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ESPF01 – SSB向けフィルタ付き外部スピーカ

概要

無線機用の外部スピーカです。簡易的ながら、SSB受信向けのフィルタを内蔵しています。パッシブ型のフィルタですので、電源は不要です。

人の声が聞き取りやすいことに重点を置いています(ピュアオーディオ目的のスピーカではありません)。

スピーカボックス(フルセット)とフィルタ基板だけの二種類を用意しています。

フィルタ単体ケース付き(ESPF02)もあります。

特徴

  • 人の声が聞き取りやすい
    • 都市型ノイズによる「シャー」という耳障りな音を軽減するフィルタを搭載
    • フィルタの特性(効き具合)は二段階
    • フィルタをスルーすることも可能
    • フィルタスルーでも比較的聞きやすい音のスピーカを採用
  • 比較的コンパクトな木製エンクロージャ(キャビネット)
    • サイズは約100(W) x 100(H) x 85(D)mm(突起物は含まず)
    • 木製なので好みの色で塗装可能
    • フロントパネルはガラスエポキシ基板(面倒な穴開け不要)

実際の音の様子(ビデオ)はこちらです。

SSB用にと思って作ったのですが、実際に使ってみるとFMでも有効です。というのは、対モービル局。途切れるときの「バシャバシャ」という音が和らぎます(上のビデオにはFM受信の様子はありません。すみません)。

回路の概要

回路図と部品表

フィルタはLCによる極シンプルなLPFです。人の声が聞き取れれば良いのでカットオフ周波数は1.6kHzで設計しました(入出力インピーダンスは8Ω)。下がその回路図です(クリックで拡大します)。部品定数は入手可能デバイスに合わせて調整しています。

SW1がLPFのオン・オフ(スルー)切換え、SW2がLPFの効き具合の切替スイッチです。

J2はヘッドフォンジャックです。外部スピーカ端子に接続するものですので、ここにヘッドフォンをつなぐのはやや強引ですが、ヘッドフォン端子のないリグ(モービル機等)を考慮して付けておきました。ヘッドフォンで使う場合はリグのボリュームを絞ってください。なお、ステレオジャックを使って左右chをパラにしておりますので、プラグもステレオタイプを使ってください(モノプラグを使うとGNDとショートします)。

部品番号定数等数量
C1, C2, C3, C410uF(チップ/3216M)4
L1, L2, L3, L40.68mH(マイクロインダクタ)4
SW1, SW2DPDTトグルスイッチ2
J1(なし)0
J2(基板上の印字はJ14)PJ324M1
J3(基板上の印字はJ15)ピンヘッダ 2p1
プリント基板1

フィルタ特性

フィルタの特性を実測したものが以下です。負荷はスピーカの代りに10Ωの抵抗、測定にはOSA103 Miniを使用しました。スイープ範囲は100Hz~4kHzです。

まず、SW2をオープン(C1、C4だけが有効)。カーソルは1kHzと2kHz。

続いて、SW2をクローズ(C1、C2、C3、C4すべて有効)。

本当は低域(100Hz以下とか)もカットしたいところですが、エンクロージャも小さいですし、本機で採用しているスピーカユニット(F02607H0)ではそんな低域まで出ませんので良しとします。言い換えれば、このスピーカはアマチュア無線用です。放送受信には向きません(低音が出なさすぎ)。

エンクロージャ(スピーカボックス)

エンクロージャは木製です。板は切断・加工済みです(ミニテーブルソーを使った私の手作業)。フロントパネルはプリント基板(ガラスエポキシ基板)で、穴開け・文字入れ加工済みです。

スピーカユニットは秋月電子で販売されているF02607H0です。このスピーカは別の自作機(RZDA02)で使っており、割と聞きやすい音なのでこれを採用しました。

部品名規格等数量
板1100x82x9mm2
板282x82x9mm2
板3(裏板)82x82x9mm(穴開け済み)1
板4(内部補強材兼取付ガイド)69x9x5mm4
ビスM3x64
ワッシャM34
ナットM34
タッピングビスM2.6×88
スピーカユニットF02607H01
ケーブル3.5モノプラブ付き、約1.5m1
フロントパネルプリント基板1

上記の他に、板の端材を入れておきます。なお、板のカットは私の手作業のためそれなりの誤差があります(板厚もさほど精度が高いものではありません)。ご了承ください。

この他、紙ヤスリや木工ボンド、塗料(水性ニス)が必要です。

組立て

ここでは、本機を組み立てる際に注意すべき点について記します。

いきなり作り始めず、まずは、全体の流れを掴んでください。手順のイメージが掴めてから始めた方がスムーズに進むと思います。

フィルタ基板

組立ての前に部品をチェックして下さい。

フィルタ基板は部品点数も少ないですし、チップコンデンサも大型サイズの3216M(3.2×1.6mm)ですのであっという間にできあがると思います。

なお、注意ポイントが二つ。

  1. チップコンデンサの向きに注意
    極性はありませんが、 C1とC2、C3とC4のパターンが接近しているため、90度間違って取り付けることができてしまいます。正しい向きは下の写真を参考にしてください(C1とC2は縦並び、C3とC4は横並びです)。
  2. この時点ではトグルスイッチは取付けない
    全体組立ての際に取付けます。

