
※工事中
概要
F2Aでセミブレークイン通信を実現するアダプタです。前モデル「FDBM01」からのリニューアル版です。
F2A実験の手軽さと実運用での問題
F2Aは、例えばFMのハンディ機でマイクの代りにトーン発振器をつなげば簡単に実現できます。実験としては非常に手軽にできるのですが、実際にCWの運用をしようと思うと結構厄介な問題に直面します。
- 送受信の切替えが面倒(スイッチ操作)
- VOX機能を使えばスイッチ操作はいらないけれど、受信側で頭切れが起きる(スケルチが開くタイミング)
- ヘッドフォン/イヤフォンで受信すると、サイドトーン(送信音)を聞くのが難しい
これらの問題を解消を目指して作ったのが、前作のFDBM01です。送信トーンを打鍵タイミングよりも遅らせることで受信側での頭切れを回避しています。電鍵で打鍵するだけでそのまま運用できるセミブレークインを実現しています。ヘッドフォンでの運用については、受信音をFDBM01内に取り込んで受信音もサイドトーンもヘッドフォンで聞けるようにしました(もちろん、スピーカでもOK)。

このFDBM01は数年前に頒布を終えたのですが、この度、ふとしたきっかけでリニューアル版を作ることにしました。
リニューアルのポイント
リニューアルの最大のポイントはエレキー機能の内蔵。ASCW02と同じ、YACKの改良版を入れました。オリジナルのYACKに対して、可変抵抗での速度調整、縦振電鍵対応を行っています。

その他の機能は前モデルと同じですが、中身はまったく違います。前モデルではトーン信号はアナログ発振器(Twin-T)で作っており、それをアナログスイッチで断続していました。今回の新モデルではエレキーでトーンを作っています。
しかし、YACKのトーン出力は矩形波ですのでそのままでは使えません(使いたくありません)。ASCW02ではオペアンプによるアクティブフィルタによって矩形波を正弦波に近づけました。ところが、今回はサイドトーンと送信用のトーンの二系統が必要ですので、単純にはいきません。
そこで、まったく別の手法を取りました。まず、YACKのトーン出力信号(矩形波)を別のマイコンに入力して分析し、周波数を特定します。そして、その周波数に応じた正弦波をDDSで生成して出力します。サイドトーンと送信トーンのそれぞれのタイミングで二系統の正弦波を出力します。正弦波と言ってもPWM信号ですので、LPFを通してキャリア成分を落として目的の低周波信号を得ます。下の図がサイドトーンの波形です。PWMの名残りが多少見えますが、概ねきれいな正弦はと言ってよいかと思います。

それから細かい話ですが、エレキーを内蔵したため操作ボタンなどのスペースが必要になります。そこで、天板などの固定ネジの位置をギリギリまで移動し、また、ヘッドフォンとスピーカの切替えスイッチを廃し、回路の工夫でプラグを挿すことで切り替えるようにしました。これによって機能を増やしながらも、前モデルと同一サイズを実現しています。
動作の様子
実際の動作の様子のビデオです。パドルの操作に応じてサイドトーンが聞こえ、その後、受信側の無線機からトーンが聞こえます(わかりやすくするため、送信トーンをかなり遅らせています)。
左(FT-60)が本機につながっており送信側、右(RT3S)が受信側です。パドルの操作(打鍵)で本機のサイドトーンが鳴り、それに遅れて右の無線機から受信音が聞こえます。また、その後、RT3Sからの送信した音が本機のスピーカから聞こえます。FT-60はイヤフォンジャックにプラグが挿されているので音が出ないのですが、このように本機のスピーカ(またはイヤフォン)から音が出ますので、受信も問題ありません。
特徴
大まかなことは上に書いたとおりですが、特徴をもう少し詳しくまとめておきます。
- 電鍵操作だけで送受信を切り替えるセミブレークイン操作
- 頭切れ防止のため、送信トーンの遅延機構(0~1秒可変)
- 送信状態(PTTオン)ホールド時間も可変(0~1秒)
- エレキー内蔵(YACK改造版)
- 可変抵抗による打鍵速度調整
- 縦振電鍵対応
- 一部のハンディ機とはケーブル一本の簡単接続
- 八重洲のスピーカ・マイクの4極端子ならケーブル一本
- アイコムの2.5/3.5端子用のアダプタ基板も用意
- その他のハンディ機やモービル機用の汎用端子あり(ケーブルは自作で)
- スピーカ内蔵
- リグからの受信音と本装置のサイドトーンを出力
- 外部スピーカ、ヘッドフォンにも対応
- マイク端子
- 電話送信の場合もいちいちつなぎ直すことなく、すぐに送信可能
- マイクアンプ内蔵(ゲイン可変)
- モニタ用ライン出力あり
- PCに接続してCWデコードなどに利用可能
- 電源電圧は5~13.8Vの広範囲対応
- ケース付きキット(チップ部品は実装済み)
- サイズは100×77×23.2 mm(突起物は含まず)
使い方
各部説明
前面パネル

