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バランに使うトロイダルコア、#43、#61、どっちがいい?

前回の実験、

1:9 UNUN はトリファイラ巻きがいいのか?の実験
1:9 UNUN(不平衡 - 不平衡なので、バランじゃなくてアンアン)のキットを組み立てたけど特性がイマイチと言う話。前回はこちらの記事。 キットのトロイダルコア(NXO-100というよく分からないもの)の特性が良くないのではないかと思い、...

これに関して、jh8jnfさんからtwitterでこんなコメントを頂いた。

43材ですよね?
だとすると効率が落ちてくるのが15MHzとか20MHzとかその辺りでは無いかと思います。
※別の話も入っていたので、混乱を避けるため必要部だけ引用

ということで、トロイダルコアの材質について調べてみる。早速、トロ活を開く(生きたマグロの開きではないw)。

まず、材質で何が違うのか?p.43 表1.3によれば、比透磁率の違いのようだ。#43材で850、#61材で125。つまり、#43材の方が少ない巻数で高いインダクタンスが得られる。また、最適使用周波数も記載されている。それぞれ、<10MHz、<100MHzとのこと。

また、p.368 表9.4によれば、バランとしての実用最低周波数は、FT114-43で0.5MHz、FT114-61で5.0MHzとのこと(巻数10回、50Ω系の場合)。巻数を増やせば下限は伸ばせるが、線材が長くなるので高い周波数での特性が悪化する。巻数を減らせば当然逆で、インダクタンス不足になり下限が上がる。

同ページ表9.2によれば、FT114-43で1.8MHzを下限とした場合の巻数は6回(50Ω系)。FT114-61では17回になるが、太い線で巻けないとある。FT114-61のシミュレータで計算すると、17回巻くと54.7cmになる。30MHzの波長の1/200が50cmだから、54.7cmは長すぎる。なので、仮に17回巻けたとしても、高域側は線長で厳しくなる。

ちなみに、巻数10で34.3cm、8で28.4cmになるようだ。1/200波長を考慮すれば、もし、50MHzで使うなら8回巻きくらいが上限か?FT114-43の場合、下限は6回巻きで1.8MHzということを考えれば、7回巻きなら1.8~50MHzまで使えそう?

ドイツの局による実験も興味深い。

1:9 UnUn
http://www.dl1glh.de/beverage-unun/beverage-unun.html

これは、FT114-61で、10回巻きと16回巻きの特性を調べたもの。#61材なので、やはり、10回巻きでは低域の特性が悪化気味。また、16回巻きでは低域は改善するものの高域が悪化している。

以上を踏まえて、FT114-43で、7回、あるいは、8回巻きが良いのではないかと、机上での結論。


【追記】

こちらは、オーストラリアの局による実験。

9:1 VOLTAGE UNUN. Version 2
http://vk6ysf.com/unun_9-1_v2.htm

L15というコアに5回巻いている。SWRの最低値は1.05(4.1MHz)で、30MHz付近では1.5位になっている。なお、トリファイラ巻ではない。


続きはこちら。

1:9 UNUN 完成(FT114-43、7回巻き、1.8~30MHz)
前回、1:9 UNUNの巻数について検討した。 この検討結果に基づいて、巻数を減らす方向で実験してみる。 巻き方はベタ巻き(三線平行、トリファイラ巻きは良くなかった) 線材は1.0mmウレタン線 できるだけコアに密着させるように巻く 12回...

コメント

  1. JH8JNF/1 より:

    ちなみに、昨日書こうとして書き込めなかった内容を再度(コピペ保存してあったもの)

    うーむ、60μHとして 2πxL = 377 オーム/MHz (変な単位ですが、これにMHz単位で周波数をかけるとリアクタンスに)。たとえば2MHzなら 754オーム。
    2MHzあたりで、50オーム用として15倍近いリアクタンスですね。
    10MHzだと3.8Kオーム。
    低い方の周波数重視ならこれでも良さそうですが、透磁率が低い#61コアか、あるいは#43コアでももう少し巻き数少なくても良さそうな感じですね。
    2MHzで仮に250オーム確保するとして1/3のリアクタンス=インダクタンスで1/3ですから巻き数で1/√3= 1/1.7, 大体 3/5ですから 12 x 3/5=7.2回。7回か8回巻きくらい。低い方で効率落ちて高い方で少し伸びるんじゃ無いかと思いますが…

    • jh4vaj より:

      こちらでロストしてしまったコメント、保存なさっていたのですね。助かりました。
      私の検討結果とドンピシャですね^^ 追って、実験してみます。

  2. han01a より:

    こんにちは。JNFさんVAJさんのお説の通りかと思います。

    #43は透磁率が高いので1.8~30MHz用に適していますが、バランとして使う場合は最適な巻数があります。下の方はインダクタンスが必要で、上の方は巻線による浮遊容量の影響が大きくなりSWRが悪化しますし阻止性能も悪化します。

    下の方が主目的の場合は多めに、上の方の場合は少なめの巻数が適合するようです。

    あと前に書かれていた線の巻き方ですがトリファイラをよじって巻くのも平行三線で巻くのも、同じコアに結合しているので一緒のように見えますが、送受信兼用で、ある程度電力を扱うバランでしたら、私は何故かよじって巻いてうまくいったことがないので、より単純化できるからか、平行三線の方が良いように思います。

    • jh4vaj より:

      コメントありがとうございます。
      目的の周波数を絞れば割りと簡単に作れそう、というのが今回の検討・実験で体得できました。が、つい欲が出てできるだけ広帯域にできないかとあがいています。
      それと、やはりといいますか、トリファイラよりも平行三線の方が良いという結果なんですね。細い線ならトリファイラでもコアに密着できるでしょうから、その場合はいいのかもしれないなぁと思っています。