FFCW01 – 表面実装ハンダ付けトレーニングキット/モールス練習機

概要

表面実装部品のハンダ付けトレーニングキットです。ただトレーニングというだけでは面白くないので、作ったあともそれなりに実用的なものとして、モールス練習機を題材としました。

「表面実装部品」と聞いただけで「食わず嫌い」な方も少なくないようですけど、実際のところは、大して難しくはありません。少し練習すればすぐに慣れます。

基板の片側だけで作業できるとか、リード線を切る手間がない(切りクズが足に刺さる心配がない)とか、メリットもあります。デメリットは小さくて作業しづらいことですが、実際のところ、表面実装のものしか用意されていない部品もありますので、これからの自作では表面実装部品は避けては通れないと思います。それに慣れるための練習としてこのキットを活用していただければと思います。

ハンダ付けの手順は別の記事にまとめました。

「チップ部品」、「SMD(Surface Mount Device: 表面実装部品)」と聞くと「ハンダ付け、難しそう」と思われがちだけど...

なお、本気の主たる目的は「SMDハンダ付けのトレーニング」です。モールス練習機として使用できますが、モールス練習機としてのより実用的なのはこちらです。

概要 「TTCW02 - モールス練習機」をリニューアルしました。 TTCW02はすでに頒布を終えているのです...

特徴

  • 555一発の低周波発振器
    • LCフィルタによって、そこそこきれいな音
  • ハンダ付けトレーニング目的として複数のバリエーションの部品サイズ/種類
    • 極端に小さなものは使用していません
    • C, Rの小さなものは2012Mサイズ(2.0×1.2mm)
  • スピーカ内蔵
    • 外付けスピーカにも対応(ジャックはオプション)
  • 基板サイズは5×5cm
  • 広い対応電圧範囲(5~13.8V)
    • 内蔵スピーカでは5Vだと蚊の鳴くような小さな音になってしまいます(内蔵スピーカの場合は12V程度がお勧め)
    • 外部スピーカなら5Vでもかなり大きな音が得られます
  • フューズ(ポリスイッチ)と電源逆接続保護回路を搭載

回路の概要

「特徴」にも書いたように、タイマICの555を使用した低周波発振器です。555でスピーカを直接鳴らせることを知ったのがこのキット開発のきっかけでもあります。

回路図と部品表

回路図と部品表はPDFで用意しております。

下の図は回路図の雰囲気を掴んでいただくための参考です。クリックすると拡大します。

波形

調べてみると555一発のモールス練習機の作例はたくさん出てきます。わずかな外付け部品で低周波発振器を作れるので手軽です。

しかしながら、555で発振回路を作ると得られる波形は矩形波です。下が実際に本機で測定した波形です。このときの条件は、電源電圧が5V、LCフィルタ以降の回路は実装していない状態です(1kΩ(ボリューム)が負荷となっている)。

矩形波としてはとてもきれいだと思います。しかし、矩形波は音としてみると倍音をたくさん含んだとても耳障りな音。文字にすると「ビャー」という感じでしょうか。

出力のカップリングコンデンサ(C4+C5)とボリューム経由でスピーカをつなぎ、スピーカ端での波形を見るとこんな状況でした。

LCによるフィルタを通すとこうなります。

正弦波とはいきませんが、先ほどよりも遥かにマシな波形です。しかし、電圧は非常に低くなってしまいます。VPPで約230mVしかありません。ボリュームの位置は最大です。

上の波形はフィルタのコンデンサ(C7+C8)は一方だけしか実装していない状態です。二つとも実装すればもう少し正弦波に近づきます。

しかし、電圧はさらに下がって165mVしか得られなくなってしまいます。「音質を選ぶか、音量を選ぶか」の選択となります。

電源電圧を12Vにすれば出力電圧は上がります。

866mVほど得られています(C8は実装した状態)。

上にも書いたように、5Vで内蔵スピーカだと非常に小さな音量しか出ません。外部スピーカ、または、イヤフォンの利用がおすすめです。

ボリュームの位置や電源電圧によって、発振周波数は多少変化します。
DANIU ADS1013DというハンドヘルドのオシロスコープをBanggoodからレビュー用に提供を受けたので、実際に操作しながら使い方...