左から順に下記のとおりです。
- Paddle / Key: エレキー用のパドル、または、縦振電鍵(別のエレキーの出力でも可)をつなぎます。パドルは3極プラグ、縦振電鍵は2極プラグをお使いください(これで判別します)。
- PTT: PTT信号の出力を表します(つまり、送信中です)。
- Tone: 送信トーンモニタ。電鍵操作から遅延したタイミングで点灯します。
- Mic: 4極のスピーカ・マイクを接続します。八重洲やアルインコのハンディ機用のものが使用できます(マイクだけです。スピーカには対応していません)。
- Command: YACK(エレキー)のコマンドボタンです。
- Speed: YACK(エレキー)の打鍵速度調整です。
- Phones: ヘッドフォン/イヤフォン端子。プラグを挿すとスピーカの音は消えます。なお、金属部はGNDではありません(BTL出力)。
- Volume: 電源スイッチ兼音量ボリューム。
背面パネル

左から順に下記のとおりです。
- DC: 電源ジャック(2.1/5.5、センタプラス)。5Vで動作します。13.8Vまで使えますが、熱になるだけですので、低い電圧での使用をお勧めします。
- Speaker: 外部スピーカ端子。BTL出力であり、金属部はGNDではありません。
- Line Out: モニタ用ライン出力(PC等への接続用)。
- To RIG: リグ接続端子。
- RJ45: 汎用端子
- 3.5mm/4極: アルインコ、アイコム、八重洲のハンディ機用
- スライドスイッチ: アルインコ、アイコム、八重洲のハンディ機用の切替え。
- Key Out: 電鍵出力端子。遅延なく、そのまま出力します。
側面パネル(左)

- mic gain: マイクアンプのゲイン(音声用)
- tone gain: 送信トーン信号のレベル
- sidetone level: サイドトーンのレベル
- tone delay: 送信トーン信号遅延時間(0~1秒)
- PTT Hold: PTT(送信状態)保持時間(0~1秒)
sidetone level以外は送信に関するものですので、sidetone levelの表示とそれ以外の表示をわけています。
天板
YACK(エレキー)のコマンド一覧です。

底板

全面が電源レギュレータの放熱板を兼ねています。13.8Vなどの高い電圧で使用時、大音量で鳴らし続けるとかなり発熱します。
高めの電圧でお使いになる場合は大音量は避けるか、大音量で使用するなら低めの電圧で使うことをお勧めします。内部は3.8Vで動作しますので、供給電圧は5Vで充分です(細かいことを言えば、誤差を考慮すると少し高めの5.2Vくらいがベスト)。
とは言え、大きく発熱するのは連続トーンを爆音で鳴らし続ける場合。通常のCW、つまり、断続音では高めの電圧でも大して発熱しません。繰り返しになりますが、注意が必要なのは連続トーンを爆音で鳴らし続けるという使い方です。
YACK(エレキー)
本装置のエレキー機能はオープンソースのYACKを使用しています。
コマンド
YACKのコマンド詳細はこちらをご覧ください。