また、ピンヘッダはスピーカ側(J3)に取り付けます。

バージョン1.0で固定用の穴を付けました。

L、Cの配置は若干変えてありますが、スイッチやジャックの位置は変えていません。単体で別ケースに組み込む際に必要に応じてご利用ください(スイッチ等を基板の外につけて実装するのがやりやすくなったと思います)。

エンクロージャ

板材は予めカットしてあります。多少の誤差はご容赦ください。

100x82mmと82x82mmのものが天板・底板と側板です。100mmのもので挟む格好になります。上下で挟んでも左右で挟んでも構いません。お好みで。穴が開いているものが裏板です。

また、細いものが内部補強材兼取付ガイドです。この他は端材です。

内部補強材の取付け

最初に、補強材兼取付ガイドを100x82mmの板に取り付けます。9mmのところに線を引いておきます。寸法を測るよりも現物合わせで引くのが手っ取り早いと思います。

引いた線に合せて補強材を木工ボンドで貼り付けます。

補強材の位置は念のため現物と合せて調整します。端材を使うと良いでしょう。

補強材と板の端と合せます(ツライチ)。下の写真を参照してください。

これを二組作ります。ボンドが乾くまで洗濯バサミなどで固定しておきます。

箱の組立て

内部補強材の接着剤が乾いたら、天・底、側板、裏板を組み合せて箱として組み上げます。それぞれが合わさる面に木工ボンドをややたっぷりめに塗って貼り付けます。補強材がガイドになるので割と簡単に組み立てられると思います。はみ出たボンドは濡れ雑巾で拭き取ります(拭き取らないとボンドの上には塗料が乗らないので塗りムラになります)。

ボンドが固まるまで輪ゴム等で固定しておきます。

ケーブル用溝(オプション)

ボンドが乾いたら、ケーブルを通すための溝を掘ります。

これはスピーカを上向きに置いて使う場合や壁等にピッタリ押し付けて使う場合にケーブルを通すための溝です。どの位置に溝を付けるかはご自身の用途を考慮して決めてください。

私はノコギリと彫刻刀を使って溝を付けましたが、結構面倒でした。そういう使い方をしないであれば、わざわざ溝を付ける必要はありません。そうであれば裏板は引っ込める必要もなく、ツライチで作ることもできます。その場合は、内部補強材の位置を予め調整しておいてください(裏板の厚さ分の位置に補強材の端を持ってくる)。下の写真のものが裏板を引っ込めずに作ったものです。

塗装

木材の表面保護のために塗装します。お好みの色でどうぞ。

塗装の前に紙ヤスリで表面を整えます。端材に巻きつけて使うと良いでしょう。

私は100円ショップにあった水性ニスを使いました。黒がなかったので一番濃そうなウォールナットにしました。

塗装が乾いたら磨いてまた塗ってを繰り返し、三度塗りしたらほぼ真っ黒になりました。

水性ニスは器に出して刷毛で塗ります。一回目の塗装は木材が塗料を吸い込むので結構な量を使います(と言っても、物が小さいので大したことはないですが)。余ったら器にラップを掛けておけばi一日くらいなら大丈夫です(刷毛も突っ込んだままで)。少し硬くなった場合は、水をほんの少し入れればOKです。二回目以降の塗装では吸い込みがなくなるのでニスは少ししか必要ありません。

下は塗装後のサンプル写真です。二台作って、一方はクリア(つや消し)塗装、もう一方はウォールナット(ほぼ真っ黒)にしてみました。改めて写真で見ると基板の端面(小口)が目立つので黒マジックで塗るといいかもしれません。

全体組立て

続いて、全体を組み立てます。

フロントパネルのサイズ確認

組上げたエンクロージャにフロントパネルを当ててサイズをチェックします。

上の写真のように、パネルがはみ出てしまっている場合はヤスリで削って合せます。上の例で0.5mm程度はみ出ていました。エンクロージャは天然木のためなかなかぴったりというわけにはいきません(板厚が9mmより薄いものが多いようです。加工時は正しい板厚だったのでしょうが、時間が経って乾燥し、縮んだのかもしれません)。

フロントパネルはガラスエポキシ基板ですが、0.5mm程度ならヤスリで削るのもさほど大変ではないと思います。なお、基板の表面は端から0.5mmのところから銅箔層が入っています。そのため、それより多く削ると端面に銅が出てしまいます。後々錆びる可能性がありますので、そこまでは削らないようにしてください。0.5mm程度削るなら、片側だけでなく、両側を削ると良いでしょう。もし、銅が出てしまった場合は、ハンダを薄く引いておく(ハンダメッキしておく)と錆止めになるかもしれません。

