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電解コンデンサのESRを測ってみる

OS-CONが常に正解とは限らないというのが前回の話。

このシミュレーションでは一般アルミ電解コンデンサのESRを0.5Ωとした。しかし、実際のところはどうなのか気になったので、手元のコンデンサを実測してみる。測定にはDE-5000を使う。なお、Open/Shortキャリブレーションは必須。「100Hzで容量を見る」くらいなキャリブレーションしなくてもそれなりの値を表示してくれるけれど、10kHzや100kHzでの測定ではキャリブレーションしないとでたらめな値が表示される。100kHzだと何を測っても7μF位になるとかで、しばらく悩んだ(キャリブレーションすれば変な値にはならず、測定不能になる)。

一般アルミ電解コンデンサ

静電容量とESRを、100Hz・1kHz・10kHz・100kHzの条件で測定。表の上段が静電容量で、単位はμF(mとあるのはmF — DE-5000の表示)。下段がESRで、単位はΩ。「—」は測定不能だったもの(インピーダンスが低すぎてDE-5000では測れないのだろう)。

公称容量[μF]耐圧[V]シリーズ名100Hz1kHz10kHz100kHz
330050KMG (日ケミ)2.97m
0
220035UTES(東信工業)2.16m
0
100010WXA(ルビコン)900.1896.9817
0.30.30.3
100016UTWRZ(東信工業)874.6842
0.10.06
100025PX(ルビコン)893.1846
0.10.16
100035KMG942.7903
0.10.12
47025PX418.1395
0.40.35
47016PX424.1402
0.40.33
33025KME(日ケミ)296.7281
0.40.35
33035YXA(ルビコン)283.3272
0.40.32
22025PX(ルビコン)193.01184.08130.2
0.70.530.49
22025UTWRZ211.7193.08160.7
0.60.330.27
10050PM(ニチコン)92.9290.3585.9
0.50.170.14
10050PK(ルビコン)86.0282.9379.4
0.60.170.14
10025PX90.5585.6874.9
1.10.510.45
10016R(ルビコン)90.1786.6771.2
1.20.740.71
4735PK40.0937.1433.9
2.30.710.56
4735SMG45.1141.9934.211.47
3.61.831.71.58
3316YK(ルビコン)32.9230.3727.7
2.90.930.74
1050PK9.0358.8268.1818.64
4.61.460.750.67
1050PM10.0889.4348.88610.09
6.21.510.940.87

容量やシリーズによってESRはかなりバラバラ。もちろん、周波数によっても変化する。1000μF以上では0.1Ωかそれ以下。0.5Ωは100~470μFのあたりか?ということは、一般アルミ電解コンデンサでも、大容量だとLとの組合せは気をつけなきゃいけないかも。

オーディオ用電解コンデンサ

市場では、ほぼ絶滅状態。

公称容量[μF]耐圧[V]シリーズ名100Hz1kHz10kHz100kHz
220025KT(ニチコン)2.17m
0
100025FG(ニチコン)802.4755
0.10.04
47025FG411.2381
0.20.08
33016UTSJ(東信工業)301.9281
0.40.27
22016UTSJ211.1201180.8
0.40.240.22
22010MW(ニチコン)209.8193.28117.4
0.90.760.69
22025MUSE(ニチコン)188.45180.03171.7
0.20.080.06
22025FG162.94152.67139.7
0.50.150.1
10025FG94.7388.7480.3
0.90.290.22
10016KA(ニチコン)85.3877.5939.510.32
31.921.751.45
10016UTSJ97.7193.8981.9
0.80.460.38
4725FG38.0934.2130
3.50.830.53
4716UTSJ46.3941.7934.9
2.91.10.9
3325FG30.4828.7526.4
2.40.730.54
1035MW9.9939.2858.2014.36
8.68.12.682.35
1050FG9.2828.5947.9938.37
7.71.771.040.96
4.7ARE(エルナー)4.5384.3924.1874.29
6.11.970.90.84

一概には言えないけれど、全体的に見れば一般アルミ電解コンデンサよりもESRは高めか?それが心地よさの演出?

低インピーダンスアルミ電解コンデンサ

公称容量[μF]耐圧[V]シリーズ名100Hz1kHz10kHz100kHz
820016LXJ (日ケミ)7.73m
0
330016ZLH(ルビコン)3.13m
0
220010HE(ニチコン)2.08m
0
150050HE1593.41563
00.01
150016HZ(ニチコン)1399.71336
00.01
150025ZLH1415.61378
00.02
12006.3KZE (日ケミ)1197.71140
00.03
100025FC(パナソニック)2926.3897
00.04
100025LXJ975.9948
00.05
100016TPV(ルビコン)10891058
00.06
100016WG(サン電子)983.4928
00.02
82050WA(サン電子)746.4719
00.03
68016HZ686.7655
00.01
56050FC562.2550
00.05
47025FC455.2442
0.10.07
47035ZLH430.9415
00.03
3306.3RJF(エルナー)328.6305
0.30.09
22035ZLH195.11188.24183.4
0.10.060.04
10035ZLH93.5390.5687.8
0.30.120.08
10050HE98.1994.7992.6
0.40.090.06
1050HE10.6269.0849.1069.03
5.81.250.430.35

