ダミーリウム

ダミーリウムとは?

私が考えた造語。調べても出てこないはず。

機能的な側面からは、オイル漬けのダミーロード。なので、どうってことはない。一般的な油冷式ダミーロードとの違いは、見た目。というほどいい見た目でもないけれど^^;

JQ1SRNさんのエレリウムにインスパイアされて作った。エレリウムはこちらのページに説明がある(真ん中よりもやや下の方)。

ここにあるように、ハーバリウムからヒントを得て生まれたもの。

では、そのハーバリウムとは?これは、植物標本を集めたものやその研究のことらしい。押し花やなどもその一つだけれど、今一般に言われているハーバリウムは、ドライフラワーなどを見栄えの良い容器を使ってオイル漬けにしてインテリアとして楽しむもの。こう言うと身も蓋もないけれど^^; 飾って楽しむだけでなく、手芸的感覚でも楽しまれているみたい。

その植物の代りに電子部品を使ったのがエレリウム。ここからさらにヒントを得て作ったのが私のダミーリウム。アマチュア無線でオイル漬けの電子部品となると、ダミーロードだろうという、実に単純な発想。

オイルは何を使うか?

食用油なら入手は容易だけれど、植物油にしろ動物油にしろ、腐敗の可能性があるので、これは避けるべきだろう。また、色が付いているのもちょっと遠慮したい点。ダミーリウムでは見た目も重要な要素の一つなので、やはり、ハーバリウムのように透明なオイルを使いたい。ハーバリウムで使われているオイルを調べてみると、ミネラルオイルやシリコーンオイルが使われているようだ。

ミネラルオイル(流動パラフィン)

「ミネラルオイル」というと、「なんだかカダラに良さそう」みたいな感がしないでもなけど、要するに「鉱物油(鉱油)」。石油からプラスチックなどの材料を取り出し、その残ったものを精製して作ったものがミネラルオイルらしい。とはいえ、カラダに悪いというわけではなく、化粧品・医薬品(のベース)にも使われており、また、食品添加物のグレードのものもある。

また、別名、「流動パラフィン」とも呼ばれる。流動というのは、要するに液状のこと。流動性(粘度)は#380のような番号で表される。

流動でないものが通常の「パラフィン」。パラフィンは(西洋)ロウソクの原料としても使われる。その昔、アマチュア無線家の間では、割り箸をパラフィンで煮て防水加工し、はしごフィーダを作ったらしい(昭和40年頃まで?)。その後は同軸ケーブルが安くなったので取って代られた。

ついでの知識として、パラフィンと流動パラフィンの中間、柔らかいものが「ワセリン」。

電気絶縁性は高いらしい。

参考サイト:

シリコーンオイル

ミネラルオイルが石油を精製した天然由来のものであるのに対して、「シリコーンオイル」は化学合成油。化学的安定性はシリコーンオイルの方が優位。なので、性能面で考えればシリコーンオイルを選べばよいのだけど、価格がやや高いのが難点。このあたりは、自動車のエンジンオイルの鉱油と合成油の話と同じかな。

参考サイト:

危険物判定

ミネラルオイルにしろ、シリコーンオイルにしろ、消防法の「第四類(引火性液体)」に該当する。

上記の消防庁のサイトにある「危険物第4類確認試験のフローチャート」によれば、引火点(温度)によって「第4類 第一石油類」、「第4類 第二石油類」、「第4類 第三石油類」、「第4類 第四石油類」、「指定可燃物(可燃性液体類)」に分かれる。引火点が250℃以上なら「指定可燃物(可燃性液体類)」である(危険物第4類には該当しない)。

シリコーンオイルの引火点は割と高いようだ(ざっと見た範囲では300℃以上)。

ミネラルオイルの場合は、物によりけりで250℃前後と微妙。

こうした情報はSDS(安全データシート)で提供される。逆に、SDSが提供されないものは避けた方が無難だろう。

入手したオイル

上記を踏まえて、こちらのオイルを入手した。

厚手のパウチ容器に入っており、それを(不透明の)ビニル袋に入れただけのという簡易梱包。メール便で届いた。危険物第4類に該当していないのでこういう簡易な方法が取れるのかな?

