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RFブリッジを買ったけど、バグ入りだった

BanggoodでRFブリッジ(リターンロスブリッジ)が安かったので買ってみた。

Banggood⇒ RF SWRブリッジ0.1〜3000MHzのリターンロスブリッジ

送料が安い発送方法を選んだら三週間くらいかかったが、ともかく、無事到着。

とりあえず、使ってみるが…

では、LTDZとVMAの組合せで試してみる。

まず、同軸で直結(RFブリッジは使用せず)。

スイープ周波数は35~4400MHz。2GHzより上は波形がバタついてアヤシイが、それより下は減衰はあるものの、まぁ、ひどくはない。マーカは、1が100MHz、2が500MHz。

続いて、RFブリッジをつないだ状態。ここでは、REF端子ももDUT端子もオープン。

黄色のラインは同軸を直結していたときのもの(比較用)。

これでいいのなかなぁ?直感的に何かおかしい気がする。両端子がオープンということは、バランスしていると言えなくもないだろうから、こんなふうに周波数に依存して変化したり波打ったりするのはおかしいのではないかと。

続いて、REF端子に50Ωのダミーロード(NanoVNAに付属していたもの)を接続した状態。

バランスが完全に崩れている状態なので、全反射するはずなんだけど…?

さらに、DUT端子にもダミーロードを接続。

完全にバランスが取れている状態。原理的には反射はないはず。確かに、反射波減っているけど、やっぱり変じゃないか?

パターンを追ってみる

リターンロスブリッジなら回路は単純。基板のパターンを追ってみる。

この時点でおかしいことに気づく。

100Ωをパラにして50Ωを作っているのだろうけど、片方が基板パターンでつながっていない(パラになっていない)。

こちらは、0Ωでそのままつながっているだけ。未実装のところがあるが、一般的なリターンロスプリッジならこちらには特段の回路はないのでこれはこれで良さそうに思う。

裏はコネクタのハンダが付いていない。

全体的に、仕上げがイマイチ。

回路図に起こしてみる。

どうみても、100Ωの接続がおかしい。まともなブリッジになっていない。

ブリッジの部分は100Ω同士をつないでやれば良さそう。


これで普通にブリッジになる。

こう書き直した方がブリッジらしいか?

配線は間違っていないはず^^;

フロートバランが特殊だけど、これが高い周波数に対応させるための工夫なんだろうか?

と、ここでBanggoodに上がっているレビューを見たら、同じ指摘があった。

Banggood⇒ RF SWRブリッジ0.1〜3000MHzのリターンロスブリッジ

100Ωの二つを接続するようにと記載されている(二個所)。なお、REFに100Ωを二つ付けるようになっているが、これはリファレンス用の抵抗を外付けしないで済ませるもののはず(これを付けた上で、外に50Ωを付けるとリファレンスが25Ωになってしまう)。

このコメントは2019年12月7日付け。私が注文したのは11月14日。なので、注文時にはまだこのコメントはなかった。他のコメントはざっと見た限りだけど、Perfect!!!とかIt works!、The bridge works well to 1GHzなどちゃんと動くという報告がたくさんあるので、ロット不良とか、そう言う話なのかもしれない。

ともかく、私の手元に届いたものはこのままじゃダメなので、改造する。と言っても、100Ωの抵抗のところをつなぐ(ハンダブリッジ)させるだけだけど。

改造後

REFに50Ωのダミーロード、DUTはオープン(全反射)。

まともなのは、500MHz(マーカ2)くらいまで?

REFとDUTの両方に50Ωのダミーロード(反射なし)。

縦軸のスケールを変更。

500MHzでも怪しい?細かいところに目を瞑れば1GHzちょっとくらいまで?