追加機能
元々のYACKに対して、以下の機能追加を行っています。
- 縦振電鍵対応
- 5文字打返し練習機能
- バグキー
- 強制リセット
- 可変抵抗による打鍵速度調整
以下、詳細です。
縦振電鍵対応
3極のプラグで接続するとダブルパドルと認識し、通常のYACKとして動作します。
2極のプラグで接続すると縦振電鍵と認識します。縦振電鍵モードでは、エレキーとしての機能は使えません。なお、サイドトーンのピッチ(周波数)などはエレキーモードのものをそのまま使用します。従いまして、サイドトーンのピッチを変更するにはパドルを使ってください。
5文字打返し練習機能
YACKには元々練習機能が備わっています。コールサイン(のようなもの)を生成して出題し、それを打ち返すものです。しかし、いきなりコールサインを聞き取るのはなかなかハードです。
そこで、K3NG keyerに実装されている「5文字打返し練習」と同等なものを実装しました(移植は難しそうだったので、同じようなものを新規に作りました)。
この練習を始めるには、コマンドボタンを押し、続けて’Q’を打鍵します。なお、コマンドモードでは、バグキー(後述)は使えません。強制的にエレキー(iambic)になります(AかBかは、バグキーの前に使っていたものが選ばれます)。
最初の出題は1文字。正解すると2文字に増えます。例えば、最初が”C”だとすると、”C”を正しく打ち返すと次に進みます。間違えるともう一度”C”が出題されます。正しい場合は2文字に増えます。例えば”CQ”。これを続けて最大は5文字。これに正解するとステージクリア。次の問題に進み、また1文字から始まります。4回連続して失敗するとこのステージはパスとなり、強制的に次の問題に進みます。
実際の動作様子がこちら。
5文字を聞いて打ち返すのは私にはかなり難しいのでインチキしています。スマートフォンのデコーダアプリでデコードし、PCを使って打鍵しています。正答や誤答を混ぜていますので、「こんな感じ」と雰囲気を感じていただければと。
得点などはありません。永遠にこれを続けます。終了するにはコマンドボタンを押します。無操作で連続失敗となった場合も終了します(そうしないの永遠に出題のトーンが鳴り続けますので)。
正答のチャイムや誤答のブザー音の最後に少しおかしな音が付きますが、これはサイドトーン(出題のトーン)のピッチに戻すためのものです。装置の構造上、付けざるを得ないものです。ご了承ください。
バグキー
機械式に短点は自動打鍵、長点は手動打鍵という、バグキーを模したキーイング、いわゆるエレバグです。
機械式の本来のバグキーであれば短点の接点と長点の接点が同時にオンになることはありえません。しかし、ダブルパドルを使ってエレバグを操作するとそれの状態が発生し得ます。iambicならスクイーズとなるのですが、バグキーとしてはあり得えません。
その状態をどのように扱うかが問題で、いくつかの方法があるようですが、どれを採用するか決め兼ねたので、長点優先、後着優先、短点メモリの三種類を実装しました。詳しくはこちらのページをご覧ください。