SDSももらった(一部抜粋)。

引火点は266℃であり、250℃以上なので一安心。

このショップはAmazonにも出店しているようだ。

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抵抗

秋月の「不燃性酸化金属皮膜抵抗 3W51Ω」を使うのが一番簡単そう。

耐電力を上げるなら、同じシリーズの220Ωを四本パラで55Ωにすれば12Wになる。

200Ωの物があればいいのだけれど、残念ながら220Ωしかない。とは言え、四パラで55Ωなら、50Ωに対するSWRは1.1程度なので実用上は差し支えないだろう。

これでも悪くはないのだけれど、今ひとつ面白くない。探してみると、ずばりダミーロード用の抵抗と思われる「高電力RF終端器 50Ω10W 3216」というものがあった。

専用品なので、特性は申し分ない。しかし、サイズが3216のチップ抵抗。「見せる部品」としてはインパクトがない。でも、どのみち放熱器を付けないとダメなので、そっちを目立たせれば良いか?

こういう銅製のヒートシンクなら見栄えも悪くないかも。とは言え、これでは小さすぎるので、同種の大きめのものを探してみる。

集めた部品

以上の流れから集めた部品。

  • ダミーロード用チップ抵抗
  • 放熱器
  • 同軸ケーブル付きBNCコネクタ
  • 瓶(ジャムか何かの空き瓶 – パッキン付きで都合が良い)
  • ハーバリウムオイル

抵抗は非常に小さい。

3216サイズ。つまり、3.2×1.6mm。

BNCコネクタとサイズ比較。

裏面にスリットが入った格好になっている。広い方を放熱器にハンダ付けする。

放熱器には貼り付け用のシール(両面テープ)が付いていたため剥がした。プラスチックの板でできるだけこそぎ落とし、それで取れなかったものはライターオイルを使って(シール剥がしの定番)。案外簡単に剥がせた。

組立て

組立てと言っても、放熱器に抵抗をハンダ付けし、そこにケーブルを付けるだけ。気をつけることとしては、放熱器に熱を持っていかれるので、熱容量の大きいハンダゴテ(コテ先)を使うこと。とはいえ、あまり大きいものを持っていないので、ハンダゴテを二本使った(FX-600とコテペン40)。一旦温まれば、ハンダは割と上手く流れる。逆に、冷めなくて大変。

他には、チップ抵抗なので間隔が狭いのでショートに注意する。

これでできたつもりだったのだけど、瓶に入れてみたらケーブルが長すぎて収まりが悪かったので、短くして付け直した。

コネクタは、ビンのフタに穴を開けて取付けた。オイル漏れ対策のとしてエポキシ接着剤で固めた。エポキシは耐油性もあるらしい。

また、加熱によって銅が変色したので、コンパウンドで磨いてみた。

完成の図

特性

せっかくなので特性を測ってみた。

VNA で測定

FA-VA5を使って、1~600MHzの範囲でスキャンしてみた。同軸ケーブルを使わずに直結した。

結果がこちら。

グラフの一番下がVSWRで、横軸の一番下が1.0、一目盛0.1。500MHzで1.15なのでまぁまぁいい感じか?実は、オイルに付ける前に435MHzで送信してSWR計で測ったときにはもうちょっといい数字だったんだけど。写真を撮っていないのでいくつだったか正確なところはは忘れた。

430MHz / 10Wのリグでしばらく(と言っても数十秒)送信してみた。問題はなさそうだった。蓋を開けたくなかったので温度は測らなかったけど。

5W版

実は、もう一つ小型のものも作った。同じシリーズの抵抗の小型、2012サイズで5Wのものを使った。

こちらの特性はこんな感じ。こちらも同じく直結(写真は省略)。

こっちの方が特性が良いかと思ったんたけど、ちょっと悪い。作り方の問題なんだろうな。とはいえ、500MHzでSWR 1.3くらいなので、実用範囲。

DL50A

ついでに、第一電波工業株式会社のDL50Aも測定した。

スペック程はよくない結果。Mコネを使っているのが敗因か?

なお、こちらは、SWRは一目盛0.2なことに注意。

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自作ダミーロード

数十年前に作った自作品。470Ω / 2Wの酸化金属皮膜抵抗を9本パラ。

なんと、400MHz位まではDL50Aよりもこっちの方が特性が良い。しかし、このあたりから急激に悪くなる。600MHzでは、SWR 2.5位。酸化金属皮膜抵抗の限界だろう。

まとめ

ダミーリウムではRF用の抵抗を使ったため、特性は割と良いものが作れた。

しかし、残念ながら、見栄えは良いとはいい難い。肝心のチップ抵抗は小さすぎて見えないに等しいし。

オイルやガラス瓶を使っていることから、使い勝手はいいとは言えない。インテリアとしてもいいとは思えないので、お勧めはしない。とは言え、こういうものは作っていてナゼか楽しい^^

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