本家サイト

基板上にURLが印刷されているので、開いてみた。

どうやら、フェイク品が出回っているらしい。本物はこのサイト(か、ご本人のeBayストア)だけでしか売っていないとのこと。つまり、私が手に入れたものも残念ながらそう言うことか…。

こちらのサイトには回路図もある。フロートバランの片方は同軸の芯線は繋がないことになっている。手元のものはつながっている(GNDに)。ということで、芯線の接続をカット。

少し改善された。とは言っても、そこそこフラットなのはせいぜい800MHz位までか?3000MHzなんてさすがに無理なような感じ。公式サイトのものはそのあたりはちゃんとしているのだろう。

しかし、コピー品を作るときに抵抗二本がパラでつながっているとは思わなかったんだろうなぁ。もしくは、二本がつながるのはおかしいと思ったか(だったら半分の抵抗値を使えばいいのだから、ここはつながっていないはず、とか)。

実際の測定

怪しげなものではあるけれど、低い周波数なら大丈夫だろうから、試しに測定してみる。対象は、常設の2m J型アンテナ。

スイープ範囲を140~160MHzにして、まずは、DUT端子に50Ωダミーロード。

SWR表示モードがあったので、それにしてみた。右側の縦軸にSWRの目盛りが入っている。白の線がそれで、一番下の1.0に張り付いている。

続いて、DUT端子オープン状態。

SWRのラインは、大体2.5。全反射なのに、それはおかしいぞ…。

そして、実際のアンテナ。

ディップしているところは、151.58MHz。だいぶズレている?しかし、SWRのラインは、多少のカーブはあるが全域で1.3以下。SWR機能の使い方がよくわかっていないので、間違ったことをやっているっぽい。

比較として、NanoVNAで測定。

ディップ点はこちらでも概ね152MHz。

さらに、FA-VA5で。

ディップポイントが152MHz位でそこでのSWRがほぼ1.0ということは一致しているが、144~146MHzのSWRで見ると異なっている。NanoVNAでは1.5強。FA-VA5では1.6弱~1.4弱。まぁ、だいたい同じと言えばだいたい同じ。違うと言えば違うという程度?なお、これは同軸ケーブルを16mほど通したものだからその影響もあるが。

本当のところは、NanoVNAの1.2GHzの測定値が正しそうかを見てみたいという目論見でこのRFブリッジを入手したのだけど、これじゃその目的にはかなわない。ま、一応、見てみた結果。

スイープ範囲、1100~1400MHz。

DUTオープン。

DUT 50Ω

1200MHz 2/3λヘンテナ。

それらしいところにディップがあるが、そのボトムは50Ωダミーロードよりももっと下がっているしなぁ…。


【参考】 上と同じ構造のリターンロスブリッジの記事。

コメント

  1. 7K1CRZ より:

    たいへんお世話になっております。
    VMA Simmple Spectrum ANA~でのSWR測定法ですが、簡単に書くと…

    1.本体~SG~RLブリッジを接続する。(もちろん方結器でもOK!)
    2.DUT端子は解放で測定開始[START]ボタンを押す。
    3.[START]ボタンを再度押して測定終了、[LIVE]下の小さいボタンを
     押して波形をメモリーする。(ここがポイント!)
    4.歯車マークを押して、SWR Measurementにチェックし、[OK]する。
    5.[MATH]ボタンを押し測定対象を接続して、[START]です。

    これでSWRが測定できますが、意外と感度が悪い気がしています。
    このまま行くと、いつかコレを書く日が来ると思っていました…。
    しかしCT2JSAにも聞いてみましたが、Impedance Measurementの
    方法は未だ分からず。

    以上、何かのご参考に…!。

    • jh4vaj より:

      ありがとうございます。DUT開放での測定値があの小さいボタンで基準になるわけですね。あれがボタンだとは気づきませんでした。

      ということで、やってみました。結果としては、「やっぱ、キャリブレーションやらなきゃダメだ」です^^;

      https://www.jh4vaj.com/archives/15341

      補足ですが、スイープはずっと走らせたままでも大丈夫でした。