また、それぞれの音の様子はこちらで確認できます。555直接(LCフィルタなし)、LCフィルタ付き(電源電圧: 5V)、LCフィルタ付き(電源電圧: 12V)、LCフィルタ付き+外部スピーカ(電源電圧: 5V)の順です。

FFCW01 – 表面実装ハンダ付けトレーニングキット/モールス練習機
LCフィルタを通すと電圧が小さくなるのは上で見てきたとおりです。では、その分はどこに言ったのかというと、フィルタで熱に変換されています。5Vだとほとんどわかりませんが、12Vで連続音を鳴らすとLが熱を持っているのがわかります。結構熱くなります。13.8Vだと手で触り続けるのは辛いくらいに熱くなります。ですので、高い電圧で使用する場合は、連続音は避けた方が無難かと思います。

キーイング回路

このような回路で音をON/OFFする最も簡単な方法は、555の電源を電鍵で直接ON/OFFすることです。しかし、スピーカを駆動するだけの電流を流すということは、数十mA程度の電流を電鍵でON/OFFすることになります。モールス練習機ですから極めて頻繁にONとOFFを繰り返しますので、これほどの大電流は電鍵の接点にとっては負担になりそうに思います。

そこで、トランジスタによるスイッチング回路を間に挟み、555のリセット端子を操作することで発振をON/OFFします。また、表面実装トランジスタのハンダ付けの練習の目的でもあります。

この回路で電鍵が操作する電流を考えてみます(電源電圧が5Vの場合)。トランジスタの入力(B)のプルアップ抵抗は10kΩ、さらにLEDを間に挟んでいるのでこれによる電圧降下が約2Vとすると、この抵抗に流れる電流(=電鍵が操作する電流)は(5V-2V)/10kΩ=0.3mA。これなら555を直接ON/OFFするよりもずっと小さな電流で済みます。

なお、J3は実装しません(テスト用の端子です)。

組立て

ここでは、本機を組み立てる際に注意すべき点について記します。

いきなり作り始めず、まずは、全体の流れを掴んでください。手順のイメージが掴めてから始めた方がスムーズに進むと思います。

部品チェック

まず最初に、部品をチェックして下さい。

チップコンデンサは、大きい方が10μF、小さい方が0.01μFです。

チップタイプのポリスイッチ(フューズ)やダイオードも見慣れないかもしれませんが、一番上の完成写真も参考にチェックして下さい。

チップLEDの極性は下の図のとおりです。

【裏】

【表】

裏も表も非常にわかりづらく、厄介です。取付け時には充分注意して下さい。また、チップLEDの極性表示は、メーカや品種等によって様々なようです。上は本キットに付属のものの場合です。他の物を使う機会があれば、仕様書等を確認して下さい。

チップのC、Rやダイオードのチェックにはこちらの記事のようなテスタ(マルチメータ)があると便利です。LEDの極性の判定にも使えます。

ピンセットタイプのデジタルマルチメータDT71(MINIWAVE社)をBanggoodからレビュー用として提供を受けた。実際に使ってみたと...

基板のヤスリがけ

基板の端面はザラついているので、ヤスリで滑らかにしておくと良いと思います。

チップ部品のハンダ付け

一般的に、背の低い分から取り付けていくのが定石です。したがって、本機の場合はチップ部品からとなります。

上はすべての表面実装部品の実装が終った状態です(C6の片側を付け忘れていますね。あとで直しました)。右側のC8、C4、C5から取り付けていくのが良いと思います。これらはサイズの大きい3216Mサイズですし、周りに他の部品がないのではんだ付けしやすいと思います。

