TTCW02 – モールス練習機

概要

いわゆる「モールス練習機」です。電鍵やエレキーを接続して、送信練習をするための低周波発振器です。

ポイントは、比較的きれいな正弦波であること。よく知られたTwin-T型発振回路を使い、386のアンプでスピーカを鳴らしています。

とあるエレキーのモニタ音が矩形波で、もうちょっと何とからならいかと思ったのが、これを作ったきっかけです。

実際の動作の様子はこちらです。

TTCW02 動作状態

キーイングはDSCWで行っています。

特徴

  • 耳に優しい正弦波(に近い波形)です。
  • 発振周波数は、約500~900Hzの範囲で変えられます。
  • 電源電圧は、5~13.8Vと幅広く使えます。ただし、電圧が低いとアンプが歪みやすいようです。静かな屋内で使うなら5Vでも大丈夫だと思います。おすすめは9V以上。
  • 電鍵やエレキーからの入力をそのまま取り出せますので、無線機との間に入れてサイドトーン装置として使うこともできます(要改造、詳細後述)。
  • 発振信号も取り出せますので、F2A装置の信号源として使うことも可能です。
  • ケースもプリント基板を利用して作っており、穴あけ加工は不要です。
  • 割とコンパクトです。49.5mm角、高さは約27mm(突起部は含まず)。
TTCW02 周波数可変範囲

使い方

各部説明

正面のKeyに電鍵、または、エレキーからの出力を3.5mmのプラグで接続します。ボリュームは電源スイッチ兼用です。

背面の電源ジャックにACアダプタ等から電源を供給します。

  • ジャックは標準的な2.1mm(外径5.5mm)のもので、センタが+極です。
  • 電圧は、5~13.8Vです。電圧が低いとアンプが歪みやすいです。静かな室内での使用なら5Vでも大丈夫だと思います。5VならUSBからでも取れるのでお手軽です。
  • ICの定格では18Vまで大丈夫ですが、テストはしていません。

3.5mmのジャックからは、発振信号と、キーのON/OFFが取り出せます。ステレオプラグを使ってください。

  • 信号の配置は、背面パネルの図のとおりです。
  • キー出力は、キーの入力をそのまま出しています。本機の制御と二股でつながった格好になります。
  • 発振信号の出力は、カップリングコンデンサを介して出力しているだけです。バッファは入っていません。そのため、外部につないだ回路によって、本機の発振周波数が影響を受ける可能性があります。F2Aの信号源として使用する際は、バッファアンプを介した方が良いだろうと思います。
  • サイドトーン装置として使う場合、発振信号の取出しを行わなくても、ステレオプラグを使ってください。モノラルプラグを使うと発振信号の取出端子がGNDに接続されてしまい、発振周波数が変ってしまいます。

発振周波数調整

発振周波数の調整は、上面のFreqにドライバを差し込んで、半固定抵抗を回して行います。

希望の周波数には背面のジャックから発振信号を取出してオシロスコープや周波数カウンタにつないで合わせることもできますが、スマホアプリで希望の周波数を発振させてゼロビートを取るのが手っ取り早いと思います。

TTCW02 周波数調整方法

上のビデオで使っているのは、iPhoneのAudio Function Generatorという無料のアプリです。

これに限らず、この手のものはたくさんあります。上のページにも関連アプリがいくつか出ていますし、「トーンジェネレーター」や「信号発振器」などで検索すると見つかると思います。Android用のアプリもあるでしょう。PC用なら、古くから有名なWaveGeneがあります。

なお、ボリュームを大きく右に回すと、発振周波数が若干下がります。発振回路から見た負荷インピーダンスが下がるためです。故障ではありません。回路簡素化のためです。ご了承ください。

製作編

回路図と部品表

回路図と部品表はPDFで用意しております ⇒ TTCW02回路図と部品表

下の図は回路図の雰囲気を掴んでいただくための参考です。

回路図右下あたりのDP1~DP10は設計上の都合のダミー記号です。組立てには無関係です。無視してください。

回路の概要

回路の大まかな構成は、Twin-T発振部と、386による低周波アンプという極一般的なものです。キーイングはトランジスタで受けています。フォトカプラ出力のエレキーなどをそのままTwin-TのON/OFFに入れると、上手く発振しないケースや、発振周波数が影響を受ける場合があるようなので。