それぞれ、コマンドボタンに続けて次の文字を入力します。
- 長点優先: G
- 後着優先: O
- 短点メモリ: Y
文字を入力後しばらく待つと応答メッセージが返ってきます。それが聞こえたらコマンドボタンを押せば確定してコマンドモードから抜けます(または、そのまま放置しても確定します)。このあたりは、iambic A / Bの等選択方法と同じです。
シングルレバーのバドルを使うこともできると思いますが、前述の通りコマンドモード中は強制的にiambic動作になることに注意してください。
強制リセット
YACKはディスプレイ等がないので、今がどういう状態の確認が難しいです。’R’コマンドでリセットできるようになっていますが、パドル操作自体が変ってしまって慣れないうちはパニック状態になりかねません。
そこで、コマンドに頼らずに、強制的にリセットする機能を付け加えました。操作は、パドルの両方を押さえたまま電源を入れ、一呼吸置いてパドルを離せばOKです。これで初期状態で起動します。縦振電鍵の場合も同様に、電鍵を押したまま電源を入れて一呼吸置いて電鍵を離します(縦振電鍵モードで起動します)。
なお、リセットしてもメモリの内容は消えません。メモリ内容を消去するには、それぞれのメモリに新しいメッセージを入力してください。
可変抵抗による打鍵速度調整
YACKではコマンドボタンを押しながら左右のパドルを押すことで打鍵速度を調整します。一方のパドルが遅くなる方向、もう一方が速くなる方向です。しかしこれでは素早い調整ができませんし、何より直感的ではない。
そこで、本機では可変抵抗で速度調整ができるようにしてあります。ツマミを回すだけで簡単に調整できます。
YACK本来の速度調整範囲は5~50WPMですが、可変抵抗による速度調整は11~30WPM(20段階)の範囲に制限しています。可変幅が広すぎるとちょっと回すだけで大きく変化して、調整しづらいためです。
もちろん、パドル操作の方法なら5~50WPMの範囲で調整できます。ただし、可変抵抗でカバーできる範囲(11~30WPM)を超えている場合は、可変抵抗での調整できません。パドル操作で変更してください。
打鍵速度はマイコンの内蔵クロックを基準にしております。このクロックはあまり精度が良くないので、他のキーヤと比較した場合に多少速かったり遅かったりすることがあります。速度の数値は目安と考えてください(比較するキーヤも同じようにマイコンの内蔵クロックを使っているなら、そちらも精度は良いとは言えないでしょう)。
ソースコード
上記改造を行ったYACKのソースコードはこちらです。
ソースコードの他に、コンパイル済みのバイナリファイルをbin_FDBM02フォルダに入れてあります。書込み方法は同梱のwrite_avr.batを参考にしてください。なお、bin_PCWI02フォルダ内のものはPCWI02用のバイナリです(PCIW02には可変抵抗がないのでそれに合せてコンパイルしてあります)。
本機以外に必要なもの
本機の仕様には下記のものが必要です。
- 電源: DCジャックは2.1/5.5mmの標準的なものです。センタプラス。5V(300mA以上)。13.8V まで使えますが、底板の説明にも書いたとおり、高めの電圧で使用しても発熱が増えるだけです。低めの電圧での使用をお勧めします。
- パドル/電鍵
- エレキー用のパドルはステレオプラグ(3.5mm)で接続します。
- 縦振電鍵はモノラルプラグ(3.5mm)で接続します。トーン周波数はエレキー(YACK)のコマンドで設定するため、縦振電鍵で使用する場合もパドルを用意するのが良いと思います。とは言え、他にはYACKのリセットにしか使わないので、トーン周波数を変えないならパドルはなくても構いません。
- リグ接続ケーブル: 接続するリグに合わせて用意します。
- 八重洲のハンディ機(4極マイク): 3.5mmの4極ストレートケーブル。市販の汎用ケーブルが使用できます。
- アイコムのハンディ機(2.5/3.5マイク): 4極ストレートケーブルと変換アダプタ。
- アルインコのハンディ機
- 4極マイク: 4極ストレートケーブルと変換アダプタと市販の変換ケーブル。DJ-G7等の防水仕様のものは通常の4極ケーブルが挿せないため、メーカオプションの4極 – 2.5/3.5変換アダプタ使用します。
- 2.5/3.5マイク: 4極ストレートケーブルと変換アダプタ。
- その他のハンディ機やモービル機等: 汎用端子を使って接続(ケーブルは自作して下さい。製作編を参照)。
以下は必要に応じて。
- マイク: 八重洲のハンディ機と同様の4極仕様。汎用品(特小用?)も使えます。
- ヘッドフォン、イヤフォン
- 外部スピーカ
- ライン接続ケーブル: PCのライン/マイク端子との接続用。
- 電鍵ケーブル(出力用): 電鍵出力が取れるようにしてあります。単なるエレキーとして使用することもできます。
リグ接続ケーブル等の例(私が実際に試したもの)を挙げておきます。
- 4極ケーブル
- 2.5mm/3.5mmステレオケーブル
半分に切って使います。詳細は製作編で。
熱収縮チューブを収縮させる際には、加熱し過ぎに注意してください。ジャックが熱で変形するとプラグが挿せなくなります。
- EDS-14 / OPC-2132
2.5/3.5からネジ込み式4極に変換します。DJ-G7などの防水型ジャックでは通常の4極プラグは挿せません。
各種ハンディ機との接続には、のびぞう工房さんが頒布している4ピンケーブルとの変換コネクタ類が使えそうです。こちらをご覧ください(動作未確認です。悪しからず)。
ついでに、マイクはこれが使えることを確認しています。
接続方法
無線機のマイク端子の接続方法は機種ごとに違います。基本的にはマイクとPTT、それにイヤフォン(外部スピーカ)です。大雑把には以下のように分類できます。
- マイクとPTTが共通線
- マイクとPTTがそれぞれ独立線
マイクとPTTが共通なのは、主に八重洲(スタンダードを含む)、アイコムのハンディ機です。八重洲はスピーカ端子もまとめて4極のプラグ・ジャックを使うスタイルが多いようです。アイコムはマイク・PTTで一つ、スピーカで一つの2ピンプラグ・ジャックが多いようです。


ケンウッドはマイクとPTTが独立しています。スピーカも独立。これを2ピンに割り振っていますが、アイコムとは互換性がありません。Retevis RT3SやQUANSHENG UV-K5なども今方式です。

モービル機などもマイクとPTTは独立です。
本機ではこれらに対応するために、4極のジャック(主に八重洲ハンディ機用、アイコムは変換基板経由)と、汎用の各端子独立のジャック(ケンウッドハンディ機やモービル機)の二つを設けています。「To RIG」の端子がそれです。両方を同時に使わないでください(二台の無線機に同時につながないでください)。

以下に方式ごとの模式的な接続図を示します。この他に少なくとも電源が必要です。マイクやヘッドフォンなども必要(好み)に応じて接続して下さい。
八重洲ハンディ機(4極マイク端子)
最もシンプルなケースです。4極のケーブルだけでつなげられます。スライドスイッチをYAESUの位置に合せてください。


アイコムハンディ機(2.5/3.5マイク端子)
4極ケーブルを2.5/3.5に変換してつなぎます。スライドスイッチはICOMに合せてください。


※私はアイコムハンディ機を持っておりません。上の写真はFDBM01でお使いの方にご提供いただいたものです。
アルインコハンディ機
DJ-S12やDJ-S42などの2.5/3.5端子のものは、上のアイコムのハンディ機と同じ接続で大丈夫だと思います(実機未検証)。スライドスイッチはALINCOに合せてください。
DJ-G7やDJ-S57などの防水ねじ込み式の4極ジャックには通常の4極プラグが挿せません。そこで、変換を二段階行います。無線機側の2.5/3.5ジャック-4極プラグは市販の変換ケーブルを用意して下さい。スライドスイッチはALINCOに合せてください。