C7とC8はどちらか一方を実装します(どちらでも同じ)。両方とも実装するとよりきれいな波形に近づきますが、音量が下がるのは上に書いたとおりです。

その後は、左上のF1、D1あたりを。D1の向きは下の写真を参考にして下さい。

次は、U1を取り付けるのが良いと思います(白丸の印があるところが1ピン)。周辺のC、Rを付けたあとだと、それらが少々じゃまになってつけづらいので。

下は悪い例です。ICの足の片側がランドに届いていません。このようにならないように気をつけてください。

その次は、Q1。先にC1やR1を付けてしまうと、それらがじゃまになってしまいます。本キットでハンダ付けがいちばん大変なのはこのQ1だと思います。

あとは残りのC, R, LEDを取り付けます。

ここまで(つまり、チップ部品)の取り付け順をまとめます。

  1. C4, C5, C7(または、C8)
  2. F1, D1
  3. U1
  4. Q1
  5. 残りのC, R, D(LED: 向きに注意)

リード部品、コネクタ等

チップ部品を取り付け終ったら、残りのリード部品(本キットではマイクロインダクタだけ)やコネクタ、スイッチなどをハンダ付けします。

スピーカ

スピーカを基板の裏に貼り付けます。スピーカのリード線はJ6にはんだ付けします。リード線は接着剤やホットボンドなどで固定しておくと良いと思います。

また、JP1をハンダでブリッジします。これを忘れると音が出ません。

足の取付け

足を取り付ければ完成です。

また、厚紙等で枠を作って囲むと、多少、音が良くなります(要するに、スピーカボックス化)。

この写真では基板と枠の間に隙間がありますが、できるだけ隙間をなくした方が音がしっかりします。この辺りは工夫してみて下さい。

オプション・改造

外部スピーカ端子(イヤフォンも可)

内蔵スピーカでは音量が非常に小さいため、外部スピーカを付けられるように設計しています。

J4とJ5がそれです。J4がステレオ用、J5がモノラル用で、どちらか一方だけを実装できます。下記をご覧いただき、必要に応じて調達して下さい。

J4はMJ-354W-SGで設計・動作確認しています。PJ-325と互換のようで、実際に動作確認済みです。

J5はPJ-323で設計しています。MJ-352と互換のようですが未確認です。下は、J5を取付けた状態です。

J4/J5を実装した場合は、裏のJP1のジャンパは外して下さい。

LED点滅の明確化

本機ではパイロットランプ(LED)とトラジスタのベースのプルアップ抵抗を兼用しています。これによって、電鍵をONにした際の表示を目論んだ(ONにすると明るくなる)のですが、明るさの変化はごくわずかでした(12Vだとまったくわかりません)。

この記事を書いている際にふと改善方法を思いついたので紹介しておきます。

話は単純で、トランジスタのベースのラインに10kΩを入れるだけです。これで電鍵OFF時のLEDの明るさが抑えられるため、ONにしたときとの明暗差が明確になります。

実装では、C1とQ1の間のパターンをカットし、そこに10kΩを入れます。細かな作業ですし、音には影響はないので無理にやる必要はありませんが、気が向いたら挑戦してみて下さい。

頒布

頒布品はキット(部品セット)です。完成品ではありません。

ご希望の方は、下記注意事項等をご確認の上、下のフォームからお申し込みください。

【注意事項】

  • 音量に関しての注意
    • 内蔵スピーカの音は大変小さいです(上述の通り)。
    • ボリュームの位置や電源電圧によって発振周波数は多少変化します。
    • 電源電圧が高め(12Vなど)の場合、LCフィルタのコイルの発熱が大きいです。
  • 部品の調達の都合上、上の写真とは異なる場合があります。
  • コストダウンのため、ほとんどの部品は海外通販で調達しています。
  • 本機のマニュアルは当ページがすべてです。紙媒体はありません。また、本機は電子工作の経験がある程度ある方を対象としております。抵抗のカラーコードやコンデンサの値の読み方など、基本的なところの説明はしていません。電子工作の基本については、こちらのページに参考になりそうなサイトなどをまとめてあります。
  • 資源の有効活用のため、梱包材は再利用することがあります。ご了承ください。
  • 仕様や頒布価格は予告なく変更することがあります。
  • 本機の組立てや使用による怪我・事故等には責任を負いません。

【電源】

電源は別途用意して下さい。コネクタは一般的な内径2.1mm、外径5.5mmのものです。プラグをおまけで付けておきます。バリが多いなど品質は良くないですが、使えます。

USBから電源を取るケーブルもオプションで用意しています。ただし、5Vだと内蔵スピーカでは非常に音が小さいことは上に書いたとおりです。

【価格】

  • 頒布価格: 1,000円
    • トランジスタと2012Mサイズのチップ部品(コンデンサ、抵抗、LED)は、念のため予備を入れてあります。
    • 電源ケーブルは別途用意して下さい。
  • オプション(USB電源ケーブル): 100円
  • 送料: 250円
  • 支払い方法: 銀行振込(楽天銀行、ゆうちょ銀行、PayPay銀行)、PayPay

【申込みフォーム】

※これは申込み専用フォームです。申込み以外(問合せ等)には使用できません。

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