CWオーディオアクティブフィルタの実験 ~ 実測

先日検討したCW用オーディオアクティブフィルタを実測してみる。

CW用のフィルタを持っていない受信機(無線機)向けに、AF段でのアクティブフィルタを設計してみる。と言っても、オンライン上のシミュレータを使...

f0: 700Hz, BW: 300Hz

  • 中心周波数 f0: 700Hz
  • 通過帯域幅 BW: 300Hz

抵抗やコンデンサの定数は、上記記事のシミュレーションによる。

下(黄)がフィルタへの入力信号、上(緑)がフィルタからの出力信号。ゲインは0dBのはずだが、出力信号の方が大きくなっている。

f0を中心に上下150Hzで通過するはず。しかし、下側(550Hz)ではずいぶん減衰してしまっている。上側(850Hz)は、まぁ、通っている。しかし、それより上の減衰量も少ない。f0が計算よりも上になり、かつ、減衰カーブが緩やか、という感じ。このあたりは、計算と実デバイスとの差か?コンデンサのばらつきもあるだろうし。なお、オペアンプは358を使用している。

聴感上もフィルタの効きが甘すぎる。また、(出力は少し大きくなっているとはいえ)音量がずいぶん下がって聞こえる。

f0: 700Hz, BW: 100Hz, H0: 12dB

上記結果を踏まえて、通過帯域を狭くし、ゲインを上げてみる。

  • 中心周波数 f0: 700Hz
  • 通過帯域幅 BW: 100Hz
  • ゲインH0: 12dB

まずは、シミュレーション。

実測。なお、抵抗は、手持ち部品の都合で一部変更している(390kΩ → 398 (330+68) kΩ, 82kΩ → 83 (68+15) kΩ)。

今回は、フィルタのゲインを上げたところ、測定器への入力(フィルタからの出力)が大きくなりすぎ、測定できなかったため、信号源の出力電圧を下げた。

さすがに、ずいぶんとシャープになった。

より詳細に。位相波形は鬱陶しいので省略した。

やはり、中心周波数f0は少し上にずれるようだ。

通過帯域が100Hzあるはずだけど、±50Hzのところはすでに大きく減衰している(-8.51dB, -6.50dB)。中心周波数付近しか通らないという感じ。

聴感上も非常によく切れる印象。TS-690で500Hzのフィルタを入れている感覚に近いかな?それよりも切れているかも。しかし、ゲイン+12dBはやりすぎた。音が大きすぎる。高音のノイズがなくなるので静かになった気がするけど、目的の信号(f0付近の信号)は大音量になってしまった。

しかし、帯域を狭くすると独特な雰囲気になる。なんというか、土管の中で聞いているような感じというか。TS-690のCWフィルタ(特に、455kHz側)でも、このAFフィルタでも似たような感じ。このフィルタがなければ「シャー」って言う感じに聞こえるノイズに対して、700Hz付近だけをフィルタで通過させるとこういう「コォー」って言う音に聞こえるんだろう。人工雑音が少ない人里離れたようなところならもっと静かなんだろうな。

f0: 690Hz, BW: 100Hz, H0: 6dB

先ほどは、実測のf0がやや上で、ゲインが高すぎたことから、これらを少し下げてみる。

  • 中心周波数 f0: 690Hz
  • 通過帯域幅 BW: 100Hz
  • ゲインH0: 6dB

シミュレーション。

f0の設定を下げたものの、「E12系列素子値」の制限を課しているため、こんなに細かい変更は無理なようだ。抵抗の値はほとんど変らない(ゲインに寄与するものだけが変った様子)。

実測。

実測もシミュレーション結果と同様。全体のレベルは下がったが、f0や±50Hzでの減衰量は変らない。

聴感テストは省略。

f0: 690Hz, BW: 150Hz, H0: 6dB

通過帯域幅を広げてみる。

  • 中心周波数 f0: 690Hz
  • 通過帯域幅 BW: 150Hz
  • ゲインH0: 6dB

実は、BW: 120Hzなどでもシミュレーションしてみたのだけれど、これも、E12系列の制限をつけると結果が変らないので、150Hzまで広げた。

シミュレーション。

だいぶブロードになる。

f0が少し下がった。±50Hzでの減衰量も減った。しかし、ちょっとブロードになりすぎたか?