その他
ケンウッドのハンディ機や他社でも古いハンディ機のようにPTTが独立した接点のもの、あるいはモービル機の場合は、汎用の接続端子を使用します。ケーブルはリグに合せて自作してください。
スライドスイッチは使用しません(どの位置でも構いません)。


Retevis RT3S, H1, QUANSHENG UV-K5, UV-K1で動作を確認しています。これらはKENWOODのハンディ機と同じピン配列なのでKENWOOD機でも大丈夫だろうと思いますが未検証です。
- 2.5mm:T – スピーカ、R – (今回は未使用)、S – GND
- 3.5mm: T – (今回は未使用)、R – Mic、S – PTT
※T – Tip(先端)、R – Ring(中央)、S – Sleeve(根本)
なお、LANケーブルには結線が二種類あります(T568AとT568B)。
一般的に使われているのはT568BですのでFDBM02の回路図ではT568Bに合わせています。市販品ケーブルにはT568Aもありますので結線を確認してください。
LANケーブルがT568Bだと仮定すると、次のようになります。
- 2.5mm: T – 青、S – 青/白
- 3.5mm: R – 橙、S – 緑
GNDはFDBM02内部ですべて共通になっていますので、一本だけつながっていれば大丈夫です。
モービル機でも同様な方法でケーブルを作れば使えます。必要な信号は、Mic、PTT、外部スピーカです。

動作実績
私が動作確認したもの、および、ユーザさんから動作報告をいただいたものです。
- アイコム
- ハンディ機: ID-51、ID-31
- アルインコ
- ハンディ機: DJ-G7, DJ-C7
- ケンウッド
- モービル機: TR-751
- 八重洲(スタンダード)
- ハンディ機: FT-60, VX-3, FT-3D, FT-818ND(結線図)
- QUANSHENG
- UV-K5, UV-K1
- Radtel
- RT-4D
- Retevis
- H1, RT3S
上記以外に、前モデルのFDBM01では次の機種で動作したとの報告を受けました。本機でも同様に動作すると思われます。
- アイコム
- ハンディ機: IC-S35, IC-3N(汎用端子接続)
- ケンウッド
- モービル機: TM-441
- 八重洲(スタンダード)
- ハンディ機・ポータブル機: FT-2D, FT-70D, VX-2
- モービル機: FTM-6000(結線図)
操作方法
半固定抵抗の設定
まず、一番最初は、側面の半固定抵抗は下の写真の位置にしてください。

