまま成り立ちます。
4. 正帰還による完璧なヒステリシス(R4)
負荷変動によるバッテリーのわずかな電圧上下(サグ)によって、閾値付近でLEDがチカチカ明滅する(チャタリング)のを防ぐのが、VcからVrefへ接続されたR4(220kΩ)です。
- バッテリー電圧低下時(消灯 → 点灯):LEDが消灯している間はVcが高いため、R4はVrefを「引き上げ」ており、ノイズによる誤点灯を防いでいます。しかし、電圧が下がりきってU2がオンになると、前述の通りVcの電圧が急激に下がります。すると今度は、R4がVrefの電圧を強制的に下へ「引き下げ」ます。
- 点灯状態の保持(ロックアウト):Vrefがさらに引き下げられることで、TL431に対して「バッテリー電圧はさらに低い」と錯覚させます(正帰還)。これにより、負荷が止まってバッテリー電圧が多少回復したとしても、TL431はオフの状態を維持し、LEDは点灯し続けます。
シミュレーション波形が示す通り、電圧降下時は約3.43Vで点灯し(Cursor 1)、回復時は約3.58Vまで戻らないと消灯しない(Cursor 2)という、約150mVの深いヒステリシス幅が形成されています。オン・オフの境界で波形が垂直に切り替わる「スナップアクション」が実現されており、曖昧な点灯状態や不快なチャタリングを完全に排除した動作原理となっています。


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