先日、圧電サウンダの音圧をデューティ比で変えられるかという実験を行った。そのつもりだったが、あれは圧電サウンダではなく電磁サウンダだった。
実験
ということで、実験し直し。使用する圧電サウンダはPKM13EPYH4000-A0。
やることは前回と同じ。arduinoで可変抵抗の値をanalogRead()で読んで、それをanarlogWrite()で書き出すだけ。スタートは引数127でデューティ比50%。そこから、0%まで絞って徐々に上げていく。その後は、上げたり下げたりして音の違いをチェック。今回は、5番ピン(980Hz)と3番ピン(490Hz)の両方をやってみた。
プログラムはこれ。可変抵抗の値をシリアルモニタに表示するようにした。
void setup() {
Serial.begin(9600);
}
void loop() {
int i;
i = analogRead(A0) >> 2;
Serial.println(i);
analogWrite(3, i);
analogWrite(5, i);
delay(100);
}
まとめ。
- デューティ比を変えると音色が結構変わる。
- 音圧の変化は聴覚上はよくわからない。
- 音色の変化で強く聞こえる気がする(音圧が変っているかどうかはわからない)。
- analogWrite()の引数127(デューティ比50%)は一番聞こえづらいかも。
- その半分(引数で60付近)も聞こえづらい。
- 引数40や80あたりは聞こえやすい。耳障りというか。
- 980Hzでも490Hzでも同じ傾向。
- 引数0ではもちろん音は出ないが、少し上げると一気に音圧が上がる。出るかでないかという感じで、デューティ比で音量をコントロールするはほぼ無理。
圧電サウンダと電磁サウンダ
構造
圧電サウンダと電磁サウンダは外見はよく似ているが、構造は(当然ながら)ぜんぜん違う。下の図は、村田製作所のサイトから引用(横幅は調整)。
引用元のページはこちら。
圧電サウンダはピエゾ素子。
電磁サウンダは、原理はダイナミックスピーカと同じ。ただし、コイルと磁石の位置関係が逆。コイルが固定されていて、磁石は振動板側にある。レコードカートリッジになぞらえれば、通常のダイナミックスピーカがMC型で、電磁サウンダはMM型といったところか。
なお、電磁サウンダは、マグネティックサウンダとか、電磁トランスデューサなどと表記されていることもあるみたい。
内部
バラして中を見てみる。まずは、圧電サウンダ。カバーと底板ははめ込み式だったので簡単に分解できた。
ピエゾ素子がケースにはめ込まれており、そこに端子押し当てている。金属の弾力を使って押し当てているだけで、ハンダ付けはされていない。とても単純な構造。
続いて電磁サウンダ。こちらははめ込みではなく簡単にはいかない。ハンドグラインダにダイヤモンドカッタを付けて切った。
金属板には磁石が仕込まれているので、鉄がくっつく。
見分け方
外観はそっくりなので見分けづらい。手元に数種類の電磁サウンダがありどれも「+」極性の刻印があるが、これが絶対かどうかはわからない。
確実な見分け方としては、電磁サウンダは磁石が入っていることを利用するのが良いかなと。同じものを二つ向かい合わせれば反発する。後ろに回すとくっつく。
一つしかない場合は、方位磁石を近づければ反応するだろうと思う(未確認)。
AliExpressの販売業者は電磁サウンダでも「ピエゾブザー」と表記しているところが多い(これではまった…)。
使い分け
どちらも同じように使える。信号を加えると音が出る。上の村田の表にあるように、電磁サウンダのほうが同じ大きさなら音が良い(というか、低音が出やすい)。圧電サウンダは高音域に偏るように聞こえる。
両者の大きな違いはインピーダンス。ピエゾ素子は(超)高インピーダンス。電磁サウンダはコイルなので低インピーダンス(数十Ω程度)。マイコンのISPのラインに圧電サウンダをぶら下げてもあまり影響はない(書込み時に音が出る)が、電磁サウンダをぶら下げると書込みエラーになる(確率が高い)。
電池駆動の装置なら、圧電サウンダのほうが消費電流を(圧倒的に)抑えられるので良いと思う。
また、この他に似たものとして、電子ブザーがある。これは発振回路が組み込まれており、直流電圧を加えるだけで音が出る。
【追記】消費電流
前後するけど、消費電流を測ったので追記。
このエレキーを使って消費電流を測る。電源はボタン電池のCR2032。
まず、無音状態。連続トーン出力だけど、サウンダへの配線は切った状態(ジャンパを付けてあるので抜いただけだけど)。測定値は1.00mA。
続いて、電磁サウンダをつないだ状態。10.46mA。
圧電サウンダに交換。1.00mA。無音状態と同じ値だけど、ちゃんと音は出ている。圧電サウンダ分は数μA程度なのだろう。
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