386は低域ブーストを行っています。LM386のデータシート「9.2.1.2.1 Gain Control」を参照。ここでこの回路を採用した目的は、低域ブーストを狙ったのではなく、この対策を行うとヒスノイズが減らせるそうだからです。

出力から、1(または、8)ピンにNFBを掛ける。

ヒスノイズ対策として紹介されいる方法をデータシートと照らし合せると低域ブースト回路と同じようでしたので、データシートの低域ブーストの解説を参考にして定数を決めてあります。したがって、周波数特性はフラットではないでしょうが、用途からして問題ないと思います。気になればR9とC11を抜いてください(そうすると、ヒスノイズが聞こえるようになりますが)。

組立て

ここでは、本機を組み立てる際に注意すべき点について記します。

いきなり作り始めず、まずは、全体の流れを掴んでください。手順のイメージが掴めてから始めた方がスムーズに進むと思います。

基板の分割

最初に、基板を分割します。手で曲げれば簡単に割れます。

基板の輸送(輸入)中に、割れて(分割されて)しまっている場合もあります。何卒、ご了承下さい。割って使うものなので組立てや動作に支障ははありません。

分割後はヤスリを掛けてなめらかにしてください。その際、粉塵を吸い込まないよう、注意してください。

正面・側面・背面の各パネルには嵌め込みのための突起があります。間違って削り落とさないよう注意してください。

パネル嵌合穴は、設計上は四角ですが、製造上の限界のため角が丸くなっています。このため、突起の嵌め込みはかなり窮屈だと思います。実際に仮組みしてみて、きつすぎるようなら突起側を軽くヤスリがけして下さい(穴の方をヤスリがけするのは小さいため大変ですから、突起の方をヤスリがけします)。また、突起側も付け根が直角ではなく丸くなっています。嵌合具合を見て、必要に応じてヤスリで調整して下さい。

穴などの具合は、ロットや個体によって差があります。

ヤスリがけ後には、ウエットティッシュなどで粉を拭き取っておくと良いだろうと思います。

チップ部品の取付け

最初に、チップ部品からハンダ付けします。

  • C10, C11: 10µF 3216サイズ(緑枠)
  • C1, C15, C16: 0.01µF 2012サイズ(オレンジ枠)
  • L1: フェライトビーズ: 2012サイズ(黄枠)

チップ部品のハンダ付けに慣れていなければ、大きい3216サイズの部品から取り掛かるのがいいかもしれません。

フェライトビーズとコンデンサは外観からは区別が付きません。間違えないよう、注意してください。

ハンダ付けに関しては、こちらのページにまとめてあります。参考にしてください。

参考になりそうなハンダ付け情報のまとめ。 チップ部品 言うまでもなく、ピンセットは必須。ステンレスなどの非磁性体がおすすめ。好み...
チップ部品が見えないのは 「老眼でチップ部品は見えなく…」などという声をよく聞くけど、チップ部品が見えないのは老眼のせいじゃない。老眼のせ...

チップ部品を取付けた状態です。

フィルムコンデンサは二種類

このキットでは、二種類のフィルムコンデンサを使っています。

左の赤(赤茶)がポリプロピレン、右の緑がポリエステル(別名マイラ)です。

発振部のC3, C4, C5には温度変化の影響を比較的受けにくいポリプロピレンを採用しています。オーディオ信号のカップリング(C6, C14)もポリプロピレンです。その他(C7, C12, C17)はポリエステルです(安価)。0.047µF(473)は二種類あるので間違えないでください。

抵抗の取付け

抵抗は足を曲げ立てて取付けます。基板の丸印側が抵抗器本体です。電気的にはどちらでも構わないのですが、指定にしているのには理由が二つあります。一つは、実装スペースの都合(組み易さ)。もう一つは、万一、曲がってしまった場合もショートしづらいだろう向き(または、つながっている者同士を向い合せ)です。

LEDの足の長さ

LEDの極性は、基板に「+」を印字しています。

パネルの穴から出すために、足の長さの調整が必要です。2mm程度を目安に曲げると良いようです。

パネルを仮付けして高さを調整してください。

部品の足は短く

基板の裏に出る部品の足は、すべて短く切ってください。底板との距離はスペーサ基板の厚み(1.6mm)しかありません。

スピーカのスペーサ

スピーカに、スペーサとしてビニル線(0.65mmの単線)を付けます。ビニル線はちょうどいいくらいの長さにしてありますが、もし長過ぎるようでしたら、適当な長さに切り詰めてください。スピーカのエッジを潰さないように、そのビニル線を金属部分に置きます。二ヶ所です。その状態でパネルにネジ止めします。

