TS-690用デジタルモード通信インタフェース

JT65やJT9、あるいは、RTTYなどのデジタルモードで運用するためのインタフェースを作った。最近のリグではそうしたものは内蔵されており、USBケーブル一本で行けるらしいが、何しろ古いTS-690だからそうもいかない。あちこち調べたところ、基本的には、PCのオーディオ入出力を、無線機のスピーカとマイクにつなげばいいようだ。TS-690には、幸いにもそれ用の端子がある(背面のACC2)。これを使えば、マイクとスピーカ端子を使うことなく、PCと接続できる。また、PCと無線機との接続は電気的にアイソレートした方が良い。

ということで調べていたところ、それ用の基板を配布している方がいらっしゃた。配布元のjh1lmd局にコンタクトをとってみたら、最後の一枚とのことであったが、快く分けてくださった。感謝。その基板情報はこちら。

基板が完成しました
http://blogs.yahoo.co.jp/jh1lmd/30595753.html

※すでに配布終了

TS-690用というわけではなく、汎用として設計されており、接続ケーブルを変えることで、各種無線機に対応できる。

私が組み上げたのがこれ。

DUIF04_08

DUIF04_07

DUIF04_06

裏面に抵抗が付いていたりするのは、オリジナル回路とは若干変更したため。オリジナルでは、USB←→232C I/Fチップから出てきた信号はLEDを通ってフォトカプラに入っている。また、フォトカプラはダーリントン構成のTLP627が使われている。私が用意したフォトカプラはダーリントンではないTLP621。このため、オリジナルよりは多めに電流を流しておこうという作戦。しかし、そうすると、パイロットランプのLEDが眩しすぎるので、直列ではなく、並列ににした。直列の方が回路(素子)のトラブルがわかりやすいが、まぁ、しょうがない。

DUIF04_LED

変換チップのFT232Rのデータシートによれば、5V動作時のHi出力はtypicalで4.1V。また、TLP621のデータシートによると、たとえば10mA流そうとすると順電圧は1.15V程度。ということで、計算上は(4.1 – 1.15) / 10mA = 295Ωを入れれば良さそう。実測では、220Ωで10mA弱となった。多めに電流を流したので、電圧が落ちているのだろう。念のため、minimumの3.2Vで計算してみると、(3.2 – 1.15) / 220 = 9.3mAとなり、想定の範囲には入っている(データシート上の数字は、6mA時)。という実験をやりながら作ったので、基板の裏が汚い(ということにしておこう^^;)。

また、FT232Rから流せる電流は最大で12mAのようなので、LEDには超高輝度タイプを使って、低電流で済ませることとした。具体的には、緑と黄が6.8kΩ、赤はこれでは若干暗かったので5.6kΩ。これで、概ね0.3mA程度だった。本当はもう一段暗くてもいいのだけど、LED直接の光が嫌いなので、拡散用キャップを被せたため、この程度にしておいた。それでも、フォトカプラに流す10mAと合せても11mAに届かないので、余裕はないけど大丈夫だろう。なお、電源用のLED(橙)は5Vでの点灯なので、10kΩにした。

点灯状態の写真。

DUIF04_03

写真では、橙と黄のLEDが同じに見えるなぁ。

あ、あと、信号ラインのインダクタには、手持ちのフェライトビーズを使った。

また、ja1kvf局がこのインタフェース用にサイドトーン回路を発表なさっている。

USBインターフェイス改良
http://ja1kvf.justhpbs.jp/newpage16.html

サイドトーンと言っても、人間が聞くためのものではなく、DSCWに入力してデコードさせるためのものなので、サイン波にこだわる必要もない。555を使ってシンプルにまとめていらっしゃる。

こちらの回路も合せて作った。

DUIF04_09

小さな回路だけど、ユニバーサル基板なので、本体以上に時間がかかった。やはり、プリント基板は偉大。ストラップ線の長さを間違えたのでICを跨いでしまったけど、やり直すのが面倒なのでそのまま。裏面は汚すぎるので割愛^^;

発振周波数は700Hz程度だった。

DUIF04_side_tone

TS-690用接続ケーブル

さて、問題は、TS-690のACC2につなぐケーブル。何しろ、このコネクタがDIN 13pinと、もうこれだけで入手難。共立エレショップの通販で見つけた。

丸型多極コネクタ13pinプラグロックタイプ コンタクトピン付 / TCP9386-310015+TCP4200-15-010×13 _
http://eleshop.jp/shop/g/gD1J361/

