NanoVNA用LC測定アダプタ三種

NanoVNAケースのオマケとして作ったLC測定アダプタ。あまり上の方の周波数では使えないだろうとは思っていたけれど、やはり、できれば上の方でも使いたい。ということで、「改良版」を作ってみた。果たして、本当に「改良」になっているかチェックする。

LC測定アダプタ外観

左と真ん中の二つが新しく作ったもの。右は従来のもの。便宜上、従来型を「タイプ1」、真ん中のものを「タイプ2」、左のシンプルなものを「タイプ3」と呼ぶことにする。

新しい二つでは基板上の「キャリブレーションキット」は止めた。タイプ2ではワンタッチコネクタに差して使うキャリブレーションキットを用意。タイプ3は一切なし(コネクタが付いているだけ)。タイプ3用に、100Ω 1%のチップ抵抗(2012Mサイズ)を二つ重ねて50Ωのダミーロードを作った。

NanoVNA付属の50Ωと比較するとサイズ感がわかると思う。拡大すると汚さがわかる…。

測定

では、実際に測定してみる

NanoVNAは高域特性改善の改造を行ったもの。

「シールド板付きNanoVNA」にも高域特性改善のための改造をやってみる。 これまでの話。 改造 前回の結果を踏まえて、今回は...

ファームウェアは0.7.0。

リリース情報 NanoVNAの新しいファームウェアが出た(0.7.0) ユーザ視点での主だった変更点: フォント グラフの色 マ...

抵抗

まずは抵抗から。被測定物は、秋月の50Ω RF終端器(チップ抵抗2012Mサイズ)。これならVSWR<1.2(~3GHz)なので、このテストにちょうどよい。

NanoVNA直キャリブレーション

NanoVNAのコネクタ直接でキャリブレーションを行った場合を測定。

タイプ1

測定時は、セラミック製のピンセットで上から押さえつけた。

※クリックで拡大。ESCで閉じる。

色の薄いグラフはNanoVNA付属のダミーロードを測定したもの(リファレンス用として表示)。予想に反して600MHz位までは悪くない。

タイプ2

こっちはひどい。これも予想に反しているが、結果はこう。

タイプ3

これは期待通り良い。とはいえ、1GHz位までならタイプ1とどっこいどっこい。

アダプタ上キャリブレーション

今度はLC測定アダプタ乗ででキャリブレーションを行った場合の測定。

タイプ1

今度はこれがひどい。キャリブレーションキット用の配線の引き回しと、そもそも使っている抵抗がリード部品だからではないかと思う。

タイプ2

割と良い結果。ちゃんと測定ポイントでキャリブレーションを行った成果と言うか。

タイプ3

先ほどとあまり変わらず。強いて言えば先程の方が良いか?

100Ω×2

参考として、ダミーロード用として作った100Ω二段重ねを測定。キャリブレーションはNanoVNAコネクタ直で実施(RF終端器との比較が目的のため)。

タイプ1

タイプ2

タイプ3

やはり、RF終端器の方が特性は良いようだ。

コイル

空芯コイルを測ってみる。

NanoVNA直キャリブレーション

タイプ1

こんな具合に裏の穴を利用してコイルを接続した。

タイプ2

タイプ3

アダプタ上の穴を使ってコイルを接続する。タイプ2もこんな感じ。

程度の差はあれど、どれもすぐにインダクタンス値が上がって見える。インピーダンスの極大点は自己共振(アダプタを含んでの)。

アダプタ上キャリブレーション

タイプ1

タイプ2

タイプ3

意外にも、タイプ2が一番良い(素直な)ように見える。

コンデンサ

4.7pFの積層セラミックコンデンサ(2012Mサイズのチップ部品)。

NanoVNA直キャリブレーション

タイプ1

タイプ2

タイプ3

どれも容量が本来の値よりもかけ離れている。アダプタにpF単位の分布容量があることがわかる。今回は高い周波数での挙動を見たかったので小さい容量のコンデンサで試したが、この形で使うなら数百pF以上の測定だろう。

アダプタ上キャリブレーション

タイプ1

周波数の上昇とともにキャパシタンス値が増えていくように見える。

タイプ2

こちらでは逆に、周波数の上昇とともにキャパシタンス値がやや減少するように見える。

タイプ3

これが多分、一番正しいのだろう。かなり上の方までフラットに見える。やや上昇傾向。

まとめ

NanoVNA直キャリブレーション

  • 使えるのはHF帯、ちょっと甘く見積もるなら50MHz帯程度まで。
  • LもCも低容量なものは誤差が大きくなる。数百nH以上/数百pF以上なら測れるか?

アダプタ上でのキャリブレーション

  • タイプ1は100MH程度まで。甘く見るなら150MHz程度まで許容範囲か。
  • タイプ2は結構行ける。200MHz、ないし、300MHz位まではそこそこいいんじゃないかって感じ。しかし、キャリブレーション用のアダプタの脱着がすごく大変。
  • タイプ3をアダプタ上でキャリブレーションするのが最も良い。これは想像通り。これも、キャリブレーションが非常にやりづらい(ショートさせるのも、ロード用の抵抗を接触させるのも)。

総括

NanoVNA直キャリブレーションはさすがにダメ。まぁ、それでも、HF帯くらいなら使える(甘めに見てよければ50MHz程度までOK)。

以下は、LC測定アダプタ上でのキャリブレーションを行った場合の話。

タイプ3が最も良いけど、操作性が悪い。

タイプ2も、まぁ、いいんだけど、これもキャリブレーションが大変。

100MHz程度までという条件でよければタイプ1が最も使いやすい。

総合的に考えると、タイプ1をベースに、タイプ2用のキャリブレーションアダプタをセットにするのが良いかも。100MHz位まではお手軽キャリブレーションで使えるし、それ以上を望むときにはキャリブレーションアダプタを使って頑張る、という方法。配線の引回しの見直しと抵抗のチップ化で、お手軽キャリブレーションでももうちょっと上の方まで使えるようになるかな?

どうしても上の方まで測りたければ、頑張ってタイプ3を使うか。


※ここでの測定結果は正しくない。被測定物のリード線の影響が大きいことがわかった。ということで、測定をやり直した。 以下、検討(というか...
リード線が無視できないらしい NanoVNAで抵抗の高周波特性を測る記事を書いたところ、リード部品のリード線だけでもかなりのインダクタンス...
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