上の写真は、わかりやすいように黄色の太めのものを置いています。実際には添付の黒いワイヤを使ってください。

スペーサを挟み込む格好になるため、パネルから若干浮いた格好になります。ネジを締め付けすぎるとスペーサが潰れてしまいます。わずかに浮いたように見える状態が適切です。もし、浮きが気になるようなら、ホットボンドなどで埋めるといいかもしれません(その際は、ホットボンドを付けすぎてコーン紙側に流れないように注意してください)。

このスペーサを入れないと、スピーカのコーン紙が振動する際にケースに当たってしまい、音が歪みます。

スピーカのハンダ付け

スピーカへのリード線は、外側の端子にハンダ付けしてください。内側の端子はボイスコイルがハンダ付けされています。内側のハンダを溶かしてしまうと、ボイスコイルへの配線が外れてしまいます。

リード線は長すぎるとケースに収めにくいので、少し短くした方がいいかもしれません。

ハンダ付けの再確認

すべての部品を取り付け終ったら、全体を組み立てる前に、今一度、付け間違いがないか確認してください。

基板の裏の部品の足が長すぎるものがないか確認してください。底板までの隙間は1.6mmしかありません。

以上がOKなら、電源端子にテスタを当ててショートしていないことを確認してください(電源スイッチを入れるのを忘れないように)。

全体組立て

下から、底板、スペーサ基板(ロットによって色が異なります)、部品実装基板の順です。底板は、ツヤがある方(銅箔が貼られている)方が外です。万一、部品の足が底板に当たってしまってもショートしないよう、銅箔を貼っていない方を内側にします。ビスは長い方を使い、六角スペーサを使って締めます。

前面パネルの取付けですが、その前にLEDに拡散キャップを被せてください。前面パネルにLEDが出るように調整し、ボリュームのワッシャで固定します。

スピーカのコネクタを挿し込み、続いて背面パネルと側面パネルを立てます。側面パネルは左右の違いはありません(同じものです)。いずれパネルも、嵌合突起三つの方が下です。

上面パネルを被せます。各パネルはぐらつくとは思いますが、何とか上手く噛み合わせてください。パネルがはまったら、ネジ止めします。

プラネジは、締め付け時に力を入れすぎると簡単にネジ切れてしまいます。注意して下さい。

最後に、底にゴム足を貼り付けます。

もしかすると、ゴム足は赤丸の位置に貼った方が安定するかもしれません。

調整とトラブルシューティング

上記の「使い方」に沿って、電源と電鍵を接続してください。発振周波数の調整も「使い方」の項を参照してください。

音量を上げていったときに、「プー」という音が「ビャー」というように濁る場合は、二つの原因が考えられます。

  1. スピーカのスペーサが上手く取付けられていない。音量を上げてスピーカの振動が大きくなり、コーン紙がパネルに当たってしまうため音が濁ります。スペーサの取付けを見直してください。また、スペーサがスピーカのエッジを潰していたり、コーン紙に触れている場合、あるいは、コーン紙が破損していたり変形している場合も同様です。
  2. 電源電圧が低い。本機は5V程度から動作しますが、5Vでは音量を上げるとアンプICが歪みやすいです。音量を上げたい場合は、電源電圧を上げてください。9V程度あると、それなりに音量を上げても歪みにくいようです。

改造

  • より大きな音量が必要な場合は、R9の1kΩをショート(0Ω)すると、386の増幅率が上がります。

  • 発振周波数を変えたい(もっと上とか、もっと下とか)は、R6を変更します。ただし、極端に変えると発振しなくなります。発振周波数を大きく変更する場合は、Twin-Tの定数全体を見直してください。

  • 発振周波数の可変幅を変えるには、R5の値を調整します。

  • 外部スピーカを付けるための端子を付けてみました。詳しくは、別記事で。

    モールス練習機「TTCW02」に外部スピーカ用の端子を追加してみた。 使ったのは、3.5mmのモノラルジャック(スイッチ付き)。秋月で...