スイッチの取付け

フロントパネルにトグルスイッチを取り付けます。回転止めの突起は使わないので、裏返しておきます。並びは下の写真のように、スイッチ、ナット、回転止ワッシャ、歯付座金、ナットの順です。

上の順で並べてフロントパネルに取り付けます。スイッチのネジ部があまり飛び出してしまうのもみっともないと思いますから、根本は数mm開けると良いでしょう。この段階では仮止めとし、緩めに締めておきます。

フィルタ基板の取付

フィルタ基板をフロントパネルに取り付けます。

基板の上にスイッチの足が乗るように位置決めします。位置が決まったら、ヘッドフォンジャックとスイッチのナットを締めます。

ナットを締め終ったら、スイッチを基板にハンダ付けします。先にハンダ付けしてからナットを締めるとハンダに力が加わって、後々、ハンダクラックの原因になりかねなので、ナットを締めてからハンダ付けします。

スイッチの足が乗るランドはスルーホールにしてあるので、調子に乗ってハンダをどんどん流すと下に漏れ出します。ほどほどに。

続いて、スイッチのセンタピンを基板に配線します。下の写真を参考にしてください。配線材はマイクロインダクタの切った足を使うと良いでしょう。

上の写真の左側のスイッチ(回路図ではSW1)の一番上の足をショートします。基板上のJ3、J11に配線してもよいのですが、両方をつなぐだけですので、スイッチ上で直接配線する方が簡単だろうと思います。また、右側のスイッチの上の足はオープンのままです(基板上のJ5とJ10が対応しますが、どこにも接続されていません)。

スピーカユニット取付け

スピーカユニットを、ビス・ワッシャ・ナットを使ってフロントパネルに固定します。その後、スピーカからのケーブルをピンヘッダに挿します。なお、本来はスピーカケーブルに付いているコネクタにあったものを使うべきですが、一般的なピンヘッダに上手く挿さるようなので流用しています。心配でしたら、直接ハンダ付けするのが良いかと思います。

ケーブルの配線

ケーブルを裏板の穴に通し、10cm程度のところに結び目を作ります。

ケーブルを基板にハンダ付けします。このケーブルは、白い線が入っている方が+のようです(念のためてスタで確認してください)。

この状態で無線機等につないで動作確認しておくと良いと思います。

フロントパネル固定

後は、フロントパネルをエンクロージャにネジ止めするだけです。

エンクロージャの木は柔らかい材質ですので、ネジは強く締め付けないでください。簡単にバカになってしまいます。もしそうなってしまった場合は、長いビスに代える、太いビスに代える、穴に木くずを入れてボンドで固める、等の対処をしてください。

以上で完成です。

改造案

L、Cの定数を変えればフィルタの通過帯域を変えられます。また、「空き地」をユニバーサル基板化している(2.54mmピッチ)ので、ちょっとした回路なら組み込めるでしょう(シンプルなICアンプとか)。

頒布

頒布品はキット(部品セット)です。完成品ではありません。

頒布品は以下の二種類を用意しています。

  1. フルセット
    フィルタ基板、フロントパネル、裁断済み板、スピーカユニット、ケーブル等、必要なパーツすべて。
  2. フィルタ基板セット
    プリント基板と基板上の部品(コンデンサ、マイクロインダクタ、3.5ジャック、スイッチ、ピンヘッダ)。

フルセットは必要な部品がすべて揃っていますので工具類があれば完成します。

フィルタ基板セットはお手持ちのスピーカを活用したいとか、オリジナルのボックスを作りたいと言った方向けです。スイッチ類の位置関係は下の図を参考にしてください。

【アウトレット】

フルセットのフロントパネルの訳あり品をアウトレットとして放出します。機能上は問題ありませんが、見た目に少々難があります。

頒布をご希望の方は、下記注意事項等をご確認の上、下のフォームからお申し込みください。

【注意事項】

  • 部品の調達の都合上、上の写真とは異なる場合があります。
  • コストダウンのため、ほとんどの部品は海外通販で調達しています。
  • 本機のマニュアルは当ページがすべてです。紙媒体はありません。また、本機は電子工作の経験がある程度ある方を対象としております。抵抗のカラーコードやコンデンサの値の読み方など、基本的なところの説明はしていません。電子工作の基本については、こちらのページに参考になりそうなサイトなどをまとめてあります。
  • 資源の有効活用のため、梱包材は再利用することがあります。ご了承ください。
  • 仕様や頒布価格は予告なく変更することがあります。
  • 本機の組立てや使用による怪我・事故等には責任を負いません。

【価格】

  • 頒布価格
    • フルセット(アウトレット): 2,800円(+送料: 600円)
    • フィルタ基板セット: 1,000円(+送料: 250円) ※在庫切れ
  • 支払い方法: 銀行振込(楽天銀行、ゆうちょ銀行、PayPay銀行)

※スピーカユニットの厚さがクリックポストの上限を超えてしまいますので、フルセットは送料が高くなってしまいます。ご了承ください。

【申込みフォーム】

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