このuSDXの話の続き。
今回は送信時のスプリアスを測定してみた。各バンドごとにLPFが入っているので高調波は落ちていることを期待したけれど…。
測定環境
OSA103 MiniとtinySAを使って測定。最初はOSA103 Miniなら測定周波数範囲が広いのでこちらだけでいいかなと思って始めたのだけど、ダイナミックレンジがあまり広くないので、tinySAでも測ってみることにした。二種類で測って同じ結果なら信憑性も高まるだろうし。
OSA103 Miniでは50dBのアッテネータ(30dB+20dB)を、tinySAでは40dB(30dB+10dB)を使った(OSA103 Miniに40dBだと入力オーバになってしまう)。
参考資料として、新スプリアス規定の解説。こちらの記事がわかりやすいと思う。
もう一つついでに、本ブログ内の記事。
数字を簡単に出しておくと、今回の場合は、帯域外領域で40dBc、スプリアス領域で50dBcが必要。測定方法もきちんと定められているけれど、今回はCWの連続波で見てみる。ちなみに、具体的な測定方法は、QEX Japan No.22(2017年3月号)に詳しい記事がある。
測定結果
広範囲
まずは、高調波の全体的な傾向を見てみる。送信周波数は14MHz(帯)。
強く出ているのは2倍の高調波で約44dBc。ちょっと足りない(出すぎ)。その上は、6倍、7倍が強い(ギリギリ50dBcくらいかな)。これより上は大丈夫そう。
各バンド
ここから先は各バンドで周波数範囲を狭めて見てみる。
3.5MHz
まず、OSA103 Miniでの測定結果。
第3次高調波が一番強い。ギリギリ50dBcくらい?
続いて、tinySAでの測定結果。その前に、非送信状態(要は、受信状態)。
送信状態。
こちらだとすごくたくさん見える。が、多くはOSA103 Miniではノイズに埋もれて見なかったものだろう。70MHzあたりの盛り上がりはOSA103 Miniの方の結果からも何となく分かる。
こちらでもギリギリ50dBc取れているように見える。
7MHz
第2次、第3次高調波が約51dBc。これはいいのだけど、100MHz前後に強いスプリアスが。
こちらだと第2次高調波が46dBcくらいしかない。100MHzあたりは、こっちで見てもやっぱり強い。
10MHz
第2次が強く、44dBcくらい。
こちらで見ると48dBcくらいか。いずれにしても、50dBcは満足していない。
14MHz
第2次が39dBcくらい。全然足りない。それだけじゃなくて、送信周波数の直ぐ側に強めのスプリアスが…。
18MHz
第2次で43dBcほど。ここでも送信周波数の側に強いスプリアスが。また、高調波の周辺にも同じようなスプリアスが立っている。
21MHz
OSA103 Miniでは強いスプリアスは見えないのだけど、tinySAでは第2次が44dBcくらい。
24MHz
高調波は50dBc以下に抑えられているようだけど(100MHzあたりのものは気になる)、送信周波数付近のスプリアスがひどい。
28MHz
第4次高調波の112MHzあたりのものがが47dBcくらい。どのバンドも100MHzくらいに抜け出ていたものが見られたのでそれと同じ傾向か?
第2次が42dBcくらい。
送信周波数近傍
上の測定で14MHz以上では送信周波数近傍のスプリアスが気になった。近傍とはいっても帯域外領域の外(スプリアス領域)。ということでその辺りを見てみる。
14MHzに対して、1.5MHzくらい上に49dBcくらいのスプリアス。
もっと狭めてみる。
80kHzくらい上に47dBcくらいのピーク。
比較として、TS-690の波形。約50W送信で、測定時のアッテネータは50dB(30dB+20dB)
こういうのを見ていると、もっといいスペアナが欲しくなる。
まとめ
送信周波数に対しての高調波だったらLPFを外付けすればなんとかなるんじゃないかと思っていたのだけど、その手で行けそうなのは、3.5MHz、7MHz、10MHzだけか?14MHz以上は送信周波数近傍のスプリアス(帯域外領域)が大きいので、別の対策が必要そう。どこで発生しているのか調べるところから始めなきゃいけなくて、今のところお手上げ。
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