確かにESRが低い。一般アルミ電解と比べて一桁小さい感じ。

導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ

公称容量[μF]耐圧[V]シリーズ名100Hz1kHz10kHz100kHz
100016RHV(Enesol)986.6945
00.02
10006.3SEPC(OS-CON)893.9863
00.03
10016SEPC105.93104.59103.6
0.10.030.02
8216SVP(OS-CON)81.7681.6880.6477.7
0.20.10.060.03
5625SEPF(OS-CON)58.4257.4756.5
0.30.050.02
2720SVP24.5724.0322.619.71
0.80.20.090.05

やはり、ESRは小さい。高い周波数で満足に測定できないのが残念ではあるが、低インピーダンスアルミ電解コンデンサと比べて数分の一程度か?

その他(参考)

積層セラミックコンデンサ

公称容量[μF]耐圧[V]シリーズ名100Hz1kHz10kHz100kHz
1881.2n838.3n725,6690.7
91.38.630.550.09
0.1114.37n112.99n111.77n109.08n
1.403M10.521.080.18
100p101p101.4p101.42p101.41p

容量の100pは100pF。測定値のnはnF(DE-5000の表示)。ESRのMはMΩなのだろうか?

例えば、0.1μFでは100kHzでのESRは0.18Ω。これはアルミ電解コンデンサよりも悪いのかもしれない。積層セラミックが効くのは数百kHz以上なのだろう。

フィルムコンデンサ(メタライズドポリエステル)

公称容量[μF]耐圧[V]シリーズ名100Hz1kHz10kHz100kHz
0.197.42n97.13n96.24n94.98n
9.77M7.071.580.32

ESRだけなら、積層セラミックコンデンサのほうが高性能。

まとめ

一般アルミ電解コンデンサでも、当然ながら容量が大きければESRは小さい。

オーディオ用電解コンデンサのESRは、一般アルミ電解コンデンサと概ね同じ。どちらかと言えば、オーディオ用のほうがESRは大きめ。特に、ニチコンKAは他と比べて数倍。一つしか測っていないのでこれだけで判断してはいけないかもしれないけど。このあたりが味付けなのか?あるいは、味付けの結果、ESRは高めになるのか?

同じ容量なら耐圧が大きい方・図体が大きい方がESRは小さい。比較として100μFのものを並べてみる。

公称容量[μF]耐圧[V]シリーズ名100Hz1kHz10kHz100kHz
10050PM(ニチコン)92.9290.3585.9
0.50.170.14
10050PK(ルビコン)86.0282.9379.4
0.60.170.14
10025PX90.5585.6874.9
1.10.510.45
10016R(ルビコン)90.1786.6771.2
1.20.740.71
10025FG94.7388.7480.3
0.90.290.22
10016KA(ニチコン)85.3877.5939.510.32
31.921.751.45
10016UTSJ97.7193.8981.9
0.80.460.38

50V耐圧品のPMやPKの方が、25V耐圧品のPXよりも低ESR。同じ25V耐圧品でもFGはPXと比べて低ESRだが、サイズがかなり大きい。同様に、16V耐圧品同士ならRよりもUTSJの方がESRが小さい。例外はKAで、これはサイズは大きいのにダントツにESRが大きい。

低インピーダンスアルミ電解コンデンサ(下の表のZLHとHE)は、一般アルミ電解コンデンサと比べてESRは数分の一。

公称容量[μF]耐圧[V]シリーズ名100Hz1kHz10kHz100kHz
10035ZLH93.5390.5687.8
0.30.120.08
10050HE98.1994.7992.6
0.40.090.06
10016SEPC105.93104.59103.6
0.10.030.02

OS-CONなどの高分子タイプ電解コンデンサ(上の表のSEPC)のESRはさらに小さく、低インピーダンスアルミ電解コンデンサのさらに数分の一程度(一般アルミ電解コンデンサとの比較なら一桁小さい)。もっと高い周波数(MHzオーダ)まで測れると面白そうなのだけどDE-5000では無理。高速動作のデバイスではやはりこの性能は非常に有益なんだろうな。

それにしても、改めて引っ張り出してみると随分と持っているものだなぁ。安い電解コンデンサを見かけるとつい買ってしまうのでこんなことになっているんだろう。他にももっと大容量なものもあるけれど、DE-5000では測定できないので測っていない。どう考えても、使い切れそうにない…。

最後に、上の測定結果は必ずしも正しいとは限らない。測定ミスや記録ミス等もあるかもしれない。気を付けてはいるけれど、鵜呑みにしないように。

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