NanoVNAでELECTRICAL DELAYを簡単に設定する方法

先日、NanoVNAにELECTRICAL DELAYを設定することで同軸ケーブルによるディレイの影響を避けて測定する方法を書いた。こちらの記事。

同軸ケーブルをつないで手元で測りたい アンテナの調整を行う際、アンテナアナライザのキャリブレーションはアンテナの給電点(同軸...

これでは、同軸ケーブルの長さを調べ、速度係数(短縮率)を考慮して遅延時間を計算し、その値を設定していた。これでいいのだけど、いかにも面倒。もっと簡単にELECTRICAL DELAYを設定する方法を、edy555さんが教えてくれた。

あーだこーだやってみるものの、どうにも上手く行かない。どうしようもなくて、edy555にアドバイスを求めて解決した。その手順をまとめておく。頂いたアドバイスは上のツイートスレッドを参照。

DELAYを測定して、ELECTRICAL DELAYに反映する

測定の前に、キャリブレーションを行っておく(基本)。それと、速度係数(短縮率)も設定しておく。DISPLAY TRANSFORM VELOCITY FACTORで設定できる。例えば、0.67の場合は「67」と入力する。

DELAYの測定

今回、対象とするのは、約1.5mのRG-58A/U。(いわゆる)Mコネが付いているので、手持ちの変換コネクタの都合で、Mメス – SMAメス、SMAオス – SMAオスの二つを経由。先端は開放(切りっぱなし)。

測定に必要なトレースはDELAY(言うまでもなく)。それと、SMITHチャートも表示しておく。下の図では、PHASEも表示している。すべてCH0。

ポイントは、測定周波数範囲を狭くすること。DELAY(遅延)は周波数には依存しない(無関係)なので、どこでもいい(はず)。上の例では、1MHz~2MHzにしている。この測定範囲で位相が回っていないことを確認するために、SMITHチャートをチェックしている(半周以上回ってはダメ)。

上の例では、DLEAYは16.184ns。SCALEは見やすいように適当に設定する。

測定周波数範囲が狭すぎるのもダメ。ある程度広く取らないとディレイのグラフのガタツキが大きくなる。詳細はこちらの記事を参照。
ディレイ測定と測定周波数範囲 先日、ELECTRICAL DELAYの設定方法の記事を書いた。 このときは、測定周波数...
ELECTRICAL DELAYの設定手順自体はこの記事の方法で大丈夫。

この状態でMARKEROPERATIONS EDLAYでELECTRICAL DELAYが設定される。

DELAYのトレースが概ね0になり、PHASEの傾きがなくなった。SMITHチャートも無限大のポイントに移動。「Edelay 13.4ns 2.70m」との表示も出ている。このケーブルの長さは実測で概ね1.5m。(二倍の)2.70mとなっているので、だいたい合っている。いちいち計算する必要がなく、簡単に設定できる。

このとき、VELOCITY FACTORの値を適切に設定していないと、ケーブルの長さが正しく表示(計算)されない。遅延時間とは無関係なので、ELECTRICAL DELAYの設定には影響しないと思うが。

ちなみに、TDR機能で測定すると、15.2ns、1.53mと出た(この測定の前にELECTRICAL DELAYはリセット(手動で0を設定))。edy555さんからのアドバイスによれば、TDRの方が正確とのこと。

10mのケーブル

続いて、いつも実験で使っているRG-58C/U、10m、両端BNCオスのケーブル(秋月で販売されているもの)。

ケーブルが長いので遅延も大きい(SCALEを調整している)。

ELECTRICAL DELAYの設定によって、一見、上手く調整できているようだけど、周波数範囲を広げると位相が回ってしまう。

この原因は、設定された値が10.55m(21.1m ÷ 2)と、実際の長さとの誤差があるため。手動でELECTRICAL DELAYの値を設定しなおせばもっと追い込める。最初から計算でやる必要はなく、105nsと概ねの値がわかっているので、調整は割と楽。

TDRでケーブル長を測定して、ELECTRICAL DELAYに反映する

TDRからでもELECTRICAL DELAYの設定は可能。こちらならより正確な値が設定できる。

TDR機能を使った同軸ケーブルの長さの測定方法はこちらの記事で。

NanoVNAのTDR機能を使えば、同軸ケーブルの長さを測ることができる。PCソフト(NanoVNASaver)を使用して測る話はこちらの記...

マーカをピークに合わせ、先程と同じようにMARKEROPERATIONS EDLAYで設定できる。

グラフのピークが0に移動し、表示が「Edelay 102ns 20.5m」となった。

周波数範囲を広げてPHASEなどを見てみる。

これなら位相はあまり回っていない。先程よりもさざ波が大きく見えるが、これはSCALEが異なっているため。また、さざ波が起きるのはコネクタの影響。


「アンテナの測定はアンテナの給電点(同軸ケーブルの先)で」と言われるが、実際にそのようにするのはなかなか難しい。でも、ELECTRICAL DELAYを適切に設定すれば同軸ケーブルの先での測定と同じようにできる(ただし、同軸ケーブルによる損失があるので、実際のSWRよりは良く見える)。

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