各半固定抵抗の機能は、左から順に次のとおりです。
- mic gain: 外付けのマイクをつないだ場合のマイクゲインです。二倍の増幅回路を入れてありますので、中間点がゲイン1、つまり、マイクを直結した場合と同等です。
- tone gain: 送信するトーンの音量です。絞りすぎると変調が浅くなり、大きすぎると音が歪みます。無線機次第ですが、概ね9時~10時あたりが良いかと思います。可能なら別の無線機で受信して音を確認してください。
- sidetone level: 本機で鳴らすサイドトーンの大きさです。受信音量とのバランスによって必要に応じて調整してください。概ね1時~2時あたりが最大です。これを超えると歪みが生じます(多少歪んだとしても大音量が欲しいという用途があるかも知れないので、その余地を残してあります)。
- tone delay: 送信するトーンの遅延時間です。0~1秒の範囲で調整可能です。相手のスケルチが開くまでの時間を稼ぐために遅らせます。中間の0.5秒程度で良いかと思います。
- PTT hold: トーン送出後に送信状態を維持する時間です。トーンの終了と同時に送信を終了すると受信側ではスケルチが開いたり閉じたりで非常に聞きづらいので。要するに、セミブレークインの保持時間です。これも0~1秒の範囲で調整できます。
電源投入・基本操作
正面の電源スイッチ兼音量のツマミを回すと電源が入ります。その際、緑LED(電源パイロットランプ)が点灯し、青LEDが「・ー・」のタイミング(Readyの「R」の意味)で点滅します。それと同時に、エレキーの起動音「73」のモールス信号が鳴ります(起動時に「73」は不思議に思いますが、YACKの標準動作です)。
電鍵を操作するとPTTがオンになり(赤LEDが点灯)、サイドトーンも聞こえます(調整は下記)。所定の遅延時間でトーン信号がリグに送られ、また、そのタイミングで青LEDが点滅します。
縦振電鍵
縦振電鍵を使用する場合は、2極のプラグを使用してください。接続されているものが縦振電鍵であるかパドルであるかを電源投入時に判定します(もし3極プラグを使うなら、中間リングとGNDをショートしてください)。
縦振電鍵と認識した場合の起動メッセージ音は「STK」です(straight keyの意図)。
リセット
パドルを両方とも押さえながら電源を入れ、一呼吸(一秒程度)置いてパドルを離します。これでYACKの設定がリセットされて初期状態に戻ります。
縦振電鍵の場合も電鍵を押しながら電源を入れて、一呼吸置いて電鍵を離せばOKです。
パドル・電鍵を離すと通常の動作が始まります(すべてリセットされた状態で)。
サイドトーン
電源を投入して電鍵を操作するとスピーカからトーンが聞こえます。ヘッドフォン/イヤフォンを挿し込むとスピーカからの音は消えます。両耳タイプのヘッドフォン/イヤフォンを使用する場合は、内部のジャンパJP2にジャンパピンを挿してください(挿さないと片側からしか聞こえません)。片耳タイプの場合はジャンパピンは挿さないでください(挿すと音が出ません)。ご利用のヘッドフォン/イヤフォンに合わせてジャンパを設定してください。
サイドトーンのレベル(音量)は側面のsidetone levelで調整できます。リグからの受信音の音量とのバランスが良い(聞きやすい)位置に合せてください。なお、レベルを上げすぎると音が歪みますので、歪まない範囲でお使いください。
トーン信号の周波数は、YACKのコマンドで設定します。
供給する電源電圧が13.8V等の高い場合、フルボリュームでサイドトーンを連続音でスピーカを鳴らし続けると三端子レギュレータが非常に高温になります(あっという間に指で触れなくなるレベル)。供給電圧が高い場合は音量は控えめにして下さい(フルボリュームではやかましすぎるので使うことはないとは思いますが、念のため)。 底板を放熱板にしていますので、底板もかなり温まります。フルボリュームで5分間鳴らし続けるテストを行い問題がないことは確認していますが、念のため注意事項として記載しておきます(底板を放熱板として使っていない、熱伝導ゴムを入れていない、というような場合は故障する恐れがあります)。
ヘッドフォンの場合はフルボリューム連続音でも三端子レギュレータはさほど高温にはなりません(爆音ですので、これも使うことはいと思いますが)。
もし、爆音でスピーカを鳴らすなら、供給電圧を9V程度までに抑えておくと安心です。内部は3.8Vで動作しています。高い電圧を供給しても超過分が熱になるだけです。
供給電圧が高めであっても、通常の運用(連続音ではなく、断続のモールス)なら三端子レギュレータは高温にはなりません。
マイクによる音声送信
本装置に接続したマイクのPTTを押すとマイクからの音声が送信できます。mic gainでレベルを調整できます。これも受信側で聞きやすい位置に合せて下さい。
なお、電鍵操作による送信ではマイクからの音声は送信されません(トーン信号だけが送信されます)。音声を送信する際は、マイクのPTTスイッチを押して下さい。言い換えると、マイクを挿したままでCWの送信を行っても、周りの音が送信されることはありません。
リグからの受信音
リグからの受信音も本装置から聞こえます。サイドトーンの音量とバランスが良くなるように、リグの音量を調整して下さい。
免許
本装置を無線機の外部入力端子(マイク端子など)に接続してF2Aの送信を行う場合は、特段の変更手続きは不要です。ただし、本装置の音をマイクで拾って送信する場合は送信機系統図を添えて変更の届けが必要です。詳しくはこちらをご覧ください。


余談ながら、DMR機でモールス符号を送信する場合はF7Wに含まれるので、すでに免許を受けているなら特段の変更は不要です(中国総通に確認済み)。しかしながら、実際に送信してみるとまともな音になりません。DMRのコーデックは人間の声に特化しているようで、本機のような正弦波は正常に送信/復調できないようです(それが確認できることが面白いと言えば面白い)。
【補足】
モールス符号と音声を同時に送信すると電波の型式はF9Wになります(AMの場合はA9W、SSBの場合はJ9W)。
同時送信ではなく、交互に送信するならF2A・F3Eで大丈夫です。F2Aの送信中に意図せずに混入した音声はノイズ扱いです(逆も同様)。本装置に限らず、他のトーン発信装置を使ったり、マイクの前で低周波発振器を動作させる場合でも起き得る状況です。これについては中国総通に確認済みです。
余談ながら、トーンスケルチ(レピータを含む)はトーンの断続や組合せで情報を伝達するものではないので電波型式の変更(追加)追加は不要という扱いです。これも中国総通に確認済み。
製作編
ここでは、本機を組み立てる際に注意すべき点について記します。
ケース部材
側板パネルは下の写真のようにつながった状態で製造しています。あらかじめカットしてありますが、バリが残っていると思いますので、ヤスリがけしてください。側面パネルには突起があります(上部二か所、下部三か所)。バリと間違えないように。