音量のバランス(フィルタのオン/オフ時の違い)は割といい感じ。しいて言えば、もう少し上げてもいいかも(フィルタを入れるとやや小さく聞こえる感じ)。音の印象もだいぶ柔らかい(聞き易い)。

f0: 670Hz, BW: 130Hz, H0: 8dB

シミュレーションを繰り返していたところ、割と良さそうな感じの波形が得られた。

  • 中心周波数 f0: 670Hz
  • 通過帯域幅 BW: 130Hz
  • ゲインH0: 8dB

これまでとは違って、f0付近に単独でのピークが発生せず、通過帯域内が比較的フラット。中心付近が多少凹む感じ。

実測。

通過帯域内はシミュレーションとは違って、中心付近が盛り上がっている。しかし、それでも比較的と緩やか。ピークは690Hzあたり。640~730Hzあたりは割とフラット。

音量バランスもいいと思う。切れに関しては、大パイルアップの状況ではさすがに厳しい感じ。でも、まぁ、このあたりが手の打ちどころかなとも思う。音量はちょっと大きく感じる。

E24系列、f0: 690Hz, BW: 100Hz, H0: 5dB

ここまでの実験で、なかなか思ったような特性にならないのは、抵抗値にE12系列の制限を課しているから。試しに、その制限を外して計算してみる。

ここでは、f0: 690Hz, BW: 100Hzとした。利得H0も押さえた。当然だけど、期待したとおりの特性になる。

では、E24系列の抵抗値を使えば、期待に近い特性が実現できるのではないか?E48系列やE96系列ならもっといいだろうが、入手性を考えるとE24系列が無難。しかし、残念ながら、ざわざわシミュレータではE12系列の指定しかできないので、LTSpiceでやってみる。

通過帯域がフラットになって、割といい感じ。最初のf0: 700Hz, BW: 100Hzものが「非常に切れる」印象だったのは、通過帯域がフラットではなく、ピークを持っていたからだろう。幅を持ったバンドパスではなく、実質的に非常に狭い通過帯域となってしまっていたとみなせる。

では、実測。

E24系列から選んだとはいえ、手持ちにはないので組合せで作った。なので、すごいことになっている。

残念ながら、通過帯域はフラットにはならず、山型になってしまった。しかし、それでも、傾きは緩やか。最初のものは、ピークから±50Hzのところは下側が-8.51dB、上側が-6.50dBだったが、今回は、それぞれ-6.41dB、-4.30dBと減衰量が抑えられてる。

より中心付近を細かく観測してみる。

中心周波数が700Hzで、-3dBのところは、660Hz付近と740Hz付近。

ちょっと整理。カットオフ周波数(-3dBのところ)をまとめる。

下限 上限 帯域幅
計算値 640 740 100
シミュレーション 628 745 126
実測値 660 740 80

計算値は理想状態。シミュレーションはE24系列値縛り。この制限の下では100Hz帯域のものを作るのは難しかった。もっと大幅に値を変えればできるか?

実測では、通過帯域内がフラットにならずに山型になってしまったため、実質的に帯域が狭くなってしまった感じ。

念のため、計算値のf0付近。

聴感上も、やはりよく切れる。一つ前の実験のものの方と比べると、どちらがいいかは難しいところ。でも、これくらいスッパリ切れるのは気持ちいい。音量(フィルタのオフ/オン時の差)はちょうどいい感じ。

実際の様子。フィルタなし(無線機(TS-690)側で2.4kHzのフィルタ)とフィルタありを切り換えて聴き比べ。

CW audio active filter 700Hz

もう一つ。こっちは、無線機側のフィルタ(500Hz (455kHz))と比べてみた様子。

CW audio active filter 700Hz – #2

こんなものかな。

スポンサーリンク
スポンサーリンク