レビュー用としてBanggoodからSA6というスペアナが送られてきたので試してみる。
外観など
NanoVNAのような化粧箱。内容物はSA6本体の他に、同軸ケーブル✕2本、SMA-JJコネクタ、スタイラスペン、USBケーブル、液晶保護シート、取説。同軸ケーブルは硬いセミフレキタイプ。
取説はとてもシンプル。これだけ。裏面は中国語版。
ボタンの説明とスペック表だけ。せっかくなので、スペック表の拡大。
最低周波数は35MHz。つまり、HFには非対応。
最高周波数は、displayed frequency rangeには6200MHzとあるが、measured frequency rangeには4500MHzとある。違いは不明。
トラッキングジェネレータは35~6200MHz。
RBWの記載はなし。IF bandwidthがそれに該当するのかな?だとすれば、200kHz固定のようだ。
tinySA Ultraとのサイズ比較。SA6の方がサイズ自体は大きいが、画面は小さい。金属筐体でしっかりしている。
機能は少ないので操作画面もシンプル。
しばらく触っているとだいたい分かる。唯一分からなかったのがS11の測定。キャリブレーションできるようだけど、そのやり方がわからない。キャリブレーションキットも付属していないし。なので、S11は試さなかった。
測定
信号測定
tinySA Ultraのシグナルジェネレータ機能を使って、100MHz、-20dBmの正弦波を出力し、SA6で見てみる。
まず、100MHz付近。スパンは20MHz。
比較として、同じ信号を(もう一台の)tinySA Ultraで測ったものがこちら。
tinySA Ultraではノイズフロアをここまで下げるにはRBWを3kHzまで下げる必要がある。そのためスイープには時間がかかる(数十秒程度)。一方、SA6では一瞬で表示される。RBW(に相当するもの)が広いため、線の幅は広がってしまうが、形としてはほぼ一致。
続いて、高調波。入力信号はこのままで、測定周波数を上の方に広げる(50~1000MHz)。
同じ範囲でtinySA Ultraでの測定結果。RBWを10kHzにしたので先程よりもノイズフロアが上がっている。しかしこれだけ範囲が広いとスイープには数分かかる。800MHz付近でノイズフロアにギャップがあるのはUltraモードとの境界のため(800MHz以上はスイープ速度が落ちる)。
高調波のレベルはほぼ一致。なお、SA6ではdBc表示はできない。それから、SA6ではいろんなノイズが見えるのが気になる。
そこで、下の写真のよう何も接続しない状態で測定してみた。
入力がない状態でもいろんなノイズが見える。多分、SA6の内部ノイズを拾っているのだろう。
周波数範囲を全域(35~6000MHz)に広げた見た。-85dBm以下にはたくさんのノイズが出ている。また、3000MHzよりも上はノイズフロアが上がっていく。
LPF測定
このスペアナはトラッキングジェネレータを内蔵しているのでLPFの通過特性なども測定できる。
測定に使ったLPFはこちらのもの。
最初に入出力を同軸ケーブルで直結してS21のNormalizeを行っておく。
測定結果。
tinySA Ultraでの測定結果はこれ。
形は似ているけれど、概ね1GHzより上は特性が悪く見える。周波数が上になるほど違いが大きい。
試しに同軸ケーブルを外した状態。
つまり、周波数が高くなるとノイズフロアが高くなってしまい、測定結果に影響する(測定できない)。
これはどうやらトラッキングジェネレータの影響のよう。
まず、トラッキングジェネレータを止めた状態。
これは先程見たものと同じ。
次にジェネレータの周波数を100MHzに固定して動作させた状態。
下の方はジェネレータを止めた状態とだいたい同じだけど、概ね2GHzより上は高調波を拾っている(4.5GHzより上はそれは見えなくなるが)。
次にトラッキングジェネレータとして動作させた場合。
かなりひどい。トラッキングジェネレータからの信号が直接飛び込んでいるようだ。これではLPFの測定は厳しい。
放送波スキャン
試しにFM放送と地デジの電波を見てみた。
地デジの電波は弱いため、tinySA Ultraでは内蔵のLNAを入れることで上のように表示できた。
内部
この装置、液晶保護シートがついているので貼りたいところだけど、出荷時の保護フィルムがケースの隙間に挟み込まれたような状況なので、簡単には剥がれそうにない。そのため、測定の途中までは保護フィルムを剥がさずにやっていた。
でもやっぱり見づらいため、保護フィルムを剥がすことにした。しかし、案の定…。
食いついて剥がれない。
そこで、分解。ネジを外すのは簡単だけど、押しボタンの頭がケースに引っかかって基板が抜けない。じっと眺めて考えた結果、横からマイナスドライバを差し込んで押しボタンのキャップを内から抜いた。これで、基板をケースから抜くことができた。
液晶を外した状態。
各部の拡大など。
出力と入力は基板にスリットが入って分割されているが、シールドなどはない。それで内部で信号が飛び込んでしまっているのじゃなかろうか?
基板の裏面は部品なし。電池が貼り付いているだけ。電池は文字面が見えないので容量等は読めない(仕様上は3000mAh)。
まとめ
- スペアナと言ってもtinySAとは用途が違いそう。
- 広範囲を好感度で高速に見られるので、信号の有無を確認したり、発見したりするスキャナのような用途には合っている。
- トラッキングジェネレータからの飛び込みが大きいので、これはあまり良い使い道が思いつかない。
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