仮組みして、突起の収まり具合などを確認してください。

中身のない状態で箱状に組むのは難しいと思います。無理に箱にしなくて構いません。チェックするポイントは、穴と突起の噛み合せです。また、前記のとおり、サイドパネルはバリが残っている可能性があります。噛み合せやバリをヤスリ等で調節してください。

回路図と部品表
回路図と部品表はPDFで用意しております。
基板組立て


基板の裏にシールを貼ってありますが、これはマイコンにプログラムを書込み済みの印です。色は様々です(色には意味はありません)。手作業で書き込んでいるので識別用です。
チップ部品はすべて実装済みですので、自分で取り付ける部品は電解コンデンサやジャック類など、比較的大きなものだけです。
ジャック類などをハンダ付けします。定石通り、背の低い部品から取り付けるのが良いと思います。一番背が低いのはICソケットだと思います。
内蔵スピーカ用のコネクタJ5も背が低いです。足の間隔が狭いので、ショート(ハンダブリッジ)しないように気をつけてください。

ジャック類は、まずは足を一本だけ仮付けしてパネルを当てて収まり方を確認してください。

そのまま、他のジャックや可変抵抗も同じように足を一本だけ付けて収まり方を確認・調整してください。穴の「アソビ」を少なめにしているため、傾いて取付けてしまうとパネルが入らなくなります。
4極のジャックは足が短い場合があります(本来なら足が外に出てくるはずなのですが、足の短い仕様のものが送られてきてしまいました…)。その場合は基板の外に足が出てきませんが、ハンダコテをしっかり当ててハンダを流し込めば大丈夫です。

LEDの取付けは下の写真を参考にしてください(極性に注意)。色は外観では区別がつきませんので、点灯させて確認してください。多くのデジタルテスタ(DMM)にはダイオードのテスト機能があると思います。それを使えば点灯させられます。あるいは、数k~数十kΩ程度の抵抗を挟んで5~12V程度の電源につないで確認するのももちろんOKです(抵抗を挟まずにLEDを電源に直結するとLEDが壊れるので注意してください)。


LEDもパネルを当てて出具合を調整してください。穴は大きいですが、後でキャップを被せるためです。
パネルの裏側の二本線は基板の位置を表しています。

すべてのジャック類が上手く収まることを確認した後、残りの足をハンダ付けしてください。

後面も同様です。まずは一本だけ足を仮付けして、パネルへの収まりを確認し、最後に残りの足をハンダ付けです。

DCジャックの足は長いため底板に当たってしまいますから、カットしてください(ハンダ付けの前にカットするほうが良いかも)。他の部品はおそらく当たらないと思いますが、当たりそうならカットしてください(当たる可能性があるのは、スイッチ付き可変抵抗のスイッチ側と、半固定抵抗くらいだと思います)。
一か所修正点があります。Line Outジャック(J7)のピンを下の写真のようにショートしてください(切り取った電解コンデサの足などを使えばOK)。

ジャックのフットプリントライブラリにミスがあり、左右が入れ替わっていました。3極 TRSのうちのSをGNDに落としてRは未接続が正しいのですが、逆になっています(GNDが浮いた状態でした)。ここジャックは、PCのマイク端子につなぐことを想定しています。マイク端子のRにはマイクのバイアス電源が出ていますので、この改造を行うとバイアス電源がGNDにショートしてしまいますが、電流は制限されていますので実害はありません(手元のPCでは、ショート状態での電流は0.8mAでした)。2極プラグのマイクを挿した場合と同じですので、PC側で考慮しています。しかし、こういう状態ですので、PC以外に接続する場合はこの点に留意してください。

スピーカへのワイヤは外側の端子へハンダ付けしてください(内側の端子はボイスコイルが付けられているので触らないように)。プラス・マイナスはどちらでもOK。スピーカはM2.5のビス、ワッシャ、ナットで天板に固定してください。天板にはエレキーのコマンドを記載しています。片面が日本語、他面が英語です。お好みの方をお使いください。

この状態(ケースに組み込む前)で、動作確認してください。まず最初に、電源につなぐ前に、電源ラインとGNDがショートしていないかチェックしてください。GNDと、VCC(ICのピン)・3.8V(ICのタブ)・3.7V(TP12)をテスタで見ます。

