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JLCPCBの3Dプリントサービスで箱(ケース)を作ってみた

とある装置のケースをJLCPCBの3Dプリントサービスを使って作った。

大きさは約108x78mm。高さは36mm程度。

背景(自宅の3Dプリンタによる出力の不満点)

最初は自宅の3Dプリンタ(光造形、水洗レジン)を使って出力したのたけど、色々と不満が。

試作段階のものなので、左と右とでは微妙に違うが、基本は同じ。

不満点、その一。反る。

二つを背中合わせにするとよくわかる。ピッタリとは合わさらず、隙間があく。このケースの場合は、実用に差し支えるほどではないけれど、残念感は小さくない。

不満点、その二。層の厚さが変わるところで切れ目が入ってしまう。

このケースの板厚は3mm(当初は2.3mmで作ったのだけど、簡単に割れてしまうので3mmにした)。その3mmが終って壁(これも3mm)が立ち上がるところでどういうわけか少し切れ目が入ってしまう。上の写真は外側だけど、内側にも切れ目は生じる。まぁ、これも実用上問題になるほどでもないし、パテで埋めればいいのかもしれないが、やっぱり残念。

不満点、その三。「水抜き穴」が必要。

光造形タイプの3Dプリンタで箱状のものを作る場合、水抜き穴(と言うのか?)を開けておかないと引き上げの際に負圧が生じて壁が内側に反ってしまう。どのくらいが適切なのかわからないけど、この例では、φ3mmの穴を左右に三つずつ開けてみた。この程度の穴なら問題視するほどでもないといえばそうだけど。

不満点、その四。ベースに窪みを付けられない。

造形のベースになる部分に少し凹みを付けたのだけど、上手く生成されない。上の写真では、窪みの中が荒れてしまっている。右下はほぼ生成されていないし(薄っすらと線が見える)。ベースに貼り付くため、こういうのは無理みたい。同様の理由で、この面に凹み文字も作れない。サポート材を使って浮かせて作ればいいのだろうけど、それはそれでまた面倒だし。

自宅の3Dプリンタでも、一応、実用的なものは作れるのだけど、やはりどうも垢抜けないというか。レジンと露光などの最適解を見つければもっと良いものができるのだろうとは思うけど、それには膨大な時間がかかりそう。もしかしたら、気温や湿度なんかも関係するのかもしれないし、そうなると、簡単に制御できない。

JLCPCBの3Dプリントサービス

そこで、JLCPCBの3Dプリントサービスを使って作ってみることにした。STLファイルが有れば作れる。

レジンの材質の選択

STLファイルをアップロードしたら、レジンの種類を選ぶのだけど、たくさんの選択肢がある。

各レジンのボタンの上にマウスカーソルを持っていくと簡単な説明が表示される。また、一覧やそれぞれの説明のページもある。

それぞれ説明を読んでも、こうした分野には疎いので、正直良くわからない。簡単に理解できるのは値段と色。このケース(上蓋)の場合で、安い素材だと$2.90、一番高いもので$9.75と、三倍以上の開きがある。

今回は、一番安いもので試してみることにした。9000Rと8111Xが同じ値段で、どちらにしようかと思ったのだけど、この際なので両方作ってみた。

仕上り品(レジン9000Rと8111X)の比較

当然のことながら、どちらも同じようにできている。

写真だとわかりにくいのだけど、9000RはNatural Whiteで、8111XはWhite。両者を比較すると9000Rは多少グレーがかっており、8111Xは漂白したようなな真っ白。が、あくまで比較した場合。単独で見れば、9000Rも充分に白。

さて、自宅の3Dプリンタで不満だった反り。そういう問題はない。二つをくっつけるとピッタリと合わさる。さすが。

薄い窪みもちゃんとできている。これも期待通り。

もちろん、「水抜き穴」もいらないし、そうの厚さの変り目に切れ目が生じてしまうなどということもない。

複雑な形状の中仕切もきれいに出来上がっている。

本当は、壁の厚さは1.2mm超、最薄で0.8mm以上という制限があるのだけど、それ以下のところもちゃんとできている。もっとも、制限を超えているので割れたりしていても文句は言えないだろうが。今回は問題なし。

9000Rと8111Xのどちらでも同じように仕上がってくれている。手で握った硬さ(しなり具合)も同じ程度(あくまで、私が握ってみた感触)。熱や力をかけて破壊テストをやれば違いがあるかもしれないけれど、そこまではやっていない。

8111Xの方が真っ白できれい。だけど、言い換えれば汚れが目立ちやすいかも。9000Rは多少くすんでいるので、汚れは少し目立ちにくいかも。そのくらいの違いしか思いつかない。

それから、ついでにネジ穴も確認してみた。

M3でモデル化したネジ穴にはプラネジが一応噛み合ってくれた。しかし、多少小さめにできてしまうようですんなりとは入らない。行きつ戻りつねじ込めば入ってくれた。プラネジだと最初はきつくて折れそうだったので、金属ネジで型をつけていくのがいいのかもしれない。もっとも、そもそもがレジンなので、しっかりとしたネジとして使えるとは思えない。一応、ねじ込めるという程度の認識というか。これについては、8111Xも9000Rも同じ感触。

自宅でプリントしたほうが安上がりではあるけれど、仕上がりを見たら圧倒的に作ってもらったほうがきれいで精度が高い。レジンのコストも、自宅でプリントしてもそれなりに掛かるので、8111Xや9000Rの値段なら悪くはないと思う。

不具合

よく見てみると、下側ケースの角が一か所、ちょっとだけ欠けている。

静止画だとわかりにくいのでビデオも撮った。

定規をスライドさせると引っかかるので欠けていることがわかると思う。

この問題が起きているのは、一か所だけ。レジンの種類云々も無関係だろう。たまたまこの一か所に問題が生じたのだと思う。

こういう場合は、品質クレームを提出すると適切に処置してくれる。JLCPCBが問題を認めてくれれば、大抵は再製造か、相当額のクーポンを発行してくれることになる。


JLCPCBのアカウントがなければ、こちらから$54分のクーポン付きで作れる。

3Dプリント
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