DUIF04_01

ハンダ付けではなく、カシメるタイプ。これほど密集していればハンダ付けは難しいだろうから、カシメは正解だろう。が、そのカシメもかなり難儀。ラジペンでシメてハンダを流そうかと思ったんだけど、小さすぎて無理。若いときならいざしらず、見えない…。まぁ、ものはとりようで、「丁度良い機会」とばかりに、圧着工具を調達^^; 細かいものがカシメられるエンジニア 精密圧着ペンチ PA-09にした。

できあがったのはこれ。

DUIF04_02

あ、もちろん、最終的にはDIN 13pinのカバーを付けてある。写真はカバーを付ける前の状態。しかし、そのDINコネクタの組み立て方もよくわからず、あーだこーだと、非常に苦労した。圧着も思った以上に大変だったし。結局、基板組立以上に時間がかかったんじゃなかろうか?

なお、使ったケーブルは、100円ショップのLANケーブル。一応、CAT 5e用ってことになってたけど、中の線が思った以上に細い。こんなもんだったっけな?ツイストも弱い気もするし…。一応、フェライトコアを付けておいた。気休めかもしれないけど。

こういう細かい作業の確認にはキズミが必須。メガネの修理屋さんが目に付けているあれ。

「アイルーペ」というらしい。

FT232Rの設定

続いては、FT232Rの設定。

設定には、専用ツールを使うが、メーカサイトからダウンロードできる。ドライバの件も含めて、こちらの記事を参照。

散々悩んだ、USB←→232C(TTL)変換ケーブルによるTS-690との接続、結局、上手く行った。 前の記事で、FT232Rのモジュール...

設定ツールを使ってやることは、出力電流の設定と、ロジックの反転。それと、シリアル番号の固定。

まずは、I/Fをケーブルでつないで置いて、書込みツール、FT_Progの起動。虫眼鏡マークをクリックで、デバイスの走査。

DUIF04_FT232R_setting_001

「USB String Description」の「Auto Generate Serial No」のチェックを外し、「Serial Number」を適当につける(英数字16文字以内)。これをやっておかないと、このツールで書き込むたびにシリアル番号が変り、別デバイスとして認識されて、COMポート番号が変ってしまう。結果、使われないままのCOMポート番号が確保され、番号がどんどん大きくなる。

DUIF04_FT232R_setting_002

もし、不要なCOMポート番号を作ってしまった場合は、こちらの記事を参照。
http://www.jh4vaj.com/archives/771

続いて、「Hardware Specific」→「HighIO」を開き、「High Current I/O’s」にチェックを入れる。これで12mA出せるようになる。標準では4mA。という話が、下の説明欄に書いてある。データシートを見ても最大で何mA出せるのかはわからなかったけど、このツールの説明欄でようやく判明。

DUIF04_FT232R_setting_003

同じく「Hardware Specific」の「Invert RS232 Signals」を開いて、各信号にチェック。TXD、RTS、DTRしか使わないので、その三つだけでもいいけれど、ついでに全部チェックしてみた。

DUIF04_FT232R_setting_004

設定が終ったら、雷(?)のアイコンをクリックして、書込みウィンドウを出す。

DUIF04_FT232R_setting_005

「Program」ボタンを押せば、すぐに書き込まれる。ホンの数秒。

DUIF04_FT232R_setting_006

以上で設定完了。この後、USBケーブルを挿し直す。

動作確認

TS-690につないで中波ラジオを受信し、PCからラジオ音声が聞こえたので、受信側は大丈夫だろう。

WSJT-Xで送信し(無線機にはダミーロード)、HDSDRで当該周波数を受信してみたら、ウォータフォールに信号が確認できたので、何かしらの信号は乗っているはず。また、PTTテストでRTSラインを使って送信テストしたら期待通りにTS-690が送信状態になったのでOK。

DTRラインのテストは、DSCWでCWの送信で確認した。

あとは、ケースだ。これが苦手だけど…。

基板まで組み上げたTS-690用デジタルモード通信インタフェース、さすがに裸で使うわけにはいかないので、ケースに収めた。なんとか…。 ...
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