OKなら、マイコンチップをICソケットに挿します。JP1は「N」側にショートピンを挿してください。

これで、電源をつないでスイッチを入れればLEDの点灯や起動音が聞こえるはずです(スピーカもつないでください)。
また、このときについでにYACKをリセットしてください(パドルを両方押さえたまま電源を入れ、一秒程度待ってからパドルを離す)。YACKの初期設定が不定のため、強制的に初期化します。
パドルを操作すればそれに応じてサイドトーンが聞こえるはずです。赤LEDがPTTの状態、青LEDが実際に送るトーンのタイミングです。JP1のショートピンを「D」側に切り替えると遅延したトーンが聞こえます(パドルの操作と合わないので奇妙な感じがすると思います)。
正常に動作しない場合、その原因のほとんどはハンダ不良です。上手く付いているか、ショートしていないかじっくりチェックしてください。本装置の場合は、部品の付け間違いは生じないと思います(それぞれの部品の形状が違いますので、正しい場所にしか入りませんから)。
ケース組立て
まず、底板にM3x10(つまり、長い方)を差し込みます。

上から天板をあてがいます。

そのまま、ビスを落とさないように裏返して置きます。
ビスにスペーサを通します。

熱伝導ゴムの保護シートをはがして貼り付けます。

熱伝導ゴムの上に三端子レギュレータが載る向きで基板を載せ、スタンドオフを取り付けます。

スピーカを天板にビス留めします。ワッシャとナットを使って固定してください。天板はそれぞれの面で日本語表記と英語表記にしています。お好みの方をお使いください。

LEDにキャップを被せ、前面パネルを取り付けます。LEDの出具合を調整してください。パネルは3.5mmジャックや可変抵抗で固定します(通常は「パネルに固定」しますが、本機では「パネルを固定」します)。

タクトスイッチのキャップは差し込みがかたいので下の写真のように、裏に指を当てて挟み込むようにしてキャップを被せてください。裏から支えずに表から押し込むとタクトスイッチを壊す可能性があります。あるいは、タクトスイッチを基板にはんだ付けする前に、先にキャップを被せるのもいいかもしれません。なお、下の写真は他の機種からの流用です。ご了承ください。

背面パネルも同様に取り付けます。

スピーカのコネクタを挿し込み、左右の側板を立てます。

スピーカケーブルを挟み込まないように注意しながら天板を載せて側板の突起と嵌合させ、ビスで固定します。

天板・底板のビスや、ジャックなどの固定ネジを適宜増締めしてください。とは言え、ビスはプラスチックですので程々に。
最後に底板にゴム足を貼り付けてください(必須ではありませんが)。
側板の突起の噛み込みが緩い場合、スピーカの振動で側板がカタカタ動くことがあります(大音量時)。そのような場合は、側板とスタンドオフの間に適当なクッションなどを挟み込んでガタツキを抑えてください。

3.5mm 4極 — 2.5/3.5mm 3極変換アダプタ
必要に応じて、八重洲などの3.5mm 4極から、アイコムなどの2.5/3.5mm 3極に変換するアダプタを作ります。

上が製作例です。基板、4極ジャック、熱収縮チューブがキットに含まれています。2.5mm / 3.5mmのケーブルと結束バンドはご用意ください。なお、基板は一枚です(写真は、説明のために二枚並べています)。
上の作例はこちらのケーブルを使いました。
このケーブルを切って基板にハンダ付けします。ケーブルは結構長いので、適当長さに切ると良いと思います。
基板上に 「2.5」と「3.5」の印字がありますので、それに合わせてつないでください。

電気的には、2.5も3.5もTipとSleeveがつながればOKです。Ringの配線は使いませんので、つながずに切ってしまってもOKです(ハンダ付けしてもどこにもつながっていません)。


この作例で使ったケーブルはTipが白、Ringが赤でしたが、必ずしもそうだとは限らないので、必ず結線を確認してください。
結束バンドは2.2mm幅のものが最適です。

最後に熱収縮ケーブルを被せますが、加熱し過ぎに注意してください。ジャックが変形するとプラグが挿せなくなります。
実測波形
トーンの波形を測定したので載せておきます。測定ポイントは、上から順に以下のとおりです。
- ch1 黃: TP17 送信信号の元のPWM(デューティ比の変化の様子が分かります。キャリアは31.25kHz)
- ch2 赤: TP18 LPFを1段通過後(PWMのギザギザがかなり残っている)
- ch3 青: TP3 送信信号(2段目のLPF、および、バッファアンプ件LPF通過後)
- ch4 緑: TP8 サイドトーン(TP3同様に数段のLPFを通過後)

送信信号とサイドトーンは独立生成しているため、位相は一致していません(周波数は同じです)。
続いて、送信信号の詳細です。無線機のマイクレベルに合わせるために、電圧レベルを小さく押さえています(そのため、ややノイジー)。倍音成分は基音に対して30dB以上低くなっています。モールス信号のトーンとしては正弦波とみなして良いと思います。


次に、サイドトーン詳細。こちらも概ね同様な傾向です。こちらはマイクレベルに落とす必要がないので、電圧は1.3Vpp程度振っています。