    基板 V 1.1では、ジャックを取り付ける場所に1mmの穴を開けています。もし改造する場合には、ガイドとしてお使い下さい。


  • 本機を無線機に接続してサイドトーン装置として使用する場合は、下記のオープンコレクタ出力化改造が必要です。


    TTCW02のKey出力端子を使って、自作の無線機のサイドトーン装置として使おうとしたら上手く動作しないという報告があった。 TTCW...

打鍵解読

DSCWを使って自分のキーイングをデコードできます。詳細はこちらの記事で。

概要 TTCW02でキーイングしたものが適切かどうか目で見て分かると面白いだろうと思い、DSCWにつないでみた。 DSCWが打鍵速度...

FAQ

チップ部品の見分け方は?

当キット内のチップ部品は次の三種類があります。

  • C10, C11: 10µF 3216サイズ
  • C1, C15, C16: 0.01µF 2012サイズ
  • L1: フェライトビーズ: 2012サイズ

まず、大きさで見分けます。大きいものが3216サイズ(3.2×1.6mm)、小さい方が2012サイズ(2.0×1.2mm)です。

2012サイズでは、数が多い方がコンデンサ、少ない方がフェライトビーズです。なお、これらは念のため予備を入れてあります(なくさなければ余ります)。

部品パッケージは入手の度に変るので、余計な混乱を避けるために写真は掲載しておりません。ご了承下さい。

チップコンデンサの容量が少ない

デジタルテスタなどのコンデンサの容量が測れるものでチップセラミックコンデンサ(MLCC)の容量を測っても、定格値を示しません。正確な定格値を測定するためには専用の測定器が必要です。言い換えると特定の条件下でなければ定格値になりません。本機でチップセラミックコンデンサを使用している個所は、容量の条件が厳しくないところです(少々値が違っても大丈夫)。

積層セラミックコンデンサの容量の測定結果が定格より小さい DE-5000を入手し試しに色々測ってみたら、積層セラミックコンデンサ(MLCC...

謝辞

頒布に先立ち、組立て検証をしてくれる方をTwitterで募集したところ、多くの方にご応募いただけました。ありがとうございました。

ご応募いただいた方々の中から、今回はJS2AVKさんにお願いしました。春休み中の学生さんということで、すぐに作業してもらえそうなところが、選考の大きな理由です。実際、あっという間に組立ててくれて、部品の不備やマニュアル(このページ)の間違いを指摘してもらえました。また、写真を沢山提供してもらえたので、マニュアルを充実させることができました。改めてJS2AVKさんに感謝します。

頒布

頒布品はキット(部品セット)です。完成品ではありません。

ご希望の方は、下記注意事項等をご確認の上、下のフォームからお申し込みください。

【注意事項】

  • 部品の調達の都合上、上の写真とは異なる場合があります。ネジ類も同様です。
  • コストダウンのため、ほとんどの部品は海外通販で調達しています。ただし、主要半導体(NJM386BD)、および、電解コンデンサは国内調達品です(電解コンデンサは国産品)。この他にも、都合により国内調達品が入る場合があります。
    また、そのため、抵抗のカラーコードやコンデンサの表示が読みづらい(印字が薄い、偏ったり潰れたりしている)ものがあります。何卒、ご了承ください。
  • 本機のマニュアルは当ページがすべてです。紙媒体はありません。また、本機は電子工作の経験がある程度ある方を対象としております。抵抗のカラーコードやコンデンサの値の読み方など、基本的なところの説明はしていません。電子工作の基本については、こちらのページに参考になりそうなサイトなどをまとめてあります。

参考になりそうなサイト 参考になりそうな書籍

  • 資源の有効活用のため、梱包材は再利用することがあります。ご了承ください。
  • 仕様や頒布価格は予告なく変更することがあります。
  • 本機の組立てや使用による怪我・事故等には責任を負いません。

【価格】

  • 頒布価格: 2,700円
    • 2012サイズのチップ部品(コンデンサとフェライトビーズ)は、念のため予備を入れてあります。
    • 本体の他に、USB-DCケーブルが含まれます(長さは約1m)。

  • 送料: 300円
  • 支払い方法: 銀行振込(楽天銀行、ゆうちょ銀行、ジャパンネット銀行)

【申込みフォーム】

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このフォームでお申し込みいただいた時点では、注文が確定されるわけではありません。タイミングによっては、在庫が切れている場合もあります。自動注文システムではなく手動での対応ですので、何卒、ご了承下さい。