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WSJT-XのSplit OperationでDFの問題を解決

以前、JT65の送信時における周波数と電力について書いた(DFによって送信電力が変ってしまうという話)。これに関して、WSJT-Xの設定項目にあるSplit Operationを使えば対処できるというコメントを頂いた。

TS-690でのJT65送信時の周波数と送信電力
イマイチわかりにくいタイトルだけど…。 つまり、JT65の送信時に電力計の針がフラフラするのがずっと気になっていて、信号の周波数によって送信電力が変化しているわけなので、実際のところどれくらい変化するので調べてみたという話。 構成は、WSJ...

こちらに改めてまとめておく。

このオプションは、送信時にはDFが1,500~2,000Hzに収まるように自動的にQRGを変更してくれるというもの。素晴らしい発想。

以下、いろいろと書いたけど、最終的にはDXLabのCommanderの使用は止め、WSJT-Xの設定は「Fake It」にした(「Rig」にするとCAT制御になり、VFOの切換えタイミングが若干遅れてしまいよろしくない(無線機によるだろうとは思う))。結局は、シンプルな設定が最も安定して使える。ということで、以下はあまり役に立たない情報だとは思うが、過去の記録として残しておく。

Radioタブの右下にそのSplit Operationの項目がある。無線機がVFOを二つ持っている場合には「Rig」にするとよい。これで受信時と送信時にそれぞれのVFOを使うようになる。無線機が一つのVFOしか持っていなければ「Fake It」を選択する。この場合は、受信時と送信時にWSJT-Xの周波数を自動で変える。TS-690にはVFOが二つあるので「Rig」を選択した。

手元の環境では、周波数制御にDXLabのCommanderを使っており、二つのVFOの値が表示される。DFが1,500Hzより下になった場合、あるいは、2,000Hzよりも上になった場合には、VFO Bに適切な周波数がセットされるのがわかる。

上の例では、受信時のQRGが14.0740MHz(VFO A)で、DFが約1,420Hz。1,500Hzよりも下なので送信時のQRGが14.0735MHz(VFO B)にセットされている。送信時のQRGが500Hz下がってDFが(裏で)1,920Hzになり、1,500~2,000Hzの範囲に収まってくれる。よくできている。

上の図では、バンドのセレクトボックスの横の緑のインジケータ内に「S」が表示されている。これがスプリット状態を表しているっぽい。ただし、送信に切り替わった直後、一瞬だけ(一秒間くらい?)しか表示されない。送信中は表示してくれていた方がわかりやすい気もするけど…。← 補足訂正あり。下記参照。

それはともかく、これまで(Noneの状態)は、DFが下の方や上の方で出ている局を呼ぶ際にはQRGを手動で変更して対応していたけど、この設定をして以降、そんな手間はいらなくなった。非常にありがたい。このオプションを教えてくださったJR2RZFさんに改めて感謝。

ところで、「Rig」ではなく「Fake It」でもいいように思うが、TS-690ではイマイチ上手くいかなかった。というのも、TS-690ではリグコントロールが遅くて送受の切り替えタイミングで周波数の変更がついてこない(ことが多い)。例えば、QRGが14.0740MHz、DFが1,420Hzだった場合、送信時にWSJT-Xは14.0735MHzになるのだけどTS-690は14.0740MHzのまま。送信時には周波数の変更はなされず、送信終了後にTS-690が14.0735MHzになり、WSJT-Xの周波数もこれに同期して14.0735MHzなる。これを繰り返していると、QRGが14.0730MHz、14.0725MHz、14.0720MHzとどんどん下がっていく。まったく使い物にならない。DXLab Commanderを使っていることも影響しているかもしれない。いずれにしても、手元の環境では「Fake It」ではダメだった。ちなみに、「Fake It」だと緑のインジケータ内の「S」は常に表示されているようだ。

それと、TS-690側にも「SPLIT」の設定があるが、これは特に設定は不要。SPLITに設定しても、DFを動かすとその設定が解除される。← 補足訂正あり。下記参照。

手元のTS-690では1,400~1,700Hzの送信電力の変化が割と急カーブだったので、欲を言えば1,700~2,200Hzを使いたいところ。下限と上限の周波数を設定するとか、いくつか組合せを用意しておいてその中から選ばせてくれるとか、そうなればもっといいのだけど。

最後に、大前提として、これを行うためにはWSJT-Xからリグのコントロールができることが必須。送受のオーディオラインしかつないでいない場合は使えない。


【補足・訂正】

TS-690側の「SPLIT」は設定不要と書いたが、どうやら間違い。相手からの応答がズレた周波数で来ることがある。その幅を見ると、ちょうどSplitの幅だけ逆方向にズレている。例えば、こちらが送信時のQRGが1,000Hzだけ下にズレているつもりが、実際にはズレていなくて、結果、1,000Hz上で送信していたとかんがえるとちょうど合う。つまり、TS-690側も「SPLIT」に設定しなければならないようだ。

DFを動かすと、TS-690のディスプレイが一瞬だけSPLITが点灯する。しかし、すぐに消える。なぜか、SPLITの設定が勝手に解除されてしまうわけで、これが問題。DXLab Commanderを使っているためか?ここはまだ切り分けができていない。

DFを動かす度にSPLITが解除されるので、手動でTS-690のSPLITボタンを押さなければならない。特に、CQ局を呼ぶときには、相手を選択(この時点でDFが変更される)、TS-690のSPLITボタンを押す、WSJT-XのEnable Txをオン、と言う手順になり、かなり面倒…。

【補足2】

これで運用してみたけど、まだ挙動不審なところが。何かのタイミングでVFO B(送信側)の周波数がVFO A(受信側)の周波数になってしまうことがある。SPLITの状態のまま。おそらく、リグコントールのタイミングのズレの影響だろうけど、これじゃダメだ…。

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